男性版のわたしのような人がいる。

どういう人かと聞かれるととにかく「男性版わたし」なのだ。
そもそもオリジナルを知らんわ、という意見がごもっともだけど、特に異性に対しての接し方がとても似ている。

だから彼が次にどんなことを言うか分かるし、ずるい人だなぁとも思う。

昔から「ぶりっ子」「あざとい」と言われ続けたわたしのような人間。
お互いの手の内は分かっているので、調子が狂う。

お互い、その感じを出す必要はないけれど
お互い、ナチュラルボーンなのでついうっかりと。

ただ、潔癖で不特定多数の異性との関係を好まないわたしと真逆で、可愛い顔をした彼は昔からとにかく女の子を取っ替え引っ替え。
日替わり。
元気だねぇと笑うわたしは、彼に想いを寄せていたり、彼に本気になった女の子たちを近くで見ていて、絶対にこんなクズだけは好きにならないようにしようと心に誓った。

本当にわたしが人生で出会った中のトップオブクズで、どうしようもなくて、でも口がうまくて可愛い顔と人懐っこい性格で彼の周りには常に可愛い女の子がいた。

人に言えないこともたくさん、ぶん殴ってやりたくなることもたくさん。
なんなら何度か怒りをぶつけたこともある。関係ないのに見ていられなくて。

だけどわたしととても似ているので、本当はとても寂しがりやなことも、愛情に飢えていることも、案外激チョロ人間なことも、好きって言ってくれたら好きになっちゃうことも、意外と嘘はつかないことも、ただ素直に生きているだけなのも、全部知っている。
だからわたしは見放すことができない。

ここ数日、とある事情で激病みしている彼の電話に毎晩明け方まで付き合っている。
月初はとても忙しいので、深夜まで残業して帰宅したあと、見計らっていたかのようにわたしの携帯は鳴る。

平均睡眠時間は2時間を下回り、日中の眠気とクマがひどい。
女の傷を女で埋めようとするところも、本気を出せばわたしを落とせると思っているところも、非常に腹立たしい。
わたしはやっぱり彼を憎めないけど好きにもなれない。

今までたくさん女の子を傷つけてきた代償でしょ、自業自得でしょと思う。
思うし、言う。
そうなのかなぁと言うけど、そうでしょ。どう考えても。

人の幸せを壊した上にはどんな幸せも築けない。
地盤の弱いところに誰が好んで家を建てるのよ。
いつか崩れてしまう、その場所に。

とはいえ、こんなクズにさえ優しくしてしまうわたしが1番クズなのかなぁと思う今日この頃。
わたしって、必要としてくれるなら誰でもいいのかも。
空っぽだな。