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人生で最も幸福だった10日間−30万円使った初めてのヴェネツィア旅⑤

準備のためにハノイについて調べている中で気づいたことがありまして。

このヴェネツィア旅は10年くらい前のことなので色々情報が古いし、
鮮度のある情報を求めて読む方からすれば価値が無いかと思います。

今更ですが…
それでもよろしければ、引き続きどうぞお付き合いください…!

ハノイについては私の初キャンプ同様「行ったらわかるやろ精神」で飛び込んでみるつもりです。実際に現地に着いたら色々わかるはず。たぶん。
むしろそうじゃないと旅行なんて行かないでしょ。なんて。

さて、前回からの続きです!


気合いを入れて本島2日目

張り切ってAM9:00にローマ広場到着

昨晩雨に降られて濡れたTシャツやらなんやらをホテルの部屋に干したまま、別のTシャツをインナーにして上からツナギで覆います。

「オシャレ」というものを日本で手に入れずにヴェネツィア入りしていた私は知らないおじさんから「Are you working?」とか聞かれる事態に遭いますが(おもしろすぎる)、防犯上良かった思い出として美化しています。
ツナギを着る経緯はこちら↓

さて、日記によりますとこの日の私はAM9:00にローマ広場に着いています。
張り切って到着しましたが天気はあいにくの曇り空。身体が重く、いまいちテンションが上がらない。
そこで、気持ちを切り替えて通りを散歩しながらサン・マルコ広場に向かうことにしました。どうせ迷うんだから、もっとゆっくり見て回ろうということです。

まず朝早いと当然人があまりいません。それってゆっくり通りを歩けるを歩けるということです
ここに住んでいる人はいつでも見れるのかもしれないけれど

Venice 11:29
ちょっと肌寒かったです

やっぱり迷いながらCaffè Florianに到着。
日記を書いている時間が11時29分という事実に今更ながらびっくりしているのですが。まぁカフェラテ飲みながら書いていますからね。到着の時刻じゃないから(たぶん)。

Caffè Florianにて

雰囲気ありますね

昨日も来たのに今日も来たんですよね。そしてカフェラテを注文し、ゆっくりと飲みながらまた色々なことを考え、日記に書いていきます。もはやそれは日記なのかどうか。

"今やってることは何のためなのか"
考えることもあっても良いけど別になくても良いと思う
だって何故だかわかんないけどやりたくなって、せずにはいられなくて
やっぱりやって良かったなんていつでも思えるわけでもない

Venice 11:29

当時の私は前職で負った色々が治っておらず、身体というよりも心の方が疲れていました。何かを計画して考えられるような心の体力がなく、衝動でしか行動できなかった…ということなのだろうと思っています。

一言で言えば「もう疲れた、休みたい」という感覚です。

自分に合わない職場で無理して働くことは、自分にも相手(職場)にも不幸なことだから、辞められるなら(しばらく生活できるなら、とか条件はあるにせよ)早く辞めた方がいい。今はそう思っています。

ですが、当時の私は周りから言われた「3年間は同じ職場で頑張れ」「3年未満で辞めたらもうどこにも雇ってもらえなくなる」という言葉を鵜呑みにしていたんですよね。もう社会復帰は無理なんじゃないかと。3年どころか半年しかもたなかったよ、と。

私は”普通の人”にできることもできないくらいダメで”普通以下”
そんな奴は”普通”に生きていくなんてできないんじゃないか

…今にして思えば笑ってしまうくらい極端なんですけれど笑、まぁ傷ついていたんですよね。実際そんなに落ち込むことでもないと思いますけどね、合わなかっただけなんだし。

今はそう考えています。
でもここまでずいぶん時間がかかりました。
当時はとにかく自信をなくしていたし、自分の内側を覗き込んでも何も見つからなくて怖かったなぁ。

まぁ、そんな私も帰国する頃には200%元気になっていたのですが。

ヴェネツィア、最高だったので。

初めての水上バス「ヴァポレット」

カフェを出た私は狂ったように歩き回ります。
次に日記を書いているのが18:40なので、昼食を除けば夕食前に足を休めるまでずっっっっっと歩き回っていたみたいです。リハビリどころじゃない。日本ですらこんなに歩いたことがない。

さて、このあたりで水上バス「ヴァポレット」を紹介します。

手前がゴンドラ、中央左がヴァポレットと停留所です

このバスは文字通り水上を走るバスで、決められた停留所を周りながら乗客を運びます。バスによって周るルートが決まっていて、時刻表に従って運行しています。
日本国内でも街中を周っているバスがありますよね。あんな感じです。違いは陸上を走るのではなく水上を走るところ。

