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波乱のアユタヤドライブ (タイ・ベトナムほぼ女ひとり旅行記vol.4〜バンコク3日目〜)

これはタイとベトナムを12日間弾丸ほぼ女ひとりで旅した記録です。


トゥクトゥクのおじさんたちと朝ごはん

今日は、昨日出会ったトゥクトゥクのパンさんが取り付けてくれた、
タクシーチャーターでアユタヤへ行く日だ。
(詳しくは前回記事「非日常が日常にある街バンコク(タイ・ベトナムほぼ女ひとり旅行記vol.3〜バンコク2日目〜)」をご覧ください)

8:30に私のホテルの前までパンさんがまず迎えに来てくれる約束なので、
早起きをして、いそいそと準備をし、ホテルの前で待つ。
8:30ギリギリになっちゃったなあ、
もうパンさん来ちゃってるかな、
と心配しながら下へ降りるもまだパンさんの姿は見当たらない。
よかった、と安堵し、のんびり待つ。
が、なかなか来ない…。
あれ、大丈夫かしら?とそわそわしながらも、
行き違いになったらいけないので、とにかく待つ。
せっかちなわたしは、そわそわの頂点に達し、昨日出会った場所へ行ってみようかと立ち上がった。
すると向こうから、白いビニール袋を下げ、バイクに乗り、にこにこ顔を浮かべたパンさん爽やかに登場。
良かった…。
暖かい国はみんなのんびりしてるなあと、自分のせっかちさを少し恥ずかしく思う。

昨日パンさんと出会った場所のトゥクトゥクの基地でタクシーを待つ。
昨日とは違って、今日はトゥクトゥクのおっちゃんたちが3,4人、
外のカラフルなプラスチックテーブルで朝ごはんを食べていた。
私もそこに混ぜてもらって待つ。
おっちゃんたちの朝ごはんは、

・何かの大きな魚をまるごと揚げたやつ
・何かの青菜のおひたしのようなもの
・何肉かのコリコリとした軟骨のような炒め物

これは何の食べ物だろう…と眺めていると、
よほど私が物欲しそうな顔をしていたんだろう、
ひとりのおっちゃんがわたしに、
揚げた魚のほくほくの白身を、食べてみんさいと差し出してくれた。
何魚かわからないが、おっちゃんの好意を無下にするわけにはいかないし、
とりあえず美味しそうなのでパクリといただく。

おいしい…!

この国にハズレの食べ物はないのか。
「アロイ〜!!」(美味しい〜!!)
と伝えるととっても嬉しそうなおじちゃんたち。
立て続けにわたしに食べろ食べろと分けてくれた。

ありがたくいただきながらアロイ〜!を連発しているとタクシー登場。
パンさんとタクシーの運ちゃんは長年の友のように慣れた挨拶を交わし、
パンさんがわたしを運ちゃんに紹介してくれた。
「バンコクに戻って来たらまた連絡してね〜」とパンさん。
トゥクトゥクのおっちゃんたちにありがとうを伝えタクシーに乗り込む。
いざ、アユタヤへの小旅行へ。


波乱の水上マーケットへ

黄色いタクシーに乗り込んだわたしたちはバンコクの狭い路地を抜け、
郊外の大通りを進んでいく。
タクシーの運ちゃんはパンさんの子どもの頃からの友人らしい。
名前の発音が難しく、何度聞いても覚えられなかった。
パンさんが愉快で朗らかな沖縄の人だとしたら、
このタクシーの運ちゃんは口数少ない堅実な東北の人という感じ。
それでもバンコクを出発した頃はお互いカタコトの英語を駆使しながら、会話がはずむ。

バンコクからアユタヤまでは車でだいたい1時間半ほど。
今日の小旅行の目的はもともとアユタヤだけだったけれど、
パンさんがタクシーの運ちゃんに交渉してしてくれた時、水上マーケットにも寄ってあげるからもうちょい値段をあげてくれないか?とのことで、1000BH→1500BH(4000円→6000円)で水上マーケットにも寄ってくれることになった。
そんなこんなで運ちゃんとわたしのふたりっきりの小旅行がはじまった。

まず水上マーケットを目指すわたしたちは、
道中タイ特有の禍々しい像の製作所をみかけたりしながら、
タイの田園風景の中をぐんぐん進んでいく。
ココナッツ畑を通り過ぎると運ちゃんが、ここにはサソリがいっぱいいるんだよと教えてくれた。

