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『PERFECT DAYS』

この文章を書いている今日、ほんの数時間前に鑑賞してきた。
派手ではない、どちらかというと淡々とした内容だが、そのせいかじっくりと、時間が経つにつれて響きが増してくる。

映画館に入る前/映画館から出た後で、景色が変わったような気がした。劇的にではなく、静かに。この感触は、明日になったらどのようなものになるだろう。とりあえずは空を見上げてみたくなり、見上げてみるだろう。

映画とは、こういうものかもしれない。映画のチカラとは、本来こういう映画から醸されるものなのだ。現代は表現が多岐に渡り、多様な作品に触れる機会も多いが、その分、良いものに出会う確率も少なくなっている。

若い頃は沢山映画を観た。沢山観て、刺激を受けた。若い感性だからこそ、響いたに違いないものも沢山ある。歳を重ねた今は、若い時ほど多くは観ない。時に気になったものを観るくらいだ。他にやることが沢山あるからだ。けど、その沢山ってなんだろう?

この映画は年齢を重ねてきた今だからこそ、響くのだ。人生の後半戦を、いかに自分が生きたいように、できうるならば幸福に。
そのためにも、観ておいて良かった、出合うことができて良かった映画だと言える。
ひとつひとつの、今の今。そこに対峙する自らの、心構えが開かれる。

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