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カンヌライオンズPR部門 2021/2020 受賞作をまとめてみた(グランプリ/ゴールド)

カンヌライオンズ、現地がとっても恋しいですが今年もオンラインでしたね、、!PR部門に限らず、受賞者の皆様おめでとうございます!

早速ですが、カンヌライオンズPR部門2021/2020の受賞作(グランプリ/ゴールド)を一覧にしましたので、興味のあるかたはぜひご覧くださいませ~(齟齬やニュアンスの違いなどあるかもしれませんがご了承ください、、)※オフィシャルのケースフィルムではなくyoutubeでそれっぽいやつを引用してきています~ ※同じキャンペーンで別カテゴリや別内容で複数受賞しているものは一つに集約しております

2021グランプリ:『THE BREAD EXAM』

Brand:SPINNEYS AND THE LEBANESE BREAST CANCER FOUNDATION
Entrant:MCCANN PARIS

◆アイディア:「TheBreadExam」は、中東全体に拠点をおくスーパーマーケットチェーンSPINNEYSとレバノン乳がん基金が立ち上げた乳がん啓発のキャンペーン。伝統的なレバノンのパン職人が、生地をこねるジェスチャーで、乳がんの自己検査の手順を実演するレシピビデオ。体の部位について口にすることができないイスラム圏の国で、”Breast”という言葉を一切つかわずビデオを制作。ソーシャルメディアで拡散できるよう、レシピ動画を暗号化した言語として使った。このビデオへのリンクはSPINNEYSのパッケージや、既製品のパンの包み紙などにも印刷された。ハッシュタグ#Khabazte(「パンを焼いたことがありますか?」を意味する)を介して共有されたこの動画は、女性がセルフチェックを忘れないように、パンを焼くことによって思い出させた。パンを焼くという乳がんの新しい言語を作成することで、乳がんを会話に取り入れた。

◆背景:乳がんは、世界中の女性のがんによる死亡の主な原因であり、6人に1人のがんによる死亡を占めている。しかし、研究によると癌の症例の96〜98%は、十分に早期に発見されれば治癒できる可能性がある。

女性が自分の体について公然と話すことができない文化のなかでは、早期発見は非常に困難。伝統的にレバノンの女性は自分の体について公然と話すことができなかった。中東全体の乳がん発生率は、2012年から2030年の間に2倍になると予想されており、これは世界のどの地域でも最も高い増加率。レバノン乳がん財団は、彼らの伝統とタブーに対して、独自のソリューションで文化的障壁を打破する方法を必要としていた。

◆リザルト:文化的にタブーとされていたトピックは普遍的な議論になった。パンのビデオは、世界中で1億1,200万人を超える人々に届けられ、300を超える主要メディアから賞賛され、タブーにもかかわらず、彼女らの声を増幅し、会話が始まった。レバノン大統領は個人的にイニシアチブに言及し、財団に報酬を与えた。世界対がんデーに、トルコ、ドイツ、英国のインフルエンサーが独自のレシピを共有し、各コミュニティがタブーを克服するのを支援した。さらに重要なことに、このビデオは、セルフチェックの方法を学ぶための自然で受け入れられる方法を女性に提供した。 4人中3人はそれを共有することさえ快適に感じた。ベーキングのおかげで、セルフチェックはタブーから伝統へと変わり、女性にまったく新しい儀式を提供した。86%が、ベーキングによってセルフチェックを認知した。

★きむかず所感:“文化的にタブーとされていた”女性の体(乳)の話題を、“伝統であり大変身近な”パン作りで伝えるという、逆説的なものを結び付けた点が秀逸なアイディア。こねる(触る)動作が同じという共通点を見つけ出し、「最も遠いものを、最も身近にする」ことを実現した点がすごい。結び付けも強引ではなくファクトで補強されており、パン職人、産婦人科医の知識を組み合わせて料理的にも医学的にも動画が的確なものになっている点も大事。