利点は料金が決まっているので値段交渉でトラブルになりづらいこと、ルートが決まっているので迷いにくいこと、1人でも乗車できること。

ヴェネツィアといえばゴンドラのイメージがありますが、ゴンドラだと複数人のグループでの利用が一般的なので、私のような1人客は利用が難しいのです。できなくはないですけれど割高といいますか。

このヴァポレットがですね。めっちゃ良いんですよ。

移動速度は速くもなく遅くもなく、という感じでして、よくわかんないんですけど不思議に落ち着くんですよね。のんびりしてます。
せっかちな人には合わないかもしれませんが私は心地よかったです。景色も眺めながらボーッとできます。

しかも!
私が購入した乗り放題チケットはこのヴァポレットを運行している会社のものなので、メストレ⇔ローマ広場のバス+ヴァポレットが乗り放題になるのです。
便利すぎる。7日間で50€ってまじか。今はいくらなんだろう。

別日ですがこんな感じで進みます

ちなみにこれは私の偏見だったのですが、ヴェネツィアに限らず海外って時間に正確なイメージがなかったんですよね。郵便も届いたらいい方とか電車も来たらいい方とか、色々な話を聞いていたので。

でも実際はけっこう時刻表に正確だし、かと思えば乗り遅れた人を(ちょっとだけ)待ってくれたりもしたし、全然困りませんでした。

体験は体験として固有のもの。どうしても知りたければ実際に行ってみるしかないということでしょうか。

Ae Ocheで突発的コミュニケーション

教会に行く

日本にいる時から教会に行ったことがありませんでした。
映画「ホーム・アローン」で主人公の少年が祈りに行くところが教会だよなというくらいの認識です。

今だって知識があるわけじゃないけれど、コテンラジオに出会ってから関心が出てきて少しはマシになりました(なったと思います、たぶん)。

そんな当時の私でさえも何かを感じることができるくらい、サルーテ教会が印象的でした。

自分でも驚くほど教会が良かった 僕も神妙になった
表情とか照明、静けさなんかで何かを感じることができる

Venice 18:40

失礼なのかもしれないのだけれど。でも伝えたい。
何も知らない私ですら、足音に気をつけるくらい静かに行動したし、外に出るまで一度も声を出さなかった。感覚的に、自分のそういった行動がこの場にふさわしくないような気がしたからです。いや、気のせいかもしれないのだけれど。

建物の中は外よりもひんやりとしていて、その温度感が私を静かにさせた…のだと思います。

今思えば寺社仏閣に行ったときも勝手に神妙になるし、特別に意識していないだけで日本にいた時から何かを感じていたのかもしれませんね。

サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会にも行きました


スウェーデン出身の女性と突発的コミュニケーション

いくら計画力の乏しい私でも「行ってみたいお店」くらいは調べていました。自分でも入れるくらいカジュアルで、料理がおいしそうで、価格帯の合ったお店を。

そのうちの1つがAe Oche(アエ・オケ)です。

…と!お店のURL載せようと思って調べたら「閉業」と表示されるのですが…!!!!
zattere店が好きでほぼ毎日行っていた。。。
イタリア語が読めないので確かめようがありません。本当に??

外観はこちら

とにかく…私はこの日Ae Ocheのzattere店(チェーン展開しているらしい)に向かいました。もちろん迷いましたが、歩いていればいつかは着くものです。

写真に写っている外の席と店内とのいずれかに通されるらしく、私が案内されたのは外の席でした。店内が混んでたみたいです。

で、ですね。

相席なんですよ…!!

女性(すごく感じが良い)に導かれるように座ってみた

Venice 18:40

ふわふわした知識しか持ち合わせていないので真偽のほどはわからないのですが、もしかして相席って割と普通のことなのでしょうか。日本で全然経験しないことだったのでものすごく動揺したのを覚えています。
とにかく私はメニューの中からマルゲリータと水を注文し、目の前に座っている白髪の女性にそわそわしていました。

すると突然、彼女が話しかけてきたんです!!
誰に?って私にですよ!!

