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振り返るにはまだ早いニャ

 段々と年の瀬も押し迫った先週のこと、夫のCovid感染が判明したことを前記事で書きました。幸い、症状はさほど重くならないまま丸1週間が経ちました。今日で隔離を解除、ボランティアでお手伝いをさせていただいている日系の病院での会議に、ちょこっと出席してきたようです。家族も今のところ皆無事でやれやれです。

 しかしながら、これから先も気をつけて生活することには変わりありません。夏を迎えたサンパウロでも、感染者はジワジワと増えて来たようで、屋外でも自主的にマスクをしている方々の姿が目立つようになりました。半年ほど前に感染、高熱を出した息子は、その時に余程辛い思いをしたのでしょう。非常にナーバスだったのが印象的でした。家の中でももちろんマスクを着用。W杯の決勝戦は友達の家で観戦するそうなので(自国が敗退しても引き続き試合は気になりますね。こちらではまだまだ盛り上がっています!)、念には念を入れているようです。

***

 家庭内Covid狂想曲が落ち着いて、今朝は久しぶりにウォーキングに出てみることにしました。夫はそこまで体力は回復していないようなので、私一人で。何か面白いモノが撮れないかとカメラを持参して。連れがいる場合、撮影に夢中になっていると置いてきぼりを食うことになるので、こう言う時は一人が気楽でいいものです。

 向かった先はいつもの公園です。途中、あるアパートの前でかなりの確率で出会うのは、ヘッダー写真の猫ちゃんです。アパートが立ち並ぶ通りなのに、誰かの飼い猫なのか?それとも地域猫なのか。。フレンドリーと言うほどでもないのですが、呼び掛ければ逃げることはなくこちらを見てくれます。なかなか良い表情の写真を撮ることが出来ました。

 公園に到着すると早速出迎えてくれたのは、こんな可憐な花でした。ミスミグサという、キク科の多年草だそうです。花の大きさは非常に小さく、直径は6、7ミリと云うところでしょうか。園内のアガパンサスは、夏の盛りを前に既に終わりを迎えていて、今日はこんな雑草?に心惹かれました。

ミスミグサ
あまり陽の当たらない場所に、ひっそりと咲いていました。
こちらは少し前に撮ったアガパンサス。外の植え込みではまだ見かけましたが、園内の見頃は終わっていました。

 まずは池の周りをぐるっと一周しました。今朝早くの気温は16℃ほど。最高気温も24℃だそうで、ウォーキングやジョギングにはちょうど良い感じでした。少し歩くと、池のほとりに見たことのない鳥が!これはシャッターチャンスかも⁉︎とテンションが上がります。

草に隠れてよく見えないけれど、君は誰⁉︎

  少し近づいて、さらにズームしてよく見てみると。

なんてことのない、単なる鳩でした(汗)ガッカリ。
黒鳥に餌をやる母子のそばにもちゃっかりモノの鳩の姿が。黒鳥の目はまじまじと見ると、ちょっとシュール。

 気を取り直し、池周りからそれて林道に入ってみます。木々が鬱蒼と茂り、揺らぎというか、透明なベールが下道の空気感を遮断しているように感じられます。さらにひんやりと涼しいのです。アップダウンがあるせいか、歩いている人も少ないです。

昨晩、夏の嵐が吹き荒れたのでしょうか。落ち葉がたくさん。
生き物たちが体を清め、喉を潤す湧き水。

 清らかな水の流れを撮影していたら、通りがかりの年配のご夫婦に話しかけられました。

「その水はPotável (飲み水)なのですか?」

と。正直なところ、散歩中のワンコたちが水を飲む姿、小鳥たちが水浴びする姿くらいしか見たことがなかったので、そのようにお伝えすると。

「犬が飲むなら大丈夫なのだろう。園内の冷水機の水より美味しいに違いない。」

と仰り、ご主人様が手指を丸めてコップの形にし、溢れ出る水を注ぎ込ませました。一口飲まれるや否や

「Água é boa (うまい水だ)!」

と仰り、奥様にもおすすめされていました。特にご主人様の話されるポルトガル語はRの音が巻き舌で、中南米の他国か、スペインやイタリアなど、どこかラテンの国のご出身かと思われました。少なくともサンパウロの方ではないようです。

 ご主人様の一言で思い出されたのが、ブラジルのボサノバの名曲、Água de beber でした。直訳すると「飲み水」となりますが、日本語では「美味しい水」と言う絶妙な言葉で訳されています。

 下の動画に挙げた女性ボーカルのAstrud Gilberto(ドイツ系ブラジル人)は、Antônio Carlos Jobim と並び、ボサノバの創始者と言われたJoão Gilbertoの元妻。あの「イパネマの娘」を英語で歌い大ヒットさせました。ボサノバの歌手の歌声は、(男女問わず)くぐもった囁き声のような、耳心地の良さが特徴のように思います。小野リサさんの歌声もまさにそんな感じでしよね。

 もしお時間があれば、Astrud版(ポルトガル語ですが)、Antônio Carlos (Tom)Jobim版のÁgua de beber を是非聴いてみてください。ブラジルが誇る、偉大な作曲家、編曲家、プレイヤーで歌手でもあるAntônio Carlos Jobim。彼の没後(1994年12月)、彼に敬意を表しリオのガレオン国際空港の名前が、アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港に変更されたのも頷けます。

***

 帰りに公園の少し先にある日系のスーパーまで足を伸ばしてみることにしました。洗濯物ピンチハンガーの本体が劣化し、修繕を重ねても上から落ちてくることが多くなって流石に買い換え時です。スーパーの2階にDaisoがあるので、もしかしたらあるかも⁉︎との期待がありました。

 店内に入り、まずは2階入り口付近に陳列されている日本食品の値段をチェック。やはりカレールーは高い(1000円くらい)。今日は買う予定はないので見るだけ。健康食品、シリアル売り場もチェック。オーツ麦はあれど、今話題の⁉︎大麦の押し麦ははなさそうで残念でした。大きなスーパーの、シリアル量り売り場ならもしかしたらあるのかもしれません。

 2階の奥の売り場でピンチハンガーを見つけました。クリスマスが間近なので、オーナメントなども棚に並んでいます。今年のお気に入りをまだ買っていないことを思い出し、サンタクロースの小さな置き物を買うことにしました。二つともほぼ同じ値段。財布の中で増えてしまった小銭をレジで排出し、

「小銭は助かるわ〜」

とレジの方に喜ばれました。Daisoでなので、大した買い物でもないのに恐縮です。

 家に辿り着き、歩数を調べたら約12000歩とのことでした。それほど暑い日でもなく、心地よい疲労感。家にいると一人きりになるのがなかなか難しい環境なので、一人で外に出て思考を整理させて、少しスッキリした(ような)気がしました。

今年のお気に入りたち。ドライフラワーは、娘がどこかのマーケットで買ってくれたもの。撮影の後、二つ一緒に寝室のチェストの上に飾りました。

 振り返れば精神的になかなかハードな一年でした。これから先、このサンタクロースを飾る度に2022年の色々を思い出すことでしょう。とはいえ、大晦日までまだ後10日余りありますね。残された日々にも、皆様に幸せな出来事がたくさん、たくさんありますように!



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