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エッセイ:物語こそ、あらゆる人間の心を動かし、社会を良くするためのツールである

「これから僕が、メンヘラセフレの粘着質な遠隔ストーキングに遭って、職を追われかけた話をしようか」

日本人は、というか人間は物語が好きだ。日本で言うと、日本最古の物語とされる竹取物語に始まり、浦島太郞に桃太郎、さるかに合戦、舌切り雀にこぶとり爺さんなどなど。幼少期に読み聞かせられた絵本の数々は大人になって「あーそんな昔話もあったよね」と、書店の幼児教育コーナーを通りかかる度にコンマ0.6秒だけ思い出す。

小学生になると、ブラウン管から流れてくる映像と音声をガチャガチャ組み合わせた物語に夢中になる。まだテレビの編成が30分区切り時代だったゴールデン帯。水曜夜7時に流れるドラゴンボール、金曜7時からはドラえもん、いつまで続くのか日曜夜6時半のサザエさん。当時はまだ14インチ→19インチのブラウン管・テレビリモコンなしだったので、チャンネルを変えるのはわざわざ立ち上がれないといけなかった和室のちゃぶ台という環境。

思春期にはもっぱら恋物語に夢中になった。月9・カンチとリカ。ロンバケ、ラブジェネ、10代なんて暇と性欲だけは持て余しているからクラスの可愛い女子との妄想デートに励んだ。時には頭の中で女子を真っ裸にして、それはそれは卑猥なことをしたもんだ。そこで初めて、自分にとって最高に都合の良い物語を作ったんだと思う。

その物語が初めて現実になったのは高校3年生の冬。地下鉄千代田線・北綾瀬駅徒歩7分、環七通り沿いのスキーショップAlpineから徒歩2分の外壁真っ白の賃貸アパートの101号室。1つ年上の女子大生と、である。名前は覚えてないけど、確か地下鉄有楽町線の平和台駅が最寄りだったな。

大人になって、物語を組み立てる仕事をするようになった。作るのではなく、組み立てる。0から1ではなく、1から10をつくるイメージ。読者・視聴者は何に感動し、興奮し、嫌な気持ちになるのか。名作ドラマに映画、ドキュメント、不朽の名作の物語を分析し、言語化してみると、なんとなく勝ち筋が見えてくる。

不朽の名作ということは、たくさんのバカ、つまり単純な思考しか持ち合わせていない人々が「わっかりやすくて面白い!」と後世にわたり評価をするということ。半年ごとのサイクルで放送される水戸黄門と大岡越前、松方弘樹の印象しかない遠山の金さん、エンディングテーマは必ず北島三郎が歌う暴れん坊将軍。日本人がどっぷり洗脳された判官贔屓物語の最大のヒーローは越後屋、お主じゃったぞ。

人間の心は感情が記憶している。感情が動くその先には、必ず物語がある。ダウンタウンの松ちゃんが言っていた。「中学生に勉強した歴史なんか全くと言っていいほど覚えていないけど、テスト中にカンニングをした中大兄皇子と中臣鎌足だけは覚えている」と。これはカンニングという自分的非日常物語が心を動かしたからだ。

物語は心を動かす。2024年の本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」。47都道府県でベスト地味なランキングに入る滋賀県だけが舞台。圧倒的な物語で滋賀に愛着を持つ。琵琶湖とびわサーモン以外に誇れるものがないと勝手に想像する滋賀県に成瀬という物語が加わったことで、当たり前のように聖地巡礼が起きている。

かつてキャプテン翼でサッカー小僧の心を動かし、スラムダンクはおろしたてのバッシュをみんなで踏んでみたいと心を揺り動かした。これも物語である。

手前味噌だが、私は物語の組み立てでそれなりの人の心を動かしてきた自負がある。これまで書いた数百本のインタビュー記事が賜物としてデジタルタトゥー化している。

今はずっと、頭の中に「物語をつくる」がある。マンガの吹き出しにしたら鳥山明先生のDr.スランプ アラレちゃんの「んちゃ!!」の吹き出しくらいでっかく、まあるく占めている。

たくさんの物語を組み立てて気づいたのだが、物語に0→1など存在しない。企画が「なにか×なにか」を組み合わせるように、物語も「なにか×なにか」だったのだ。

苦手意識のあった物語づくりにようやく進める。「成瀬は天下を取りにいく」を読みながら、苦手意識がなくなっているのがわかるのだ。お客さまの中で、私が苦手意識のあるシイタケが好きになる物語をかける人はおりませんか?

冒頭の「」は実話である。2000字でも、3000字でも、1万字でも書けるし、トークにしても尺のコントロールができる。興味ある方は直接私に問い合わせください。




いや、しなくてけっこうです。




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