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【遊学】4月19日(トリエステ)

トリエステ2日目、この日は本格的な観光へ。目玉は市内の小高い丘にあるサン・ジェスト城と、中心部からやや離れた海辺にあるミラマール城だ。

◯サン・ジェスト城

今でこそイタリアに属するトリエステという街は、その地理的利便性から時代とともにその所属を度々変えてきた歴史がある。そんな中で街の発展の中心を担ってきたのがサン・ジェスト城である。

道中、至聖三者聖スピリドン・セルビア正教会聖堂にも寄り道しつつ、地中海の強い陽射しを受けながらサン・ジェスト城に向かって坂を登る。

サン・ジェスト城のすぐ横には同じ名前を冠した大聖堂があるのだが、ここは今まで見てきたような大聖堂とは少し感じが違って面白かった。というのも、サン・ジェスト大聖堂の中はあまり明るいとはいえず、ひんやりとした中には綺麗なモザイク画の宗教画が大きく飾られていた。大聖堂の中でも優しい見た目で、サイズ感も小さかったがすごく印象に残る場所だった。

大聖堂の中
(iPhoneだとどうしても明るくなってしまうが、実際はもう少し気持ち暗めだった)
サン・ジェスト大聖堂
(この周りは少し遺跡チックで面白い)

大聖堂に出て城に行く。城の中には、城の地下を利用した周辺から発掘された遺跡や彫刻などの遺物の展示と、城の一部を利用したトリエステの歴史や昔使われていた武具の展示の二つが見れた。

しかし、城に来る大半の人たちの関心はその眺望にあった。城は街で(おそらく)一番高いところにあり、そこから一望するトリエステ湾とオレンジ屋根の街並みは息を呑む美しさだった。
暖かいポカポカ陽気に、空を飛ぶカモメと心地の良い風とでこのままハンモックにでも眠りたくなるような素敵な時間だった。

サン・ジェスト城からの眺望

◯ミラマール城

ハンモックはおろかベンチもなかったサン・ジェスト城は必要以上の長居には適しておらず、十分に景色を楽しんだ後はミラマール城へ。

ミラマール城は中心部からバスで20分、電車で一駅の場所にある。オーストリアを治めたハプスブルク家のフランツヨーゼフ1世の弟である、マクシミリアンの別宅である(なので少なくとも19世紀まではトリエステはオーストリア領だった)。敷地は広大だったが、ハプスブルク家の別宅というふうに聞くとなんともその割には慎ましやかな雰囲気に見えるミラマール城。

敷地は一般開放されているが、別宅内部は観光客は€12の入場料が必要である。一方EU市民の学生であれば€2、更に19歳?以下であれば無料である。これを見ると日本のではあるが、学生身分の僕は€12も払いたくなかったので少し駄々を捏ねてみることに。すると「本当はダメだけど、特別だよ?」と€2で中に入れてもらえた。大感謝!

中はマクシミリアンとその奥様の部屋をそのままに、彼らにまつわるものが展示されていた。中には中国風の部屋と日本風の部屋もあったが、日本人からするとあんまり日本を感じず、むしろ「これほとんど中国じゃないか?」と感じずにはいられない部屋だった。まあ、トリエステから見たら方角も一緒だし違いもこんなもんか、と納得するしかない。

波止場からのミラマール城
城内の日本の間
(チャイニーズルームはメンテナンス中で中が殆どなかった)

◯意外な出会いと誕生日ケーキ

ミラマール城を見て宿に戻り、ダラダラしていたら結構いい時間になっていたので夕食のために街へ繰り出す。今夜が正真正銘イタリア最後の夜(になるはず)だし、まだ感動するほど美味しいパスタに出会えていなかったことが心残りだった上に、明日は自分の誕生日だからと、ご飯に過度にお金をかけないように気を使っている自分を納得させてレストランへ。

レストランではずっと食べたかったけど今まで食べたことのなかったアマトリチャーナにちゃっかりワインも注文。初めて食べるアマトリチャーナに感動していると、席を待っているお兄さんに声をかけられた。

「君、あそこのホステルに泊まってる人だよね?」
「そうだけど、、、?」
「実は僕、今日君を見かけるのがこれで3回目でね。3回も見つけて声をかけないわけにはいかなかったんだ。」

僕は一度も彼を視界に捉えた覚えがなかったのがなんだかとても失礼なような気がしたので、それは黙って空いてた席をお勧めした。聞くと、ピサの大学の大学院生で「ステレオタイプ」の研究をしているそう。面白そうな研究だなぁと思っていたが、彼自身はそれに嫌気がさしたらしく、トリエステに旅行に来た。「ステレオタイプな現実逃避だろう?」と面白い皮肉。

お互いのことを喋っていると、僕が誕生日を明日に備えた孤独な学生であるということで、「デザートを奢らせてくれ」と優しいひと言。優しさに甘えて本場のティラミスを堪能しました。これはとっても美味しかった。

その後は横に座っていたアメリカ人のおばさまも混ざって取り止めのない会話をしながら素敵な1日早い誕生日ディナーをいただいた。
夕食の後も夜のトリエステを散歩しながら、小1時間ほど色々楽しくお話しした。

奢ってもらったティラミス

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