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大好きなクラフトビール飲みながら「わたしは破天荒だ」と叫びなさいよ

「相変わらず破天荒やな」

「え、そうかな?」

そうかなと言っている割には嬉しそうな顔してんなおい。

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2023年の年始だっただろうか。僕は彼女のnoteを本気で読んでいた。

僕は文章を読むときに「流し読み」「普通読み」「本記読み」のモードを切り替えている。流し読みはざっと概要がわかる程度の読み方、読むと言うより見る近い感覚。普通読みは新聞記事などを読むとき、事実だけを把握するためのもの、読書もこのモードである。

本気読み。エッセイ、コラム、日記など、当人の思いが吐露されている文章。noteを見ていると、パソコンの画面から湯気が出ているんじゃないないかと熱量の込められた文章や、ファン冷却が始まったのかと思うほどクールで冷たい文章に遭遇する。note上で50人に1人くらいの書き手で、本気で読まないといかんなこれはという文章。

彼女のnoteには人生の、感情の、ジェットコースター絶叫系とも例えたくなる文章が綴られていた。彼女に教えてもらったnoteを、彼女の目の前で本気で読み込んだ。とあるカフェにて。

彼女は8歳ほど年が離れている。30代後半。noteに綴られていた彼女の半生。キラキラなんかじゃない、ドロドロのギスギスした半生。自暴自棄。「生まれてこなければよかったのかな…」とまで彼女に言わせた複雑な家庭環境。

人の見た目と、その人が生きてきた人生の中身。「あ、こんな見た目だから、きっとこんな人生を歩んできただろうな」とわかりやすい人もいる。

彼女は違った。見た目と半生のイメージがリンクしない。隠すのが日常か、上手なんだろう。地頭の良さはかなりのものだ。

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「破天荒やな」と言った福岡・赤坂のアメリカンレストランで、彼女からの近況報告を聞いた。数ヶ月会っていなかったので、話題には事欠かない。

ここ一ヶ月、自分と向き合う中で迷いや葛藤が"また"生まれてしまったこと。向き合いの中で抜け出しつつはあるけど、不安が抜けないこと。

彼女はプロコーチ。コーチングを駆使して、クライアントの背中を押し、精神的自立へのファーストステップを促す。クライアントが笑顔になれば、彼女も笑顔になる。

そんな彼女が、だ。"また"迷い、葛藤している。知り合って数ヶ月だし、なんなら会って話したのも数ヶ月ぶりなのに"また"迷い、葛藤している光景を見たのは何度目だろうか。決して僕に視線を合わさない凜とした横顔で、クラフトビールのグラスを傾けながら真顔で考え込む。

しばしの沈黙。なんだこれ、コーチングセッションかと思いつつ、僕は考え込む。首を右斜め上に傾けて斜めを見る抜けないクセがあって、考え込んでいるのがすぐにばれる。フェイスもポーカーじゃないけど、考える仕草もポーカーではないらしい。

人間は生きていれば思い悩む。不安もある。特に何かにチャレンジするときは失敗への不安もある。平々凡々という言葉は一体誰に当てはまるのかというくらい、時代が進めば進むほど死語になっていく感覚。

彼女はいわゆる人生のレールから外れよう外れようと思って生きてきた、とnoteに綴っていた。彼女の生い立ちも、それまで生きてきた人生も、全部本気で読んだから知っているつもり。彼女もまあ、僕の半生を知っているし、今の価値観もよく知っている。

彼女はこの夏、約1か月のあいだ日本を離れて海外に旅立っていた。息子2人を連れての3人旅。ある国からのインスタのリール動画。スリに遭ってしまい、スマホ以外ほとんどがなくなってしまったらしい。ほぼ一文無しってなつね。

「ふぇーマジかい」と思い、動画を見たら、なんと彼女、笑ってやがる。この状況でだよ。笑ってやがんの。笑いながら「助けてください」って日本の仲間に呼びかけている。

「あ、こいつやべー奴だわ」

僕も笑ってしまった。彼女にも言ったけど、爆笑した。サイコーじゃんと。

でも、帰国してまた不安で落ち込んで。いやいや、それだけの体験したんだから、もっと自信もてるっちゃろ。

別のクラフトビールを飲みながら考える横顔の彼女にどんな言葉を紡げばいいのか。

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僕だって悩む。自分自身の客観的な立ち位置がチューニングできていなくて、どう在るべきか、どうやっていくべきかがブレまくっている。とはいえ、ばたついて藻掻いてある程度は負荷をかけないと生きている心地はしないので、動く。関心のままに動く。

動いているときは船酔いがしそうなくらい気持ち悪くなることもある。でも、俯瞰的に見ると、「オモロイことやってんじゃん」「応援するよ」という声も頂く。ありがたい。

この1年でご縁を頂き、様々な経験をさせていただいた。この経験がすべて自分の思考をアップデートさせてくれた。より人生を豊かに生きるための選択肢が広がった。

そして、彼女もは月末に、とあるコンテストに参加するという。なんとファイナリストになったらしい。大会は東京。プレゼンやらスピーチやら、大きな舞台のために研鑽を積んでいる。

なんだ。ちゃんと前に進んでいるじゃないか。このプロセス、バリサイコーやん。

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今月、ひさびさに彼女に会ったとき、顔つきが変わっていると思った。海外の刺激が彼女の思考をアップデートさせてたんだろうな。彼女には(たぶん)言わんかったけど、大丈夫。きみは良い方向に進んでいるよ。

僕にはひとつ、できないことがある。挑戦をためらっている女性に「挑戦しよう」と声をかけること。挑戦している女性に「応援するよ!」「何でも相談して!」と言うことはできるんだけど、異性の僕が言うのはなかなか響かないみたい。

僕からひとつ、お願いがあるんだ。挑戦を不安がっている、ためらっている女性に言葉をかけて、自らの挑戦の背中を見せてあげてほしいんだよね。「もうやってるよ!」というのは知っている。

でも、もっともっと突き抜けてほしいんよ。

きみがnoteで綴った半生をひっさげて、幼少期から持っている天才性を岡本太郎ばりに爆発させて、缶のクラフトビールを片手に油山の頂上から「わたしは破天荒だーー!」と叫んでみてよ。

破天荒、自由奔放。大いに結構じゃない。

そんな人生になったのは運命だよ。いままで生きてきた人生の一コマ一コマに意味があるんよ。かつて「生」を蔑ろにしていたきみだからこそ、今の生きる女性のエネルギーになれるんじゃないかな。

天神の街を見てごらんよ。「生きてる」と「生かされてる」の人たちが、くっきりわかるでしょ。きみは「生きてる」。だからこそ、"また"不安になり、葛藤する。証左だよ。

たぶん今後も、藻掻くよ。しんどいーって言うよ。不安も出るよ。サイコパスじゃない僕たちは、それで生きる心地を得る。それが「生きてる」人たちの役割かつ運命だから。






ともに滾りましょう。











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