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女性起業家は世界を6兆ドルも豊かにする

2023年、日本では女性社長の数、そして新規開業者に占める女性の割合ともに過去最多となりました。近年、女性の起業家や経営者が増加傾向にあるのは間違いありません。

東京商工リサーチ調べ
日本政策金融公庫「2023年度新規開業実態調査」より作成


でも、まだ「男性が大多数を占めている」と言えそうですね。

世界中の女性がもっと起業しやすくなれば、世の中はどれだけ豊かになるだろう・・・?

そんなことを考えさせる興味深い記事が「Bloomberg」という海外のニュースサイトに最近出ていました。

記事のタイトルは

Women Entrepreneurs Can Make the World $6 Trillion Richer
女性起業家は世界を6兆ドル豊かにする可能性がある

何とも、インパクトの大きいタイトルですね。6兆ドルというと、今の日本円だと約930兆円になります(2024年4月/1ドル155円換算)。

記事では、アフリカを中心としたグローバルサウスの金融環境にフォーカスを当て、女性起業家たちが資金調達で直面するバリアをなくすことで大きな経済効果が生まれることを訴えています。

これを読むと、まだまだ世界が女性への偏見に満ちている様子が伝わってきます。というわけで以下に記事を要約していますので、ぜひ読んでみてください。

小規模事業者の資金調達が難しいことは周知の事実だが、グローバルサウスの女性にとっては「難しい」のではなく「ほぼ不可能」だ。

あるセネガルの女性が、2017年に女性起業家を対象とした投資ファンド「WICキャピタル」を創業した。以来、500万ドルを調達し、8人の女性起業家に投資してきた。それまで、この8人は何度も融資を断られてきたが、WICキャピタルは彼女たちに可能性を見出したのだ。

投資先の事業は
●廃棄タイヤから工場用の燃料を生成
●アフリカと西洋を融合させたファッションデザイン
●地元の穀物を使ったフランス菓子製造・販売

などで、WICから投資を受けた後はいずれも大きな成長を遂げた。

この輝かしいストーリーの背景には、世界の金融システムに潜む深刻な問題がある。全世界で見ると、女性起業家が実際に受けられる融資の額は、必要とする額より1兆7000億ドルも少ない。この差を埋めることができれば、世界のGDPを最大6兆ドルも押し上げる経済効果が生まれる。とても無視できない数字だ。

WICキャピタルのようなファンドはひと握りの起業家の運命を変えることはできるが、全世界で問題を解決するには金融システムそのものの改変が必要だ。現在の金融システムは、小規模事業者、中でも女性を念頭に築かれたものではないからだ。

多くの国において、金融機関は女性への差別意識に満ちている。いかに優れたビジネスプランを持っていても、「女性」というだけでリスクばかりに目を向けられてしまう。仮に融資を受けられたとしても、借りられる金額は男性に比べて圧倒的に少ない。

しかし実際には、女性の貸し倒れリスクは男性より10%も低いのだ。
(アフリカで金融業を手がけるM-Kopaの調査による)

このような金融格差の解消に向けて、国や業界のリーダーができることは数多くある。
●マイクロファイナンスを提供する小規模金融業者への規制緩和
●信用保証のための基金の設立
●審査をDXするためのデジタルインフラ整備への投資
●先進国によるIDA(世界銀行の国際開発協会)への十分な資金提供

女性が必要とする資本を得られるような社会は「賢明な社会」といえる。それは、WICキャピタルの投資ポートフォリオを見れば一目瞭然だ。投資開始から全8社の売上の合計は5倍に拡大し、今後7年間で3000人もの雇用を生み出す見込みだ。わずか8社で。

アフリカでは4人に1人の女性が事業を営んでいる。彼女たち全員に十分な資金が行き渡れば、世界はどれほど進歩するだろう。

Bloomberg - Opinion / Melinda French Gates, Columnist / 15 April, 2024


ついでに、原文の中から印象に残った一文をひとつご紹介します。

No country can grow healthier and more prosperous while leaving behind half its population.
人口の半分(=つまり女性)を置き去りにしておきながら、より健全で豊かに成長できる国など存在しない。

これは起業やビジネスの分野に関わらず、国や社会のあり方すべてにおいて言えることですね。
興味を持っていただけたら、ぜひ原文も読んでみてください。


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