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春画の魅力に迫る(だいぶ18禁)

浪漫色情研究会、第3回目の今日は春画を観に国立国会図書館を訪れました。
https://www.ndl.go.jp
5月とは思えない暑さの中、我々が駅に着いたのは朝の10時という意識の高さ。夕刻に控えたトランプ大統領訪日を控え、国会議事堂前は物々しい雰囲気に包まれていました。

入館するには簡単な用紙に個人情報を記入してカウンターに提出するだけなのですが、
「本日の目的は?」と聞かれたら何と答えよう????という焦りで朝イチから肝が冷えました(実際は聞かれませんでした)。利用者カードが発行されるまでに少し待たねばならなかったので、どんな本を見るべきかgoogleに尋ねます。
するとなんと、SHUNGA PRESSという猛烈お役立ちサイトがあるではありませんか。
http://shunga-press.jp/database/

15分ほどで無事利用者カードは発行され、まずはSHUNGA PRESSを元に目的の本を探します。館内にずらっと並んだ富士通のパソコンで閲覧の申請をしますが、隣の席の人の臭い(素足でスニーカーを履いていた)が気になりすぎて一刻も早く立ち去りたかったです。閲覧出来るようになるまで30分ほどを要するので、その間に早めのランチ。食べ終わったあたりで正午でしたが、この時点ではまだ何も始まっていません。

各々が届いた本が届き、計8冊の本(全て春画にまつわるもの)を抱え閲覧室の中に席を確保。土曜の真昼間に春画に熱中する女2人が周囲の目にどう映っていたか心配でしたが、たかがそんなことで手は止められません。

絵画としての特徴は、やはり精緻な結合部の描写と、性器の誇張表現です。現代においてはAVでもエロマンガでもモザイクがかかっていますが、そのようなまどろっこしいものは一切ありません。毛の1本1本もご丁寧に表現されていますが、これが版画であることを考えると途方も無い作業だったことが予想されます。ちなみに下半身とは対照的に、上半身の描写は大変に雑です。江戸時代は和服が基本だったため襟元から手を入れても容易には乳房に到達出来ず、性的な重要性は低かったようです。

性器の表現もリアルな描写でかつ大きく描かれているので、見るものを圧倒する力がありました。注意しないとわかりませんが、実は男性器だけではなく女性器もサイズが誇張されています。春画は中国にも存在したようですが、それはリアルスケールです。

また春画には多くの簾、蚊帳が描かれていますが、この透け感を表現するのは彫師、摺師の腕の発揮どころでした。個人的にはこの技術に一番感動しました。

春画にまつわる展覧会は過去にヘルシンキ、ロンドン、そして日本で開催されています。東京・永青文庫で開催された時には、我々も観に行きました。日本では会場探しが難航したようですが、ロンドンではかの大英博物館が会場となっています。そもそも江戸時代には男性だけではなく、嫁入り前の女性ですら目にしていたものなのでそこまでセンシティブになる必要もなかったのではと個人的には思います。それにしても現代日本の性意識は明治以降欧米から輸入されたものであるため(ペリーの果たした役割は大きい)、今と昔で性意識に差があるのは致し方ないことなのかもしれません。 実際、西洋画ではあれだけ裸体を描いておきながら、性交のシーンを描いているものはほぼありません。

江戸時代唯一の「自宅でお手軽に楽しめるエロ」であった春画ですが、新年の挨拶として贈られたり、武士が鎧櫃の中に入れたり、その役割は多岐に渡りました。現代においては(欧米からの影響もあり)こっそり観るもの、という意味合いが強いですが、当時はエロに対してより明るいイメージが先行していたようにも思います。実際ヘルシンキの展覧会の感想の1つに
「長い冬のあいだに、鑑賞に値する何か」とあったのがとても印象的です。それほどの力を春画は秘めているのでしょう。
※フィンランドの冬は長くて暗い。

約3時間みっちり春画を眺めたあとはGINZA SIX内にある蔦屋書店へ。
https://store.tsite.jp/ginza/?gclid=CjwKCAjw8qjnBRA-EiwAaNvhwBhfX0q0BiDgNpx4dph_XD82wjJxOb7jWpcl2j5W8GDerb_8RACZpxoCaIcQAvD_BwE
なんとここには棚1列まるまる春画を扱っているコーナーがあります。特に展示等も行われていない今、ここまで大きく取り上げられていることに驚きました。

春画見過ぎてお腹いっぱい感がものすごいですが、きっと展覧会開催の報を聞きつけたらまたすぐ観に行ってしまうと思います。それにしてもエロ浴び過ぎてお腹いっぱいとは何なのでしょうか。どれだけAV観ても満足出来ない皆様、春画おすすめです。


※次回活動の題材を募集しております。

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