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英語を話せる人は、「言い換えがうまい人」【英語は1】

 英語学習業界に、長年かかわってきて、ずっと疑問に思っていたことがありました。それは……たくさん単語を知っていても、TOEIC のハイスコアを持っていようとも、英語が話せない人がいる一方で、単語なんて全然知らないのにペラペラ話してしまう人がいるのはなぜなのだろう……?ということでした。

 そこで、客観的に他の同時通訳の方を見ていて、

 英語がうまい人 = 言い換え能力が高い人

 ということに気が付きました。

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 私も通訳ですが、英語辞書の端から端まで知っていますか?と言われると、全然そんなことはありません。でも、スピーカーの言うことは全部訳せますし自分の言いたいことも全部表現できます。

 なぜそんなことが可能なのか……これはすべて、言い換え力が高い、ということにほかなりません。言い換え力とは、言いたいことを簡単な日本語にしてそれをすでに頭の中に入っている英単語に瞬時に言い換える力。これが英語ペラペラのカギなのです。

 この「言い換え」の能力が高くなればなるほど、自分の知っている単語だけで言いたいことを英語で表現できるようになります。

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 たとえば、こういうことがありました。

 私は毎年年末に、英語コーチングをしているクライアントさんたちを招待して、ランチ会を開催しています。以前のランチ会でのこと……。ネイティブスピーカーが2人ほど参加していたのですが、彼らは私から遠い位置に座っていたので、完全に、クライアントさんたちに対応をお任せしました。
 すると、メニューを決める段になって「奥村さ~ん」とクライアントのSさんからHELP の声が。

Sさん:「『 メインメニューをチキンかスズキか選べる』って言いたいんですけど、スズキって英語で何ですか?」
私:「white fish でいいんじゃないの?」
※ white fish = 白身魚
Sさん:「えっ、そんな…」
私:「 大丈夫。アメリカでは、魚は、サーモンか白身魚の2種類しかないから!」
注) 日本では、魚の種類というと20種類以上思い浮かびますが、アメリカではスーパーに行くと3〜4種類しか魚は売っていません。ここではそれらをまとめて「白身とサーモン」といっています。

 ここで私は、「スズキ = 白身魚 = white fish」と言い換えたのです。瞬時に頭の中で。ですから、するっと言葉が出てきましたし、辞書を引かなくても済んだわけです。

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 海外に行って現地でもまれていると、大多数の人は英語が話せるようになります。それは、上記のような瞬時に英語に変換しなければならない言い換えトレーニングをたくさん積むからです。

 たとえば、ファーストフード店で注文する時に「お持ち帰りで」と言いたいとしましょう。「お持ち帰り」の単語がわからなくても、目の前には店員が「まだ?」という顔でにらんでいるし、後ろにはたくさんの人がお腹をすかせて待っている。こんな状況で悠長に辞書なんて引いていられません。なんとか自分の頭の中にある単語で「お持ち帰り」を組み立てると思います。

 ちなみに「お持ち帰りで」はTo go, please. と言いますが、たとえばI will eat at home.(家で食べます)と言っても言いたいことは通じますよね?

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 こういう「瞬時に頭の中に入っている単語で自分の意思を伝えなければいけない」状況下に毎日毎日おかれていると、言い換えがうまくなります。海外に住んでいると英語がうまくなるのは、実はただそれだけの話です。

 これが、話せる人と話せない人の違いです。(つづく)

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