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【13】日ソついに開戦~牡丹江駅初の爆撃~

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ここ掖河東方10㎞の丘陵には部隊が処々にはりついている。
人馬の動きに注意しつつ、滻木地帯の中に第126師団司令の位置をつきとめる。

師団参謀の1人、高岡中佐が砲隊鏡を前に「やぁ、ご苦労。配備状況 良し。」と部隊をいちいち眼鏡に捕捉しながら示して配備完了を告げた。
丘陵の中の更に小突起に部隊はそれぞれ配備についている。

この時初めて爆音が聞こえ、東方より20機余りの爆撃機が現れた。

師団通信隊は急いで滻木の中に馬を分散した。
金属製の爆音は頭上を通過し、牡丹江市街上空に達し旋回後、わが対空砲火なしと知るや急降下爆撃に入った。

各所に黒煙が上り、一番著しいは牡丹江駅付近であろう。
戦争により当然来たるべきものきたという程度にしか感じなくなっていた。


われわれはもと来た道を戻り、次は第135師団司令部へ―。

浜綏線北側に向かう際、掖河で田中曹長に礼を言って別れ、自動貨車に乗り換え、軍酒保より甘味品を若干積み北に向かう。
丘陵地帯に入ると師団輜重隊が道路の一側に装備を集積し夕食の準備中である。

丘陵の最高部の坂を登り、小さな小屋に着き扉を叩く。
日焼けした師団長をはじめ幕僚部の顔が揃っており、古びた机の上に地図を広げ作戦協議中である。

本土日北方の山合いに15輌の戦車が現はれ師団砲兵により挌挫したと部隊長以下意気軒昂で、その残骸を眼鏡に捉えてまだ燻っている2輌を見せてもらう。
眼鏡に夕闇がせまり炊煙がとけ合ってあたりが莫糊としてくる頃、第135師団を去り両角少尉は1日の結果を月岡参謀に報告した。

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