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ワンピースとコラーゲン note食品学 4食目

さて、毎日note『食べ物のことについて毎日考えてみた』を書いていたので、note食品学として書くのは久しぶりですね。

アンケート企画の第2弾です。

今日は「ワンピースとコラーゲン」を書いていきます。


ワンピースと壊血病

ワンピースというのは、大人気の漫画『ワンピース』のことです。

単行本の5巻にて、出てくるあるシーンが今回のテーマです。

ゾロがルフィの海賊団に加わる前に一緒に賞金稼ぎをしていたというヨサクとジョニー。

ウソップが放った大砲の流れ弾に当たったヨサクは血を吐いて気を失い、ジョニーは先は長くないんだと相棒の死を覚悟しています。

そこにナミが「バッカじゃないの!?」と割って入ります。

相棒の死を愚弄されたと感じ、憤るジョニーとゾロ。

しかしナミは構わず、ルフィとウソップにキッチンからライムを持ってきて、ヨサクに飲ませるように指示します。

ここでナミがヨサクがかかっているであろう病名を明かします。

「壊血病よ」

ライムを飲ませたことで数日で治ると言われ喜ぶジョニー。

ナミからは、一昔前までは航海につきものの絶望的な病気だったけれど、新鮮な野菜や果物を載せられなかったことで植物性の栄養の欠乏が起こることが原因だと説明されます。


壊血病とビタミンCとコラーゲン

このナミが言う「植物性の栄養の欠乏」というのは、ビタミンCの欠乏を指します。

長い航海においては保存のきく食品を優先して、新鮮な野菜や果物を載せなかったために、それら食品から得られるビタミンCが不足することで壊血病が船乗りたちによく起こっていたということです。

なぜビタミンCが不足すると、内出血や吐血などの症状が出る壊血病になってしまうのでしょうか?

ここでコラーゲンの登場です。

コラーゲンは体を構成する上でとても重要なタンパク質です。

タンパク質はアミノ酸が多数重合している化合物です。

コラーゲンには、他のたんぱく質とは少し違った、特殊なアミノ酸「ヒドロキシプロリン」が使われています。

このヒドロキシプロリンは、プロリンというアミノ酸を酵素によって水酸化することで作られます。

この水酸化酵素が働くためにビタミンCが必要になってきます。


ビタミンCが不足した状態が続くと、プロリン→ヒドロキシプロリンへの転換がうまくいかず、コラーゲンもうまく作られなくなってしまいます。

コラーゲンは血管を構成する重要なタンパク質です。

コラーゲンがうまく作られなくなることで、血管が損傷し、組織の出血が発生すると言うのが壊血病のメカニズムです。

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ビタミンの欠乏が病気につながることを知ることのできる良い例ですね。

ビタミンというのは、「体内で合成されないか、合成されてもごくわずかなので、必ず食品から摂らなければならない栄養素を指します。

今では食品に含まれるビタミンが体の中で欠乏しないよう摂取しなくてはいけないことは多くの人が理解している、もしくは理解せずとも通常の食事からビタミンが欠乏の症状が出るほど足りなくなることは稀れかもしれません。

ビタミンという概念がなかった時代、病気を防ぐための「栄養素」に気を配った食品を船に積むということは難しかったことでしょう。

この航海における壊血病を解決するまでにも長く大変な苦労があったようです。

この壊血病が流行する大航海時代は1700年代のこと。

物質としてビタミンが発見されるのはそれから100年以上も経ってからとなります。

物質としてのビタミンを世界で初めて抽出したのは、日本の農芸化学研究者の鈴木梅太郎先生です。

この発見が1910年。ビタミンという物質が発見されてからまだ100年ちょっとしか経っていないんですねぇ


鈴木梅太郎先生と同じくビタミンの歴史に名を刻む日本人、疫学的手法により脚気の解決に奔走した高木兼寛先生については以下の本に詳しいのでぜひ読んでみてください。


おわりに

今回はワンピースで学ぶビタミンの欠乏とコラーゲンの関係性について学んできました。

ワンピースを読むことで、食品学や栄養学について知ることができると授業で伝えると、もう一度ワンピース読んでみます!の声が多数聞かれました。

普段読んでいる漫画や小説などにも食べ物について学ぶ機会が潜んでいるかも知れませんね。

これからも食事や食材の買い出しの際に、「食品」に目を向けて、そこに含まれる成分や反応について少し考えてみてください。

自分の目で見て、頭で考え、作ってみて、そして食べてみる。この経験をどんどん積み重ねていくことが管理栄養士となった時のあなたにとって役に立つはずです。

それでは、ごちそうさまでした。


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