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最後の英語レッスン

もうすぐ辞めちゃう同僚に、最後の英語レッスンをしてもらった。

いつものテキストは使わずに、持って行ったお気に入りの絵本を使ったのだ。わたしは、彼にこの絵本を知って欲しくて持って行っただけなのだけれど、バッグから本を取り出すと「読んで」って。
幾つか意味を確認しながら読み終えた。

じゃあ、この絵本には何が書いてあったのか説明して。って。ヒントをもらいながら、やっと説明したら、じゃあ、次はいま話した事を書いて。って。ああ、これが勉強か。
きっと彼は、こういうふうに学んできたんだね。


今日は、とても重要なことを学んだからね。忘れないでね。と言われてじっと目を見たら、泣きそうになった。
あなたは大事な友達だから、いなくなるのがとても悲しい。と言うと。僕もそうだよ。君からは多くを学んだからね。

これから先、おじいさんになってもずっと君の事を忘れないと思う。


この本は、随分と前に雑誌に載っていたのを見て日本語版を買ったのだ。息子たちが小さい頃、わたしが願ったのは、本が好きな子になって欲しいと言うことだった。

本を読む事が習慣になっていれば、何かを知りたい時、学びたい時にすぐにその体制に入れると思ったのだ。疲れていても絵本を読む時間は惜しまず、寝る前には必ず読んだ。


ある時、家事を済ませて子供部屋に行くと、次男がソファーに座って、この本を読んでいた。3歳前後で、まだひらがなは読めなかったのだけど、彼は本の全文を暗記していたのだ。

「この本読めるの?」と聞くと「うん」
「全部?」と聞くと「うん」
じゃあ、今日は、お母さんに読んでくれる?と言うと、絵本の続きを読んでくれた。誰かに本を読んでもらうのってすごく気持ちいいんだね。

と言う話をしたら、ちょうどレッスン終了の時間になってしまった。

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