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『肉中の哲学』をレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドの文脈で読む(5)第四章 ~p.78

 第三章では、人間の思考が身体の構造との強い関係がある可能性が示された。身体化された思考の現れが「メタファー」を使った思考である。
 
 特に感覚運動領域に由来する心の中のイメージと関連の深いメタファーが人間の思考にとって特に重要である。それを本書では「プライマリー・メタファー」と呼んでいる。

 その特徴は以下のような点にある。

・一方で主観的な体験や判断があり、他方に感覚運動体験があるとき、その二つは規則的に融合してプライマリー・メタファーができる。
・プライマリー・メタファーが原子的であるとするならば、全ての複雑なメタファーはそれらが組み合わさった分子的なものである。
・分子的に結びついたメタファーは、ニューロンのようにネットワークを発展させていく。これによってメタファーとメタファーがつながっていく。
・異なる概念領域のメタファーが連結することもある。これにより、新しい推論に思考が導かれることがある。

 このような特徴によって私たちは生まれてから、徐々にメタファーを獲得し、メタファーになじみ、それを使って考えることができるようになる。メタファー以外の概念も当然存在するが、メタファーの存在は大きすぎるので、メタファーなしに考えることはできないほどである。

 プライマリー・メタファーは何百と存在する。本書で代表的なものとして紹介されているものからいくつか選ぶと次のようなものがある。
・親愛は暖かさ
・重要なものは大きい
・幸福であることは上にあること
・親密は接近していること
・悪いことは臭いこと
・困難であることは重たい
・見ることは知ること
・助けることは支えること
・種類分けをすることは容器に入れること

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドとの関連性

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドで作られるモデルにおいても、「プライマリー・メタファー」は現れやすいだろうと想像できるし、過去のワークでの作品を見ても、ワーク参加者の作品に「プライマリー・メタファー」が使われていることはよくわかる。

 メタファーが人々の思考に深くしみこんでいるとするならば、モデル作りのときにも、あまり「メタファー」を作るときに意識させなくてもよいかもしれない。むしろ、結果として作品に現れた「メタファー」を指摘することで、無意識の領域にあった思考に気付かせるように支援するほうがファシリテーターとしては正しいのかもしれない。

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