はじまりも終わりも真っ赤な口紅で

口紅がだいすき。
わたしの唇は血色が悪くて基本白い。別に体調不良でもないのに「具合悪いの?」と聞かれ続け早20何年。

唇が分厚くて色がないから変に悪目立ちしてずっとコンプレックスだった。

初めて買った口紅はちふれ。
山口小夜子が永遠の憧れでどうしても赤い口紅を塗ってみたかった。コスメの知識皆無の15歳は真っ赤な口紅をレジに持っていくにも勇気が要った。

お会計という最難関を突破して帰宅したわたしは早速鏡の前で口紅をくり出した。昔ママの口紅をくり出したまま蓋をしてよく怒られてたなんて思い出しながら。

鏡に映る女は紛うことなきそらジローだった。
メイクのいろはも分からん高校受験終わりたての15歳が様になる色では当然なかった。

でもあの時そらジローになったから今のわたしの手元には一生かかっても使い切れない数の口紅があって、口紅を買うのは2ヶ月に1本だけというマイルールをガン無視して来世用の口紅を買い続ける。

そんな自分が愚かしくもちょっとだけ愛しいから、どうかわたしの死化粧には真っ赤な紅をさしてね。


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