道中通りかかった製像場
タイのまがまがしいカラフルな像はなんだか少し怖い


時折Google マップで位置を確認すると、
水上マーケットへ向かっているはずが、アユタヤからは少し遠いところへ向かっているよう。
あれ?と思いながらも、
タイにはいくつかの水上マーケットがあるので、
運ちゃんオススメの水上マーケットに向かっているんだろうなあと
大して気にもしていなかった。

しかし1時間を過ぎても着かない…。
Google マップ上の有名な水上マーケットは通り過ぎてしまった。
さすがにおかしいなと思った私は運ちゃんにどこの水上マーケットへ向かっているのか聞く。
「ダムヌン・サドゥアック水上マーケットだよ」
と。
ずいぶんとアユタヤへのルートから外れたところを選んだな〜と思いながらも来てしまったものは仕方がない。楽しもう、と切り替える。

車が水上マーケットらしき場所に到着した。
想像の水上マーケットの喧騒はなく、とてもこじんまりとした船着場といった様子。
観光客は1〜2組ぐらいで閑散としている。
おそらくここから船で下るのだろう。
船着場の人と少し話をして、1時間くらいで巡れるから、ここで待っているねと運ちゃん。
いよいよ船に乗ろうと船着場へ向かうと、コースによって金額が違うからじっくり選んでくれと椅子に座らされた。
差し出された紙には船ひとつで3,000BHです、と。

3000BH(12,000円)……!!?

いやいやおかしい、と焦って何度聞いても同じ値段。
乗り合いではなくひとりで船を占領することになるから高いのかもしれない。
他の観光客のグループと乗り合ってもいいかと聞いても首を横にふる船着場のお兄さん。
値段交渉の末1500BHまで下げてくれたけれど、
おかしいなと思いネットで相場を調べると、サイトによって変動こそあるけれど、手漕ぎボートだと200〜800BH(800〜3200円)と1000BH(4000円)まではいかないようで。
なんだか値段交渉にも、この思いがけない状況にも疲れてしまって、
もともとアユタヤに行きたかったんだし、また来たときの楽しみにとっておけばいいかと、あきれる船着場のお兄さんに謝りその場をあとにした。

すごそこの駐車場で待っていた運ちゃんも様子を見ていたようで、
なんで乗らなかったんだと運ちゃんもなぜかあきれた様子で車へ。
水上ボートに乗らなかったのは、タクシーの運ちゃんにとっては時間の短縮になるだけのはずなのになぜそんなに落胆してるのかと不思議に思いながら
私には高すぎたことを説明し、せっかく連れて来てくれたのにごめんねと謝罪すると、
もうバンコクへ戻ると。

え?????

いやいやいや、話が違う!
「もともとアユタヤへ行きたくて頼んで、水上マーケットはおまけだったはずです」
と伝えると、
「ここはアユタヤから遠すぎる。行くなら明日バスとか鉄道で行ったほうがいい。今から行ったらバンコクへ戻るのは夜になってしまう。」
と。

じゃあ何でここに連れて来た…。と色々言いたいことはあったけれど、
ここはバンコクから遠く離れたタイの田舎道。
タクシーの車内にはわたしと運ちゃんのふたりっきり。
ここで言い争いなぞして降ろされたら路頭に迷ってしまう。

もしかしたら船着場の人たちとグルでぼったくろうとしたんじゃないか…
あの優しいと思っていたパンさんまでグルなんじゃないか…
私はただアユタヤに行きたかっただけなのに…。
いろんな気持ちがないまぜになって泣きそうなのをぐっとこらえた。

「わたしはアユタヤに行きたかっただけなんです。もともとパンさんにはアユタヤに連れて行ってくれるという約束で決まったのに、話が違いませんか?」
と深呼吸してから聞いてみた。

「パンはバンコク市内のトゥクトゥク屋だからアユタヤがどんなに遠いか知らない。だから無理な約束をしたんだろう。これからガソリンを入れるからその分のお金をプラスして2000BH(8000円)にしてくれたらアユタヤまで行くよ」
と。

悔しかった。
別に金額はもうどうでも良い。
けれどなんだか日本人観光客だからと足下をみられたような気がして、それまで信頼していた分、悲しかった。

でももう言い合うのも疲れてしまって、条件をのんでアユタヤまで連れて行ってもらうことに。
その船着場からアユタヤまではさらに2時間半…。
なんでこんな遠いところに連れて来たんだろう、もっと早く聞くべきだった。と、またため息が漏れた。

心ここにあらずアユタヤ遺跡巡り

それから2時間半、
出発の頃の車内とはうって変わって、
どんよりとした空気のままアユタヤへ。
流れるタイの田園風景を眺めながら、
今回のことは、パンさんの友人と信頼しきって、さらに英語が不自由なのを言い訳にして出発前にちゃんと確認しなかった私も悪かったなと反省する。
またひとつ学んだ。これも一人旅の醍醐味だな〜とかみしめる。

