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本や映画など、触れたコンテンツの感想をまとめています。
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買ってよかったもの2019 《本編》

#買ってよかったもの 1.平野啓一郎『マチネの終わりに』物語は、クラシックギタリストの蒔野と、海外の通信社に勤務する洋子の出会いから始まります。初めて出会った時から、強く惹かれ合っていた二人。しかし、洋子には婚約者がいました。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまいます。互いへの愛を断ち切れぬまま、別々の道を歩む二人の運命が再び交わる日はくるのか── この本に出会えたから本を読んでいてよかったな、と思うくらいお気に入りの一冊。選択の積み重ね

可能主義者

読みたいときに読みたいものを買うし、本のまとめ買いはしないので、積読というものが滅多にない。そんなわたしの数少ない積読本が、これだ。 ファクトフルネスとは──データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。 世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。 ようやく読みはじめたのだが、積読本にしていたことをものすごく後悔した。学びや

密度の保ち方

※このnoteは、以下の作品のネタバレを含みます。ご注意ください。 ・スイートリトルライズ/江國香織 ・レンタル世界(『ままならないから私とあなた』より)/朝井リョウ ・偽装不倫/日本テレビ2019年7月期水曜ドラマ 人と人とが関係を保つためには、努力が必要だ。どんなに仲の良い相手でも、何もしなくてもずっと同じ密度で関係を続けられるかというと、きっとそうではない。 スイートリトルライズこの日常に不満はない、と瑠璃子は思う。淋しさは人間の抱える根源的なもので、自分一人で対

愛すべき「もしも」の世界

※このnoteは、以下の作品のネタバレを含みます。ご注意ください。 ・LALALAND ・マチネの終わりに/平野啓一郎 ・秒速5センチメートル/新海誠 もしあのとき別の道を選んでいたら2人で生きる未来があった。そういう作品の切なさはたまらなく愛しい。そんな作品のおかげで、些細とも思える選択が積み重なって現実を作っていく残酷さや、だからこその尊さを感じる複雑な気持ちに出会う。 ただ、その「もしもの世界」に対しての捉え方は作品によって異なると思うのだ。 LALALAND

「課題の分離」自分らしい人生を歩むために、知ってほしい考え方

大ベストセラーとなった『嫌われる勇気』。この中で、特に「課題の分離」について取り上げたい。わたしはこの考え方を知って生きるのが楽になり、納得感を持って日々を過ごすことができるようになった。 ただし今回は「課題の分離」の説明もするけれど、同時に”「課題の分離」をあえてしないことがあってもいいよね”という話もする。ぜひ読んでみてください! 「課題の分離」とは『嫌われる勇気』では、 なかなか勉強しない子ども/その子どもの親 を例に出し、「課題の分離」について説明している。

「天気の子」映画と小説の両方を堪能した上で書く感想文

※ネタバレを含みます。嫌な方はしっかり映画か小説、またはその両方を読んでからお進みください。 ※超個人的な感想文のためもちろんあらすじ全てを網羅するようなものではなく、しかも話があっちこっち飛びます。最初から最後まで超個人の見解です。 映画と小説、それぞれの役割今まで正直、映画をノベライズ(小説以外の表現手法やメディアで既に作成・発表された作品を、小説の手法で表現しなおして発表すること)する意味がわからなかった。逆は受け入れていた。たとえば『ナラタージュ』とか、もともと小