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AIの発展による社会変化とレゴ🄬シリアスプレイ🄬のこれからについて考える

 先日、組織開発の実践・研究を推進するODNJの研究会にオンラインで参加した。テーマは生成AIの発展が組織や人事の在り方にどのようなインパクトをもたらしていくのか、という内容である。

 清宮普美代氏による2024年の組織開発のグローバルトレンドの話につづき、AIのトレンドに詳しい湯川鶴章氏と、自らAIビジネスと組織開発のフロンティアで活躍されてきた遠藤太一郎氏と刺激的な話が続いた。

 完全な耳学問ではあるが、自分なりに、今回の研究会の話から何が言えるか考えたことを下に書いてみる。

 まず、生成AIがこれから加速度的に進歩するだろうということである。人手不足も手伝い、人気のない働き口では切り替えられるところから導入されていくだろう。飲食店、小売、流通、農業で加速する。教育のように人不足だが権威的な風潮が残る業界はAIの導入が遅れるかもしれない。

 そうであるがゆえに、生成AIを上手く使えるようになった人々は抜け出していく。使わない人と使う人との差は開き、それがそのまま収入や生活水準の差になっていくと予想する。生成AIを上手く使える人は、手堅い勤勉な部下を複数人抱えるチームリーダーのような仕事ぶりになる。対面でのコミュニケーションが何よりも重視される仕事(介護や接客業など)以外では、仕事ぶりに差が出てくる。

 多くの既存企業では、使える人と使えない人が混在する組織になっていくだろう。混在する組織では、「使えない人」に合わせていかなければいけないため、組織の競争力はあがらないことになる(ゆっくり全体で沈んでいく感じであり、変化の圧力が小さいため安定を好む人には快適であろう。ただ、日本の各地で人口減少が加速するため、想定以上に早く行き詰ってしまうかもしれない)。

 一方で、生成AIを「使える人」は一人一人のパワーが大きくなるため、その分、仕事上での自由が得られて報酬の高いビジネスを展開する会社に入るチャンスが増える。ここでいう自由を与えられるとは、同時に組織内で自分がどのような立ち位置で貢献するかを責任もって決めなければならなくなるということでもある。

 そのような組織に入っていくためには、組織の目指すことをこれまで以上に理解し、自分がどう貢献するのかを考える機会が増えるだろう。そのためには、まず自分の特性や価値観をよく理解しておかねばならない。「自分が何をしたらいいかわからない」では新しい組織についていけないのである(そういう人でも伝統的な会社はしばらく残るはずなので、社会の中での働き口はある)。

 そして、今まで以上に、そのような組織で働く人は、サッカーチームのような組織に近づくことになる。AIを使うスキルと共に、全体を見て状況を理解し、コミュニケーションをとりながらポジションを調整し、その中での自分のパフォーマンスを最大化するような動きができるセンスが求められる。

AI時代の中のレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッド

 そのような社会の動きの中で、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドの役割はどうなるのだろうか。

 一つには、キャリアの分岐点(就職・転職など)の判断軸となる自分自身の価値観や特性を理解するというニーズにこたえる役割がある。そのようなことを助けるカウンセリング型AIも出てくることも予想されるため、そのようなサービスとの差別化と融合を考えていく必要がある。一つの形としてはイメージをレゴ🄬ブロックで作り、そこから出てきたキーワードを膨らませるのにAIを使うというつなぎ方だろう。ここで考えたことは具体的な文章や言葉にまで落とし込んでいくため、そのための仕掛けも重要である。

 もう一つは、組織に属している人向けに、組織全体が向かう先を見たうえで、その中で自分をどう位置付けるかについて考えるためのワークを提供するというものである。
 このとき「組織全体が向かう先」が見えない場合には、そこを考えるワークから始めることになるだろう。レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使った議論は非常に抽象度の高い話になる傾向があるため、それだけで全てを完結させるわけにはいかないが、組織が向かう大きな方向性を考えるための材料出しには有効な手法である。
 組織の中で自分の位置づけを考える際に大事になるのが、自分だけではなく他のメンバーはどう自分を位置付けることを考えているのかということまで理解することである。日々の経験の中でお互いの考えていることは変わっていくのであり、時間が経つにつれ相手への理解がずれてくる可能性は高い。チームメンバー間の考えていることを確認するメンテナンス的活動は、自由な組織こそより必要性が高まるだろう。小規模で人の入れ替わりが多く自由な組織であれば短い時間で相互理解を打ち立てる必要も高まる。そこにもレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドは貢献できる。

 いずれの役割は、現在でも求められていることであり、そのためのワークショップ・プログラムも作られているが、今後、AIの普及浸透によってこれまで以上に上記のことが必要になってくると考えられる。

 また、AI浸透とともにリモートでの働き方も徐々に増えてくるであろう。その場合にはオンラインでのコミュニケーションが中心になると思われるがレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドもオンラインへのより深い対応が求められるようになるだろう。組織の在り方や活動などについて考え語る際には俯瞰的な視点が欠かせない。オンライン上でそのような俯瞰的な視点を持たせたワークを確立することは今後の重要課題の一つである。

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