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エフェクチュエーションとレゴ®︎シリアスプレイ®︎(2)確実性の原則

 起業家の成功行動を説明する「エフェクチュエーション」にはいくつかの原則がある。今回からは以下の書籍をもとにそれらの原則とレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの関係を考えていきたい。

確実性の原則とは

 本書で紹介されている第1の原則である「確実性の原則」は「手中の鳥の原則(Bird in Hand)」と呼ばれることもある。

 シンプルにいえば、自分の持っている手段で物事を進める、ということである。「何をしたらいいのか?」ではなく「自分の手持ちで何ができるか?」という発想から進む方向を探すということである。

 ここで、自分の手持ちが指すものは大きく3つある。

1.自分自身の気質、能力、特性
2.自分が知っていることー教育、経験、専門知識
3.自分が知っている人

 この3つをもとにしてどのようなものが創り出せるかという発想をするのが、成功する起業家であるということだ。

レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドとの関連性

 確実性の原則を働かせるときの大きな問題の一つは、「自分の手持ち」に気づかないことにある。「ジョハリの窓」を持ち出すまでもなく、自分の知らない(忘れてしまった)自分は誰にでもあるし、自分が受けた教育や経験の多くは使われていないと意識の底に沈んでしまう。知っている人についても、常に全ての知人を意識にのぼらせて生きている人はいないだろう。

 そのような眠った可能性を引っ張り出すのがレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドである。この3つについて、問いを出してそれぞれのモデルを作らせる。それらを組み合わせてビジネスのアイデアをつくらせてみるようなワークショップが思い浮かぶ。

 このうち、その人の「気質」や「特性」の引き出し方には気をつけたい。そのまま問いかけるよりも、「どのような社会が望ましいと思うか」や「どのような人々の力になりたいか」などのその人の「気質」や「特性」を反映し、かつビジネス・アイデアへとつながりそうな問い(外部と内部の境界にある接点(インターフェース)の問いともいえる)のフレーミングが効果を発揮しそうだ。

 ビジネスのアイデアに結びつけなくても、これら3つを意識して、さまざまな出来事に対処させるワーク(出来事のプレイ)も、起業家思考を間接的に鍛えるワークとなりそうだ。

 この発想の広がりを助けるものとして、進化生物学の中に「外適応」という言葉がある。これは、生物の進化において当初に果たしていたとは異なる点で適応の役に立つようになっていくことを指す言葉だ。例えば、鳥の羽は、当初は自分の体温を保つことに役立っていたのが飛行の役に立っていったという説がこれにあたる。
 自分の持っている専門知識や知っている人も、獲得したり会ったりしたときには思いもしなかった場所や機会で役に立つことがあるかもしれない。そのような発想を広げるためのワークも、レゴ®︎シリアスプレイ®︎でそれらを物理的に動かしやすく、視覚的にさまざまな意味を引っ張り出しやすい環境におくことができるだろう。

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