アユタヤはいくつかの遺跡が点在していて、
その中の有名な3つほどのスポットで降ろしてくれた。
先ほどの出来事が尾を引いて、
心の片隅にまだもやもやは居座ったまま。
けれど一人で写真を撮っていたら、
「撮りましょうか?」
とタイ人の女性が笑顔で話しかけてくれて、撮ってもらうことに。
小走りに移動して様々な角度から撮ってくれたその写真がまた素敵で、
別れ際の常套句だけれど、
「良い旅を!」
という言葉が身に染みた。

優しい彼女が撮ってくれた写真
立ったらしゃがんだり様々な角度から狙ってくれた
アユタヤにいたバナナをむさぼるリス

美味しいクイッティアオで回復

最後に寄ったワット・マハータートで腹ごしらえをすることに。
寺院の前の通りには屋台がずらっと軒を連ねている。
「ここのクイッティアオがうまいんだ」
とタクシーの運ちゃん。
ビルマ軍に(元ミャンマー)に首を切り落とされながらも静かに座する仏像たちや、
木の根に取り囲まれた仏頭の姿をみて、
かつて水都として栄えたこの緑美しいアユタヤに想いを馳せながら、
ふと私も空腹であることに気がつく。
そういや、朝トゥクトゥクのおっちゃんから朝ごはんをもらってから何もたべていない。
気を張っていたのだな、と思いながらタクシーの運ちゃんの言っていた、通りの屋台へ出た。

何屋さんかわからないけれど、とりあえず客で賑わう角の食堂へ入った。
何かの麺らしきものを食べている。
これがクイッティアオだろうか。
どうやらメニューはないらしく、
「いくつ欲しい?」とだけ聞かれた。

この麺がこれまたとてつもなくうまい。

15時過ぎなのに賑わう広めの食堂
とてつもなくうまいクイッティアオ(多分)


おつゆが少なめだが、その濃い目のあまじょっぱいつゆがクセになる。
つるりと食べてしまい、これは二杯目いけそうだなと思いながらも夜ご飯もあるのでぐっとこらえてタクシーへ戻る。

いざバンコクへ帰還

どうやら運ちゃんも腹ごしらえを済ませて満たされたようで、空気の車内がやわらかくなった気がする。
アユタヤを出発した時点で15:30。
9時にバンコクを出発してるからかなりの長旅だ。

遠く、車の向かう先にどんよりと鈍色の雲が厚くかかっているのがみえる。
「バンコクはスコールが降ってるね」
と運ちゃん。
スコールで水びたしになったバンコクへ無事到着し、今日泊まるホテルまで送ってくれた。
時刻は18時頃。
長旅に疲れ果てた私たちはぐったりとした疲労感をにじませつつも、
「ありがとう」
と言葉を交わし、さよならをした。

別れの晩餐

明日私はチェンマイへ飛ぶので、ドンムアン空港へアクセスの良い市内のホテルへ移った。
部屋は狭いが、清潔で、ちょうど良く必要なものだけがあって、コンパクトなかわいいホテル。

泊まった路地裏のホテル
トイレとシャワールーム
おしゃれにリフォームされていて綺麗
独房と呼ばれていた大学の寮を思い出す

ひとやすみして、今夜日本へ帰国する予定の友人と落ち合い、夕飯ハントへ出かけた。
近くの屋台が良さそうなのでそこへ。
ずっと気になっていたプーパッポンカリー(カニをカレー風味の甘味噌で炒め、牛乳やココナッツミルクを入れた卵液でとじた料理)がある!
タイビールchangで乾杯し、
旅の感想を言い合ったり、
不器用だけど心優しくキュートな屋台の店員さんを褒めあったり、
基本的にくだらない話をとめどなくして料理を待つ。

ガーリックシュリンプとプーパッポンカリー

これまたとんでもなくうまい。プーパッポンカリーは、蟹の身にカレーの香りのクリーミーな甘味噌が染み込み、食べるとじゅわりと口の中に広がる。大ぶりなエビも殻ごとバリっとかぶりつく。

今日はあんなことがあった後だからか、友人の存在がいつも以上に温かく、美味しいと口々に言い合って食べられる時間が、今日のもやもやを優しくほどいてくれた。
ひとりも楽しいけれど、やっぱり誰かと共に分け合ってする旅もいい。
「また日本で会おう」
と、友人はバックパックを身軽に背負って、帰って行った。



タイ・ベトナムほぼ女ひとり旅行記、次回は🇹🇭チェンマイ1日目フライト編!→












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