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フリーランススキルの本質 大いに物語れるか、大いに企てられるか。

企画とは、物語とは、いったい何なのか?

フリーランス系のnoteやXを見ていると、ポートフォリオ的な記事を載せている人が結構いる。かくいう私も載せている。それはそれでもちろんやっておかなければいけないことだし、実績を掲載する上では大切なことだ。

私に至っては自分の名前のドメインを取得して自分のサイトを作って公開している。(いつもnoteの記事最下部に貼っているやつ)半年ほど前にばばっと作って公開して、それなりに満足はしていたのだが、それだけではいかんと思い、再構築を考えている。

正直、他にやらないといけない作業が山のようにあるので、考えるだけで全く手を動かせていないのが現状だが、今後のためにも作り直さないといけないと痛烈に感じている。

作り直しのキモになるのは「企画」と「物語」である。結論から言えば、「企画」と「物語」を作る力を磨けば、どんな仕事でも成果が出せるし、どんな場面でも注目されるしモテる。

コルクラボギルドが主宰する編集の学校に入って、「企画」と「物語」の在り方について自己分析する時間が増えた。

「企画」とはなんなのか?
「物語」とはなんなのか?

前職・放送作家という職業は企画屋でもある。台本を書いたりプレゼンをしたりとたくさんの重責を担っているが、基本は企画屋だと、私は思っている。

作家駆け出しの頃の企画書の中身を思い出すと、まぁひどい。ゴールデン向けの企画で全視聴者を対象にしたものだが、ドキドキもワクワクもしない。あの頃は「面白ければ何でもいい!」のスタンスで、奇をてらった企画ばかり書いていた。

それらの企画には「物語」がなかった。ただただ面白いと思う事柄をくっつけて掛けあわせて企画にしただけで、「はじめに」から「おわりに」まで一貫した物語がなかった。だからそりゃあまぁ面白くないし、ワクワクしないし、なんならもし、この企画が通って放送されたら誰かを傷つけてしまうのかもしれない。

「企画」と「物語」はセットである。誰かが何かを企て、物を語る。語られた先にあるドキドキやワクワク。人間の心理や心の動きを構造的に理解できる人がヒットメーカーとしての条件なのだろう。

ファンのアーティストなのに曲が盛り上がらない…

「物語」がなくて、感動を味わえなかった過去の体験。

1994年、高校1年生の時に日本武道館へライブを見に行った。今でも好きなロックアーティストのライブ。その年にファンになって、アルバムの曲を全て聞き込んで、その曲が生で聴ける。ファンと一緒に合唱できる。ワクワクが抑えきれずに降りた九段下の駅、上る階段。

武道館は大いに盛り上がった。ヒット曲の大合唱、ライブの定番曲が流れた瞬間の「うぉー!!」という地鳴りのような歓声。夢のような時間を過ごしていた。

ところが、この盛り上がりが数分だけ冷めてしまう時間があった。さて、どんな時間だったかというと、

「えー、次は初めてみんなに聴いてもらう新曲を披露します。曲名は●●」

ベースリフが始まり、リフに合わせてギターリフが始まる。曲自体はノリのいい16ビートの曲調だった。今ではそのアーティストの代表曲の一つになっている。

ところが武道館、この曲が演奏されている数分間は微妙な空気が流れていた。それはまるで「俺、オリジナル曲のバンドをやっていてさ、ライブ今度あるから見に来てくれない?」と誘われてライブハウスに足を運んだものの、友人とは言え、何の情報もない知らない曲を聴かされるのは結構苦痛だった、みたいな状況。

武道館を満員にするアーティストであっても、知らない曲を演奏されると微妙な空気になる。ノリたいのに、ノレない。武道館に来ている約1万人が感じたもどかしさが微妙な空気を醸し出したのだ。

このエピソード、30年経った今でも書けるくらい当時の自分は心が動いていたのだ。

先輩放送作家の知らない曲が沁みた話

逆のパターンもある。放送作家として駆け出しの頃、ミュージシャンとしても活動し、ダウンタウンの番組をたくさん担当しているスター作家。その方がミュージシャンとして都内のライブハウスでライブをするという話を聞きつけ、NSCの同期と一緒に見に行った。

アコギの弾き語りのスタイルで、披露した曲は6曲ほど。活動期間がそれなりにある方なので、馴染みの曲とされる曲には手拍子や歓声も起きて、それなりに盛り上がった。

ひとしきり盛り上がった後、その方はMCの時間でこんな喋りを披露した。

「えー、次に披露するのはきょう初めて発表する曲です。この曲を作ったのは、僕なりの物語がありまして、、、、」

と、この曲を作った背景や物語を3分ほどのトークに落とし込んだのだ。

話術のうまい方なので、観客席からは首がもげるんじゃないかくらいの頷きの嵐。お客さんは彼の話を聞いて、曲の物語に没入したのだ。

「それでは聴いてください。●●(曲名)」

どんな曲でどんな歌詞だったのかは全く覚えてない。でも、その曲を聴いた後に心が沁みたことだけは覚えている。「知らない曲でも、曲作りの物語を話すという企画があれば、お客がきちんと聞いてくれる確率が高まるんだ」という物語があるんだと知った日だった。これをもっと早く知っていれば私もメジャーデビューできたんじゃないかと思ったほど。

フリーランスにも必要な「企画力」と「物語力」

「企画」と「物語」を作る力は、フリーランスとして活動する上で非常に重要なスキルとなる。

ハッキリ言ってこの力を養うには、クリエイティブな業種ではない組織勤めの人には相当な訓練が必要となる。仕事以外でアンテナを常に張り続け、仕事と遊びの境界線をなくす必要がある。

一文で書くならば、糸井重里の名キャッチコピーよろしく「くうねるあそぶ。」なのだ。

遊ぶことで何に笑い、何が楽しくて、何に感動するのか、自分の中で言語化する。

遊びを繰り返してこそ、フリーランスとして必要な「企画力」と「物語力」が身についていくのである。




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