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ライターからエンジニアに転職しました

こんにちは、きくちです。

2018年3月から4年半、フリーランスとしてライターを続けてきましたが、ライター専業の生活に終止符を打ちました。

2022年8月に異業種転職して、Webエンジニアをしています。久しぶりに会社員です。

入社から1年、新しい仕事を続けることができたので、今までライターとしての私を応援してくださったみなさんに、転職についてご報告します。


※ 文中の「エンジニア」は、基本的に「Webエンジニア」を指しています。

写真/土田凌

どんなライター?

前提として書いておくと、2018年にフリーランスでライターになりました。

主な仕事は、インタビューをして記事を書くこと。媒体はWebメディアがメインで、ときどき紙媒体も。ライター以外に、編集や企画、ディレクションを担当することもありました。

ビジネスからライフスタイルまで多様なジャンルで書かせてもらってきましたが、軸になっていたテーマは「ローカル」です。

取材を受けてくださった方が活動されている地域におじゃまして、その方のアイデンティティーと原動力についてお話を聞いてきました。

取材を通じて思ったこと

ライターとしてインタビューを重ねるなかで、自身のキーワードとして浮かび上がってきたのは、「覚悟」や「決めること」。

この仕事で生きていく。この地域で生きていく。

こういう未来のために、今この選択をする。

そういった強い決意をしている方々にお話を伺うなかで、「自分の力の使い所は、どこなんだろう?」と自分に問うようになりました。

「一生、ライターで生きていく!」と決められなかった私にとって、インタビューの場は、人生の先輩たちに「自分の歩む道をどうやって決めたのか」を教えていただく大切な機会になっていたように思います。

テキストが長いので、沖縄の景色でときどき休憩してくださいね。


そんな日々のなかで、次第に「記事を書くことに加えて、他の方法でも役に立てる自分になりたい」と思いを強めていきました。

これは特に、地方取材を重ねるなかで強く感じたことです。

取材によっては数日間、取材を受けてくださる方と行動を共にしながら、お話を伺ってきました。

今悩んでいること、突破したい壁、それでもその壁を乗り越えたい理由。

地域に対してどんな思いを向けているのか、どんな未来を描いているのか。

目指すことがあってお忙しいなかで、取材のために時間を割き、真摯な言葉を投げかけてくださる。

そんなみなさんに対して、私はいったい何をできているのだろう?

悩んでいることや目指す未来まで伺ったのに、記事を書いて自分の役割を終わりにするのは、個人的にどうしても納得がいきませんでした。

それに、仕事の特性上、取材するのはすでに完成したものやスタートしている取り組みがほとんどです。

つまり、困っていたことの一部でもすでに解決していて、何かが完成したり、何かを見据えられるようになった段階でお話を伺います。

でもその段階に至るまでには、目指す未来を模索し、迷ったり考えたりした時期がある。

そういった経緯を伺ううちに、「メディアに出る前の定まりきっていない時期から、一緒に走れるようになりたい」と思うようになりました。

もちろん、広めていく役割も重要です。

ただ私の場合は、一緒につくるところから参加したい気持ちが強くなっていきました。これはもしかしたら、私の周囲にものをつくる人が多かったことが影響しているかもしれません。

こうしたもやもやをまとめると、以下のようになります。

1. 課題解決を目指して解決策を提案し、長期的に伴走したい。
2. 人の「やりたい!」という思いを形にする過程から参加したい。

この2つは、ライターとして責任を感じる範囲ではないと言われれば、そのとおりです。

それにライターのままでも、上の2つを実現する道はあると思います。

ですから「ライターの職業に限界を感じた」のではなく、「自分がやりたいことをやる方法として、今まで選んできたやり方だけでは難しい」と感じるようになりました。

そして、1と2を実現するスキルが、自分には圧倒的に足りていない。

そろそろ、自分の技術を増やす時期かな、と思うようになりました。

なぜエンジニアなのか?

IT業界を選ぶことに迷いはなかった

とはいえ、最初からエンジニアと決めていたわけではありません。

職種より先に業界としてイメージしやすかったのが「IT業界」です。IT業界であれば、ライターの仕事をしてきたWeb業界も含まれます。

ライターから会社員になった友人から「業界と業種の両方を同時に変える転職は大変だよ」とアドバイスをもらっていたこともあり、IT業界からは離れないことにしました。

それだけでなく、取材を通じてIT業界の可能性をたくさん見せていただいたことも影響しています。

デジタルシフトやITサービスがきっかけになり、人や企業、地域の可能性が引き出されていく。

その広がりに心動かされて、「そんなきっかけの一部をつくる仕事がしたい」と考えるようになりました。

ライターとして続けたことが、エンジニアに活かせるという仮説

それでも「なぜエンジニアなのか」にはお答えできていませんね。

もともと、大学生の頃からエンジニアの方と関わる機会があったり、取材でもエンジニアの方にお話を伺う機会があったりと、比較的近い距離にある仕事でした。

エンジニアを目指そうと決めた最初のきっかけも、勧められたことです。Webエンジニアを15年以上続けている知人から「向いているんじゃない?」と言われたことで、エンジニアの選択肢を考え始めました。

そして調べたりお話を聞いたりするうちに、ライターからエンジニアへの転職は、今までやってきたことが活かせるのではないか、と発想のヒントをもらったのです。

試しに、ライターとして続けてきた仕事を分解して、そのなかで自分が「苦手ではないように思うこと」もしくは「苦なく続けられること」を並べてみます。

・情報を集めること
・文章を読むこと
・言葉(→言語)を書くこと
・論理的に構成を組み立てること
・地道な作業をすること
・細かいところに気づくこと(例:誤字)

