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レゴ®︎シリアスプレイ®︎で「真実の瞬間」にフォーカスする

 現代のビジネスでは「提供する商品やサービス」ではなく「顧客がしてもらう体験」がより重要になっているとしばしば言われる。そして、顧客に提供される一連の体験においても「この商品やサービスが素晴らしいかどうか」という判断に関わる体験が最も重要だと言われている。

 そのような体験は、その重要性を広く知らしめた以下の書籍に従って(もう30年以上も前だが)、「真実の瞬間」と呼ばれることもある。

 そのビジネスにおける「真実の瞬間」をつかむということは、その企業が行う努力を効果的なことに向けることにつながり、結果として顧客の満足を最大化することにつながる。

 ただ、何が「真実の瞬間」なのかについて、企業のメンバーが共有している状態をつくるのは決して簡単ではないと思う(少なくとも放っておいてはできない)。

 なぜなら、そのような体験は、長さも十数秒と短い時間で起こるからだ。つまり「一場面」としてつかむ必要がある。短い時間であるがゆえに企業のメンバーそれぞれで気づきが異なる可能性がある。

 また、そのような体験は、単に顧客に与えられた効用にとどまらず、それに伴う感情やその後に続く思考なども絡んで発生する。顧客の心の中を覗くイマジネーションが重要となる。さらに、そうであるならば、そこで行われたこと(提供された体験)と感情がどう絡んでいるかと言う表現や理解までメンバー間で共有する必要がある。踏み込んだ共有のためのコミュニケーションが必要なのである。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドで「真実の瞬間」を描く

 レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドは、文字よりも絵画的な表現ができるので、場面の描写に強みがある。絵が苦手という人でも表現がしやすい。

 また、このメソッドは、描写表現に感情や思考を同時に表現することも向いている。気持ちを表すブロックを加えるだけで簡単に表現できる。

 また、企業のメンバーでお互いに「真実の瞬間」を作品にして比べてみる他に、顧客に実際に作品を作ってもらう方法も重ねると良いだろう。企業のメンバーで作ったものはあくまで仮説であることを忘れてはならない。

 このNoteを読む読者の方に、少しイメージを沸かせてもらおうと、自分が関わる大学教育について「真実の瞬間 仮説」を作ってみた。問いとしては「学生が『この大学は良い』と感じる瞬間とは」とした。

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 写真の作品で示しているのは、学生が、プロジェクト活動やインターンシップなどを通じて、学外の人から褒められ、その褒められたことが大学の授業とつながっていると学生が気づいた瞬間が、「真実の瞬間」であるということである。

 作ってみて改めて思うのは、たぶんこの作品は私の願望が強くですぎていて、実際の学生の感覚とはずれているだろうということである。そのような自分の偏りを反省すると同時に、実際に学生はどう感じているのだろうと改めて思ったので、その意味で非常に良い機会になったと思う。

 ちなみに、「真実の瞬間」という視点との比較のために、「あなたの大学が学生に提供していることとは」という問いでも作品を作ってみた。その問いから出てきたのは、4年間の学びのプログラム全体(教育カリキュラムの縮図)だった。

提供していること

 このプログラムを受ける学生の内面が表現されておらず(そもそもブロックで存在が表現されていない)、その気持ちも全く出てきていないものになった。これは目的のための手段であると感じた。提供する側の視点が出過ぎてしまっている。

 改めてこのカリキュラムは何のためにあるのかを考えることが重要で、それは顧客を中心とした体験にフォーカスする問いから出てくるといえるだろう。そしてそれを掘り起こすのにレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドは大きな力を発揮するだろう。

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