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『実践アクションリサーチ』をレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドの文脈で読む(1)まえがき ⅸ~

 アクションリサーチとは本書によれば、「アクションを通じて、アクションが展開される時に、そのアクションについての知識又は理論を創造することの両方を目的とする研究アプローチである」。

 このアクションリサーチはまだまだ一般的な手法ではない。リサーチは当事者ではなく外部者が行うべきという考え方が一般的だからだ。
 客観的な立場で物事を見るべき立場の研究者が当事者として同時に行動できるのかという懐疑の目が向けられる。

 しかしながら、対象となる活動のなかではその当事者たちが独自の知識を構築している。何が経験されるか、その経験がどう意味づけられるかは当事者とコミュニケーションのなかで形成される。

 当事者の一員として入るということであれば、文化人類学でのフィールドワークの手法が想起されるが、このアクションリサーチはもっと積極的に、その活動の発展に寄与するための知識や理論の構築を目指していく

 そのために、当事者として入っていく研究者は、その研究者として見えてきた知見を活動に再投入していくことが求められる。その立場になればなるほど、活動に強くコミットしていくことになり、当事者であり研究者としても同時に存在することの難しさが生まれてきそうだ。

 このような関わり方は、『拡張による学習』理論を作ってきたユーリア・エンゲストロームも「チェンジ・ラボラトリー」として指摘している活動である。
 『拡張による学習』については以下のマガジンでポイントを考察している。

 上記の本では、「チェンジ・ラボラトリー」についての具体的な進め方や方法論は、これからのこととして語られていない。

 その空白部分を埋めるためにも、本書『実践アクションリサーチ』から学べることが多そうだ。

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使った研究への意味

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドの理論的な根拠、その効果や展開可能性を研究していこうとすると、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使ったワークショップを実施するファシリテーターとしての立場と、そのワークショップで起こっていることを観察しようとする研究者の立場の両方を考察していかねばならない。

 事後にアンケートをとったり、モデルの写真や記録をとったりすることで、自分自身のワークショップ結果の分析を行ってきたが、果たしてそれでよいのかという感じもする。
 また、活動の中でより良い成果を出そうと創意工夫をしようとすればするほど当初の研究計画から離れていって、結果として、成果は出たものの研究結果をまとめられなかったことも度々ある(今でもそうだ)。

 活動をリアルタイムに展開しながら活動の発展に寄与し、それを研究としても残していく方法の基礎について本書をもとに学んでいきたい。

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