「将来の夢はなんですか?」

今まで生きてきて、誰もが幾度となく経験したことがある問いだろう。
幼稚園、小学校、中学校、高校、そして大学。ただ純粋に夢を語れたのはいつまでだったか。

自分の幼稚園の頃の夢は「お花屋さん」とか「お菓子屋さん」とか、それなりに誰もが一度は憧れるような夢を抱いていた。ある時、絵を褒められた。とてもとても嬉しかったのを今でも覚えている。その時から自分の夢は「画家」になっていたのだと思う。毎日幼稚園で絵を描いて、小学校でも絵を描いて、中学校でも絵を描いて、高校でも絵を描いていた。

絵を描き続けてはいたものの夢はいつしか「美術に関係した仕事」になっていた。歳を重ねる度、画家という仕事を調べる度、その厳しさを思い知らされたからだろう。実際に自分で経験した訳でもないのに。
同時に時々絵を描くのが苦しさを伴うようになった。絵を描くのは変わらず好きだし、自分の絵を褒められるのはたまらなく嬉しい。けど幼い頃の、無我夢中で絵を楽しみながら描いていた時ほどの楽しさも高揚感も、どこか遠くに行ってしまった。
それでも絵を描く行為は捨てられなくて、この大学にいる。あの問いを、今問われると自分はなんと答えるのか。そもそも答えられるのかすらわからない。

夜中になると自分自身に問いかける。
幼稚園の頃の自分にあったはずの「夢」は?
小学生の頃に決意した「夢」は?
中学生の頃の揺らぎつつ卒業文集に語った「夢」は?
高校の頃の美術関係の仕事に就きたいと語った時の奥底にあった本当の「夢」は?

絵を描いているときのあの「楽しさ」は?

大学に入り三年目になってしまうが、少し後ろを振り向いて幼稚園生の、小学生の、中学生の、高校生の自分に伝えたいことがある。

『そこで、まってて。』

(いつかあの時の楽しさを思い出すから)
(いつかあの時の高揚感を取り戻すから)
(いつかその夢きっと叶えてみせるから)

________

とある展示会の絵に添えた文章です。
私は、今も昔も、絵を描くことが大好きです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?