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話し合いのズレの体験を巡って~レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを活用してそれをどのように避けるか

先日、ある研修会に参加して、いろいろなワークを体験した。

非常に多くの学びがあったのだが、最も印象に残ったのは、ある問題について全員で話し合い、全員一致で解決策を定めるワークでの体験であった。

ワークへの参加者は19名で、5つのグループに分かれて同じ問題について考えた。まず、それぞれのグループで話し合い、全体でその回答を共有するというものである。

グループ内でも、グループ間でも話し合いの中で浮かび上がってきたのは、その問題のとらえ方(問題はプリントに説明文と図が書かれている)についての解釈およびそれを支える「前提」がずれているときには、話し合いが長引き、結果として時間と気力を大きく消耗するということである。

そのワークが終わったときには、久々に「これは疲れた」という感じを受けた。

今振り返ってみると、プリントに書かれた説明文と図をもっているということから、皆、同じように理解していると私自身、勘違いしていた。また、問題は中学校の理科の問題であったが、その問題文に出てくる言葉の「定義」を勘違いしたまま話を進めていた(30年以上前に学んだはずの内容で、自分の記憶を正しい信じ込んでいたのだから、それが違うことに気づいたときには、自分を責める気持ちと疲労感でいっぱいになった)。

他の参加者も、多かれ少なかれ私と同様の状態であっただろう。

そこに出てくる言葉の定義を共有していれば話は先に進むわけだが、そうなると、そこに現れるあらゆる言葉の定義をチェックしていくのかという問題が別に浮かび上がってくる。当然、すべての言葉の定義のチェックをしていたら、時間はいくらあっても足りない。

そこで問題を解くためのキーワードに限定するということになるだろうが、その問題を考えるためのキーワードを適切に見極められるのか、という問題も浮かび上がってくる。

こう考えてみると、ある問題について話し合いをするときには、その問題を考えるための「キーワードが何なのか」ということをあらかじめ設定できるならば設定しておくことが重要だといえる。もし、その問題においてキーワードが不明瞭でならば解決策に走るよりも、まずはキーワードを探してみることにエネルギーを割いたほうがよい

こうしたことをふまえると、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使ったワークショップにおいても、ファシリテーターは、まず、テーマとすることから一歩踏み込んで、そのテーマを考えるためのキーワードの探索および設定(定義づけ)を検討しておく必要があるだろう。

例えば、「新入社員の最初の一年の過ごし方」というテーマであれば、それを考えるためのキーワードをファシリテーターが探っておいて、そこから「新人」「仕事」「会社」などのキーワードが出てくれば、そこから
・「理想の新人とは」
・「質の高い仕事とはどういうものか」
・「目指すべき会社の姿」
などの問いを用意して進めるということが考えられる。

そのようなキーワードが明確にできないと感じた場合には、事前に関係者にインタビューを通じてキーワードを掘り起こしておくことも検討したい。

もしくは「あなたが考える新入社員の理想的な最初の一年とは」という問いでモデルを作ってもらい、その中で出てくるキーワードを掘り起こし、その後、そのキーワードについて改めて考えを語ってもらう(モデルを作ってもらう)、というプロセスも考えられる。これによっても、キーワードとそのキーワードが持つ意味というところをそろえる効果がありそうだ。

こうした作品を通じて、お互いのキーワードに関する考えの違いが明確になる。それらを踏まえて会社内の課題やテーマについて話し合えば、生産的かつ効果的な話合いや結論が導き出せるであろう。

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