そこからの私はとにかく必死でした。私はなんとかコミュニケーションをとろうとまた頭が痛くなるくらい集中しました。引き出しを開けるだけ開けて、床も天井も引き剥がして、そこから「知っている単語」を引き摺り出す。語順も発音も気にしていられないくらい必死でした。

彼女は何度も聞き返してくれて、言い直してくれました。それでも埒が明かない時は筆談になって、それにも応じてくれて。まさか話しかけた相手がこんなに言葉の通じない人間だとは思っていなかったのではないでしょうか…嬉しかったのと同時に申し訳なくもありました。だからこそ必死になったのだとも思いますが笑。

わかったことは、彼女がスウェーデン出身の人で、今は大学で働いていること。夫と娘がいること。中国語か何かを教えているみたいで(私の英語力の限界)、筆談の際に「大学」の”学”を”學”と書いていたこと。それもめちゃくちゃ綺麗な字で。私は書けない。

私が持参していたコミックス「ARIA」を見せると「これは有名なの?」と聞いてくれて「私の娘は漫画が好きなんだ」って教えてくれました。ヴェネツィアを舞台にした日本の漫画なんだってことを伝えたけれど、どこまで伝えられたかはわからない。

恥を晒していくと「university」を「universe」と聞き間違えたり、「lady」と言ったら「ready?」と聞き返されたり(私の発音の問題)、途中から英語の発音講座みたいなことをしてもらったり(さすが先生…いやいや休暇中にごめんなさい)。

恥ずかしい思いをたくさんしたし、申し訳ない気持ちもたくさん抱えました。もっと英語が話せたら、彼女も楽だっただろうに。

それと同時に自分の中に在った「言葉の壁」みたいなものが
ほんの少し薄くなったようにも思いました。

「わかりたい」「伝えたい」なら、必死になればなんとかできるんじゃないか。

思い返してみれば、そんな思いを抱くきっかけだったのだと思います。

先に食事を終えていた彼女は店員を呼んで「finished.」と伝えて店を出ようとしていたので、彼女にお願いをして一緒に写真を撮ってもらいました。記念に撮りたいってことを伝えるととても驚かれたけれど、笑顔で「ok!」と答えてくれた。嬉しかったなぁ。

1人前=ピザ1枚の世界

彼女がお店を出て少ししてから、私が注文したマルゲリータが届きました。
こちらになります↓

生地がサクサクでおいしい。撮る前にちょっと食べてますね笑

1人前=ピザ1枚なんですよ。
あなたは知っていましたか?

いやいやいや。1枚を1人で全部食べるって信じられない。
いや、注文時に知っていましたよ。ピザは1枚でくるってね。でも小さめのピザが出てくるのかなって勝手に思っていました。
注文前に不安がっていた私に彼女は「大丈夫!」って笑ってくれたし。ピザって1枚をみんなでシェアして食べるものだと思っていましたので。。。

もう1日分食べたと思ったね。そりゃイタリア人はでかくなるわけだ

Venice 18:40

また極端なことを日記に書いていますが、当時は本当にそう思ったんですよね。
食べたもので身体はできているわけですから。。。

事実、この食生活を続けてヴェネツィアを歩き回った私の両脚は
過去最大の筋肉を獲得し、ふくらはぎが肉割れを起こしました笑。

日本では眠るのが朝の3時とか4時とかだったので当然朝食は食べないし、13時とかに起きてちょっと食べて夕方からまた夜中まで働く。
夜勤の日は22時から働いて2時くらいに何かしら食べて朝まで働いて、AM9時くらいに帰ってきてシャワー浴びて寝て、ようやく15時くらいに起き出してきて何か食べて…みたいな生活を送っていました。

こんな生活を送っていたらめちゃくちゃ太るかめちゃくちゃ痩せるかどっちかです。私は後者で肋骨が浮き出ていました。

一方ヴェネツィアではたくさん食べてたくさん運動してたくさん眠って。日本にいた頃よりも健康な生活を送っていました。昼夜逆転していないだけでも大きな変化ですが、食事と運動も大きく変わったんですよね。

この日「もう1日分食べた」と満腹になっていた私も、
旅中にピザ1枚くらいペロリといける身体に変わっていく(!)んですから。

そりゃ肉割れも起こすよってもんです笑。急激な変化に肌がついていかなかった。

…と、ここまではどうにかこうにかやってきていた私でしたが、この晩に私の起こした些細なミスから不運が重なってローマ広場に着くのが21時を過ぎてしまいます。
そこからバスに乗ってメストレ地区にあるホテルに向かわなければいけないにも関わらず、です。

初めての海外ということもあり、私の計画では日が暮れてからホテルの外を歩くつもりはありませんでした。
ヴェネツィアはイタリアの中でも治安が良いと聞いていましたが、それにしたって敢えて夜に出歩きたいと思うほど私は好奇心旺盛ではありません。私は本来臆病なのです。

その話はまた次回!

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