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変なおじさん#2

晩ご飯の食材を買って、スーパーの前のベンチで電子書籍を読んでいたら、知らないおじさんに声をかけられた。

「それは電子書籍ってやつかい?」

電子書籍に興味がおありのようで、書籍のダウンロード方法やどんなコンテンツが配信されているかを話していたら、ポケットからiPhoneを取り出す。腕時計はG-Shock、ベルトはエドウィン。タイトなジーンズにスニーカー。今時なスタイル。アロハシャツを着ていたと思う。

当初は、学術書は発行部数が少なくて、価格が高い、そして電子書籍としての流通は困難だとか、百科事典の話だったが、話題は携帯電話に移行する。

「今や携帯電話を七台持っている人がいるが、悪い事に使っている。」
「夜の新宿のペンシルビル、綺麗な姉ちゃんに誘われて店にいったら、おさわりする箇所によって個別に料金設定がなされていることがある。」
「株の利益で一喜一憂する者もいれば、俺のように300円のワンカップ酒を求めるのに苦労する者もいる。」

十五分ほど引き止められた。おじさんは帰り際に焼き鳥屋に並んでいたが、おじさんの話に興味を抱いているオーラを出せば、焼き鳥の数本くらいは奢ってもらえた気もするが、いかんせん、面白かったのは冒頭五分くらい。

そういえば、別れ際にこう言っていた。
「ショウガを買ってこいって言われてな。ショウガない。」

暖かくなると変なおじさんが増える。

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