見出し画像

「こころ」で覚えたものは忘れない

記憶する、と言われると、普通は「頭で覚える」ことと思いますよね。

つまり学校でイヤというほどやらされた、あれです。
典型的なのが丸暗記ですね。

まずは「あいうえお」50音から始まって、算数の九九、数学の方程式、物理の公式だとか元素記号だとか、歴史年号だとか、四字熟語だとか、英単語だとか……

とにかく、ありとあらゆるものを、ただテスト(評価)のためだけに、有無を言わさずに覚えさせられてきた (-_-;)

もうほんとにね、子供心にもバカバカしくて大嫌いでした。

確かに九九は覚えていると便利です。
というか、これは覚えたほうがいい。

英単語も、ある程度覚えていないと、英語を読むのも話すのもできません。

もっともそれも、英語が必要ならば、の話です。
必要のない人なら覚える必要はない。
すべての人に英語という外国語が必要なわけではありませんから。

こうやって、メモリーがいっぱいあって柔軟な若々しい脳ミソに、ゴミのような無機質なデータ(すべてとは言いませんが)を無理やり詰め込まされてきたわけです。

そして、その記憶は、はたして残っているのか?
あれほど嫌々ながら時間や気力を消費したというのに、それらの記憶はその後、必要のないものからどんどん消えていきます。

記憶は、繰り返し呼び出すことによって定着していくものなので、使わなければ消えていきます。
これが脳の記憶の基本メカニズム。

一夜づけの記憶なんて、テストが終わったその瞬間にきれいさっぱり消えてなくなります。
ですよね?

何かを忘れてしまう、思い出せないというのは、実は時間の経過とは比例しません。

何年たったから忘れた、のではなく、そもそも記憶の回路への刻まれ方が浅かったから、インパクトがなかったから消えていったのです。
 

その証拠に、何十年も昔のことであっても、まるで昨日のことのように鮮明にありありと思い出せる出来事ってありませんか?

それは、親に言われたちょっとした一言だったり、友達と過ごした時間だったり、旅先のハプニングだったり。
 

そうした記憶は、普段はすっかり忘れているようでも、なにかのきっかけがあると、ひょこっりと頭をもたげます。

ああ、そうそう!
そういえば、あんなことあったよね!

旧友に久しぶりで会って、あれこれ話が弾むうちに、芋づる式にいろんな出来事が思い出されてくる経験は、誰しも覚えがあるものですよね。
 

では、なぜ、試験勉強の中身は忘れてしまうのに、友達と過ごした夏休みの冒険は、はっきりと思い出せるのでしょうか?

それは、こころに刻まれている記憶だからです。

いわゆる丸暗記的なものは、頭で覚えたもので、用がなければ忘れてしまいます。

でも心に刻まれた記憶は、それを連想させるような感情に触れたときに、遠い過去からたちまち鮮やかに浮かび上がり、蘇ります。

人の心を動かす話には、こうした「感情」が込められています。

出来事を語るのではなく、その出来事によって自分の感じたことを、あたかもその場にいるかのように語ることで、相手までをも、その記憶の中に引き込むのです。
 

たとえば――
アインシュタインが、あなたの高校の物理の授業に現れて、特殊相対性理論の公式を解説してくれたとしても、物理の理論そのものに感動する人は少ないと思うんですよね。

(きっと面白いだろうとは思うし、出来るものなら聞いてみたいですが!)

でもこの時、もし彼が、この理論を発見した時の自分の思いや喜びを語ってくれたなら、たとえあなたが物理嫌いであっても、感動するんじゃないかなと思うのですよ。

たとえ公式の意味がチンプンカンプンで、何一つ理解できなかったとしても、それでも感動すると思うのです。
なんといっても歴史的な大発見がなされた、その瞬間の話なんですから。
 

そしてその時、あなたの脳は、その感動とともに、あの有名な公式 “E = mc2” を記憶に刻み付けることでしょう。

意味が分かるかどうかは、この場合、関係ありません。
なぜなら、頭で記憶するのではなく、こころで記憶するから。

この時からあなたは、“E = mc2” という式を見るたびに、あの時のあの感動を思い出すんです。

これが心で記憶するということ。

わたしたちの記憶とは、実はこうして作られています。

頭の記憶は、生活していくための必需品です。
表面的です。実用的です。

一方で、生き生きとした感情とともに心に刻み込まれた記憶は、人生に彩りを添え、深みを与え、豊かにします。

あなたが人生で培ってきた財産であり、宝物です。

そしてその宝は一生涯、失われることはありません。
思いがけない時に、思いもしない形で、ひょっこりと立ち現れて、あなたの人生を支え続けてくれることでしょう。

・ ・ ・

・ ・ ・

日々を満たされて生きるために、いまわたしから始めるささやかな幸せ活動。

・ ・ ・

この記事を読んで、いいなと思ったり、参考になったり、感じるところがありましたら、スキ💖してみてね。

コメントなどいただけると、さらに嬉しいです😊
お気軽にどうぞ。

もし記事がお役に立ったなら、サポートいただけるとありがたいです。 頂いたお気持ちは、活動継続のために活用させていただきます。