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アナロジーの力とレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッド

 新しい発想や問題解決策を生み出すときに、「アナロジー」が重要な役割を果たすと指摘する本は多い。

 その代表的な本の一つといえる細谷功氏の『アナロジー思考』では、「アナロジー」とは、日本語で「類推」とされることが多く、その意味は「類似のものから推し量る」ということである、と説明がなされている。

 この「アナロジー」は誰もが普段から使っている思考の一つである。私たちは過去の状況において得られた経験から何かを学びながら生きているが、その過去の状況と全く同じ状況を経験することはない。多かれ少なかれ異なる(同時に類似している)状況に置かれているわけだが、そこで過去の経験を活かして生きている。
 つまり、「アナロジー(類推)」の力があるからこそ、過去の経験を活用して行動できるのである。

 同時に、この「アナロジー」の力を上手く使える人とそこまで上手く使えない人がいる。
 その差はどこから生まれるかというと、上手く使えない人は見た目の共通点などの「表層的な類似」のみに着目し、上手く使える人は「構造的な類似」まで見通すことができる人であるとされる。

 すなわち、存在でも運動でも出来事でも、共通するパターンや要素の関係性を見ぬくことができるかどうかが、その人が「アナロジー」の力をどこまで引き出せるかの差となる。

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使うと、構造が浮かび上がりやすい

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使ってあることについて説明をするモデルを作ると構造的な要素を浮かび上がらせやすい。

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬のなかでのモデルは、意味をもった部分表現が複数集まって全体のモデルを形作る。そのため、意味と意味の連結としてモデルに込められたストーリーが語られる。これが構造的な表現のもとになる。

 また、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドでは、プロビルダーのように潤沢にパーツが使える環境ではないため、ブロックの種類や数は限られる。そのため、見た目そのものを作りにくく、構造的な説明へと意識が向くということもある。

私の好きなTVゲーム「バイオハザード4」の魅力を表現したもの。
見た目とは全然異なる(下のリンクを参照)

 それでも、「表層的な表現」に行ってしまう人もいるだろう。
 それを考えて「表層的な表現」に陥りにくいように「問い」を工夫するのがよいだろう。
 例えば「~~のどのような点が魅力的か説明するモデルを作ってください」とか「最悪の~~が持っている行動の特徴がよくわかるようなモデルを作ってください」などとすると、構造的な側面が出やすくなる。

 「問い」を工夫しても「表層的な表現」に行ってしまうときには、ファシリテーターが問いを投げかけて構造を掘り出すという方法もある。そのときは「この作品でもっとも重要な表現は何ですか」から始め、最も重要な要素とそれに関係している表現の関係について確かめていけばよい。

 ただ、「アナロジー」を使ったアイデア発想のワークショップなどでは、数を多く出すことも重視されることが多いため、ふせんなどに数を多く出すやり方に比べれば、その場で出されるアイデアはどうしても少なくなる。

 まとめれば、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドは、「アナロジー」を使った発想をさせたいときの前段階となる構造的な特徴をつかむ場面、または「構造的な把握」の感覚を持ってもらうための訓練的な使い方が良いと考えられる。

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