「店じまいのサンタ・クローズ」
深夜2時をとうに過ぎたというのに、男性の話し声はまだ続いている。
きっと越してきたばかりの隣人なのだろうと思いながら、ベランダの窓をそっと開けた。
すると足元のサンダルの上に、小さなサンタのおじさんがいた。
「ああ、ようやく気づいたのネ。寒いから早く中にいれてよ」
15センチほどのおじさんは、サッシをよっこいせと飛び越すと、畳の上に体を投げ出した。
赤いサンタの帽子をかぶっているが、服はグレーのつなぎで、胸に一輪の薔薇を挿している。シワのある顔をしていて、見れば見るほど普通の