ライターって自分の名前と顔を出すことも多いし、華やかな仕事だと思われがちのようなのですが、少なくとも私の場合、取材以外のほとんど全てが上に当てはまる仕事でした。

これらってそのまま全て、エンジニアの仕事にも役に立つ特性です。手段が自然言語からプログラミング言語に置き換わったくらいで、根本的には通じるものがあります。

……このあたりはあまり納得してもらえないポイントのようです。

でも「必要とされている役割を、言語を使ってどう実現するか」まで抽象化すれば、やっぱり重なる部分はあるのでと思っています。

さらにエンジニアとして実力が身についていけば、先ほど挙げた2つを満たせる仕事にも関われる可能性がある、と取材で教えてもらいました。

1. 課題解決を目指して解決策を提案し、長期的に伴走したい。
2. 人の「やりたい!」という思いを形にする過程から参加したい。

大好きなインタビューも、この2つを実現する上で活きてくるはずです。


つまり転職理由をまとめると、このようになるでしょうか。

・前提として、取材を通じてエンジニアの方にお話を聞いたり、ITの可能性に惹かれていたりした
・エンジニアを目指した最初のきっかけは、人に勧められたこと
・エンジニアの職業について知るうちに、ライターとして今までやってきたことを活かせるのではないか、と思えた
・技術を身につけられれば、ライターのときにできるようになりたいと思った長期的な伴走ができる可能性も高い

どうやって目指したか

とはいえ全く未経験の職種に転職するので、準備のために勉強を始めました。

ちなみにこの経緯に含まれないほど前に、プログラミングの勉強を何回か始めて、そして100%挫折してきた私です。最終的に腹をくくれたのは、お金の投入でした。

エンジニアに異業種転職する人向けのスクールのような講座にまとまったお金を突っ込んだことで、「あんなに払ったし……」という理由につなぎとめられ(笑)、やっとゴールイン。

2022年2月に講座がスタートし、ポートフォリオ作成と転職準備を経て、2022年8月に今の会社に入社しています。

エンジニアになってみて

Webエンジニアの仕事は、みなさんが普段から接するような、WebサイトやWebアプリケーションの開発や運用・保守です。例えばECサイトのような。

私は、お客様のオファーを受けてサービスを実現するためのコードを書いています。ほぼ毎日、コードを書く日々です。

業務内容や働き方に関して「想像と違う!」なんてことはあまりなかったのは、転職前からエンジニアさんにお話を聞いてきたことと、ライターの仕事と重なる部分があるからだと思っています。

「必要とされている役割を、言語を使ってどう実現するか」の観点で言えば、学べば学ぶほど、実現できる方法が広がるのがおもしろいところです。

時には「ぜんぜん勉強が足りない……」という気持ちになることもありますが、「まだまだこんなに学べることがある!」とも思います。

つまりまとめると、おかげさまで、転職後も私は元気に仕事しています!

これから目指すこと

せっかくの機会なので、書き残しておきます。

ライターを続けてきて一番嬉しかった瞬間は、私が書いた記事を読んで、精神的に苦しい時期にあった友だちが「自分の仕事を肯定できた」と感想をくれたときです。

他にも、記事を読んでその企業の募集にエントリーされた方がいたり、公開から数年経っても記事を読み返してくださっている方を見かけたりと、この仕事をしていて良かった、と心から思える場面がたくさんあります。

そうやって、人と人とのつながりをつくれること、自分の仕事がそのきっかけの一部になれることが、最もしあわせなことでした。

今後は文章だけでなくプロダクトも通じて、人と人をつなげ、人の可能性が広がるきっかけをつくっていきたいです。

人と人をつなげるマッチングやイベントも、自分の範囲で続けてきたので、これからはITの力で外に届けられると思うとわくわくします。

そして、転職を通じて関わる領域が大きく変化したことで、領域を横断できる人になりたいと思うようになりました。特に目指したいのは、テクノロジーとローカルの横断です。

ローカルで、時には都市よりも可視化されやすい課題に対して、立ち向かっている方々にお会いしてきました。

そんな最先端のローカルと、テクノロジーの最先端を行ったり来たりできる人になる……!

そのためにも、今は自分の力を蓄える時期だと思っています。またローカルとの交点をつくれるように、日々を地道に重ねていきたいです。

さいごに

ライターになってから、たくさんの方々とのご縁をいただきました。

大切なお時間を割いて私に向き合ってくださる、取材を受けてくださった方々。一緒に走ってくれるクライアントさん、制作メンバーのみなさん。私に愛と学びを注いでくれた先輩のみなさん。

そして、読んでくださる方がいなければ成り立たない仕事です。SNSやメッセージでいただいた感想を見返しては、勇気をもらってきました。私に書き続ける力をくれて、ありがとうございます。

そんな大切なみなさんに「これからも書き続けてね」と言っていただけるのは、文字どおり身に余る幸せなので、いつどんな形になるかわからないけれど、また何かお届けできたら。noteもたまに更新しますね。

ここには書ききれないほどに、たくさんの方々と出会い、関われたことが、私を育ててくれました。おかげでたぶん、ライターを始めた頃と比べて、けっこう違う自分になれたと思います。

これからもみなさんへの感謝を忘れずに歩いていけたらと思うので、また何かご一緒できることがあったり、そうでなくてもまた関われたりしたら、嬉しい限りです。

今まで渡していただいたもの全てを新たな旅の糧にして、より多くの方の役に立てるように頑張ります。

手を動かせば、未来は変わると信じて。

ここまで読んでくれて、ありがとうございました。


【追記】
このnoteをきっかけにお声がけいただき、コラムを執筆しました。noteよりも転職準備そのものにフォーカスを当てています。

異業種転職をするかどうか迷っている方に、何か参考になることがあれば嬉しいです。


【ライターとして書いてきた記事はこちら】


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