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レシピコラム 〜アスパラガスのエチュヴェ

フランス ロワール産ホワイトアスパラガスのエチュヴェ
クルスティアン仕立て
ソースオランデーズ 金柑風味


春 一節気 立春(りっしゅん)の献立から

*注:ものすんごいこだわりの詰まったアスパラの火入れですので、料理人のみなさん、ぜひご一読を!笑(なかのひと)

もうアスパラガスですか?って声が聞こえてきそうですが、フランスよりこの時期になると始まるんです。ちゃんと苦味ものってますよ。
これをエチュヴェにしてお出しします。

一般的にホワイトアスパラガスの火入れと言えば、結構塩の効いたしょっぱ目のお湯に剥いたアスパラガスの皮をたっぷり入れて簡単なブイヨンダスペルジュの様なものを作り、その中でポッシェしていき、茹でたての物をそのままお出しして、ソースオランデーズをつけて召し上がっていただくという感じでしょうか。
これはこれで、とても美味しいし大好きです。

ですが、せっかくなので何か旬の物を絡ませ(得意の同旬合わせ)、食感の違うものを絡ませ(食感のコントラスト)、アスパラガスの火入れ自体も好みのやり方(ル・クルーゼの営業マンではございません)にアレンジしてみました。

まずホワイトアスパラガスですが、丁寧に皮を剥き根元を1cm〜2cm位の所で折ります。硬い所から自然に折れます。
楕円形のココットを熱くし、オリーブオイルを注ぎすぐに生のホワイトアスパラガスを中に入れます。表面に油をまとわせて熱を伝えたら塩を適量振り、フォンブランをアスパラガスの半分の高さまで注ぎ蓋をします。

この時ココットが熱々になっているためジャ〜‼︎という、凄い音と共に一瞬でフォンブランは沸騰し煮詰まっていきます。
ですがココットは無水調理ができる程蓋の密閉度が高くあっという間にアスパラガスに火が入っていきます。
承知の様に水分は加熱により煮詰まっていきますが、油分は加熱しても煮詰まることがないため、ココットの中での水分と油分の割合が秒単位で変化していきます。
つまり、フォンブランを注いだ瞬間はオリーブオイルの油分はわずかでフォンブランの水分がほとんどで液体はシャバシャバでしたが、水分が煮詰まるに従って、水分と油分が同割になったころココットの中では乳化が始まり液体にトロミがついて来ます。

この瞬間にアスパラガスに火が入ればいいのですが、なかなかそう上手くはいきません。そのままにしておくと、水分がほとんどなくなりココットの中で乳化していた液体が分離して透明になって来ます。
こうなると再び液体を注ぎ入れます。
ただしまたフォンブランを加えてしまうと度重なる煮詰め作業によりゼラチン質が多く出てしまいます。なので、二回目以降は水を加えます。
再びココットの中の液体がシャバシャバになります。加熱を続けます。

これを繰り返し、ホワイトアスパラガスにプティクトーの先がスッと通る位の柔らかさに火を入れます。
この瞬間にココットの中の液体が綺麗に乳化していることが大事です。

そうしたら冷たいバターをひとかけらココットの中に落としココットを揺すってアスパラガスのキュイソンとバターを乳化させます。
アスパラガスから出た野菜自身の旨味を全てアスパラガス本体にまとわせます。白コショウを振り完成です。

フイユドブリックで作ったコルネにアスパラガスを通して、煮詰めたオレンジの果汁を加えたソースオランデーズを添えて、フレッシュの金柑スライスを散らします。

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