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2018.7.21 吉原探訪

2018.7.21
かつて日本一の遊郭として名を馳せた吉原を訪れた。
最寄りは東京メトロ日比谷線三ノ輪駅、この日が初めての下車。7月とは思えない暑さのなか、見返り柳(後述)までの道のりを歩く。この日は遊郭専門書店「カストリ書房(@kastori_store)」を営む渡辺豪さんが主催されている遊郭ツアーに参加させていただいた。

↓カストリ書房

参加者は10名ほど。おひとりさまから男女の3人組まで。年齢は自分たち(25歳)が圧倒的に一番下だった。だいたい40,50代の方と見えた。

先述の見返り柳は吉原の入り口に生えている1本の柳の木だ。

帰り際に客がここで名残惜しく振り返ったことからその名がついたそうだ。

さて、この左手の道を進むといよいよ遊郭であるが、吉原遊郭唯一の出入口であった吉原大門(現在は跡地)までの道は不自然に曲がりくねっている。外から遊郭を隠すための工夫だったという。

↓吉原大門跡

吉原といえば遊女の逃亡を防ぐためと云われていた「お歯黒どぶ」が有名だが、それはちょうどこの外側の通りに存在した。渡辺さん曰く「逃亡を防ぐため」という説はあまり有力ではないらしい。というのも溝(堀)といっても少し頑張れば飛び越えられる程度の幅、深さであり、出入りの妨げとしての役割としては有効ではなかったのではないか、というのである。

↓この道がちょうどお歯黒どぶだった。

さらに道を進むと、そこは現代のソープランド街だ。さすがに昼なので通りに賑わいはなかったが、真夏なのに黒服に身を包んだ男性たちが店の前で客が来るのを待っていた。
渡辺さん曰く、現代の性産業の約7割は無店舗型営業だという。ソープランドの新たな建設は認められておらず、新規開店する場合はかつて同業で使われていたお店を改装するしかない。
遊郭からソープランドへ、姿を変えて栄えてきたこの街も今後どうなるかはわからない。

↓日本最大のソープランド「角えび」本店。この屋号は江戸時代から使われている。

そして土地柄、他のところでは目にしないような施設も吉原にはある。
例えば「喫茶」だ。ここにはたくさんの喫茶と書かれた店があるが、そのどれもが「喫茶(カフェ)」のイメージとは大きくかけ離れたものだ。店の外観が粗末、店内が全く見えない、表にメニューの看板が出ていない、等。
実は、吉原でいう「喫茶」はいわゆる「カフェ(スタバのような)」ではなく、「茶屋(現代でいう案内所。その他料理や芸妓の斡旋もする。)」なのだ。遊郭が存在した時代、客はこの茶屋でお店や遊女を選び、夜の吉原に繰り出していったようだ。

↓喫茶の例。

↓その他、吉原で働く女性向けの施設も目に入った。

ツアーは全部で1時間ほどで終了し、その後昼食を取ろうとソープランド街をそぞろ歩いてみたがどこも昼食営業はしていなかった。

自分が知っている他の歓楽街(新宿、池袋など)に比べると、昼とはいえ吉原はだいぶ落ち着いているように見えた。また赤線時代の名残なのか、ある通りを超えると途端にソープランドは姿を消す。
きっとこの街に新たな見所が登場することもなく、静かに、ゆるやかに衰退していくのが現実だろう。かつて日本最大の遊郭として栄えた場所は、記憶の中のものになりつつある。

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