2020グランプリ:『CONTRACT FOR CHANGE』

Brand:ABINBEV
Entrant:FCB CHICAGO

◆アイディア:世界大手の穀物購入者であるビールメーカー・アンハイザーブッシュが、有機(オーガニック)農家に変化してもらうため、農家と契約を行うプロジェクト。その契約は、農家が有機化する際の障壁に応えるもの。有機農家変更の契約内容として、①移行後の最初の顧客になること、②移行中の作物も購入、③米国オーガニックトレード協会や米国農務省などの最も信頼できる農業組織を通じて、有機農業の実践に関する詳細なトレーニングを提供。移行する障壁となっていた財政面とノウハウのサポートを行った。

◆背景:アメリカでは有機農地がわずか1%しかない。より健康的で持続可能な有機農業システムへの変革をリードする機会を創りたい。2018年にアメリカで最初の大量有機ビールであるミケロブウルトラピュアゴールドを作成した。アンハイザーブッシュは世界最大の醸造所としての経済力を活用し、より健康的で持続可能な有機農業システムへの変革をリードする機会を模索していた。

◆リザルト:175人の農民がすでに変更契約に署名しており、104,000エーカー(アメリカの大麦農地全体の4%)が変化を開始。Contract For Changeは、2023年までに有機大麦の作付面積を3倍にし、これらの農家は毎年12,000ポンドの有毒除草剤から環境を守り、国連の持続可能な開発目標(二酸化炭素排出量の削減、土壌の健康の改善、空気と水をきれいにする)への前例のない貢献を示す。これらの農場は何世代にもわたって、オーガニックビールだけでなく、癌、アレルギー性疾患、肥満のリスクを軽減するのに役立つあらゆる種類の食品を改善する。

★きむかず所感:一昨年もバドワイザーで再生可能エネルギー100%のキャンペーンで受賞などあったが、やはり大企業ならではの影響力の大きさというのがポイントかなと。そして農家が有機化するのにボトルネックになっている部分を「仕組み」で解決することで、社会全体の変化を生み出していくというところが企業のアプローチとして素晴らしい。大企業が背負う社会的な責任に対して、一番クリティカルな部分実際の行動で示している。

▼2021/2020ゴールド▼

THE MOLDY WHOPPER

Brand:BURGER KING
Entrant:BURGER KING MIAMI

◆アイディア:「モルディ(カビの生えた)ワッパー」を発売。35日間の変化をビジュアルで表現し、バーガーキングの食品には防腐剤が使われていないということを伝えた。

◆背景:食品業界、特にファーストフードは添加物がたくさん使われていると話題になる。過去3年間で、バーガーキングは世界中で8,500トンの人工防腐剤を除去した(ヨーロッパのほとんど、米国の大きな地域)。

◆リザルト:売上高:+ 14%、 インプレッション数:84億、 獲得したメディアの価値:4000万ドル、 ポジティブな感情コメント:+ 88%、 高品質の食材の知覚:+ 26%、 訪問の検討:+ 22%

★きむかず所感:シンプルで強烈でメッセージ性のあるアイディア。何年も言われているが、シンプルで太いアイディアはやはり強いなと感じる。

SPERM POSITIVE: THE WORLD’S FIRST HIV-POSITIVE SPERM BANK

Brand:NEW ZEALAND AIDS FOUNDATION, BODY POSITIVE INC., POSITIVE WOMEN INC.
Entrant:DDB NEW ZEALAND AUCKLAND

◆アイディア:HIVが伝染しないことを世界に示すために、HIV陽性の精子提供者からなる世界初の精子バンクを設立した。HIV陽性精子バンクはオンラインで、HIV陽性者の精子提供と女性の受信の機会を創出し、実際に出産するという方法でHIVが受け継がれないこと世界に示し、会話を生んだ。

◆背景:1981年に最初の症例が報告されてから、HIVは必ず死に至るものと思われてきた。しかし、医学の進歩により変わってきており、治療によって体内で検出されないレベルまで抑え、セックスや体液、出産を通じて伝染しないことができる。しかしほとんどの人はこれを知らないため、HIVの汚名は変わらない。ニュージーランドエイズ財団は、世界エイズデーに合わせて低予算でHIVの真実について議論を生むアイディアが必要だった。

◆リザルト:Sperm Positiveは、HIVの現実についてのグローバルな議論を即座に生んだ。1週間以内に94か国がストーリーを共有し、18億人以上のリーチ、わずか10,000ニュージーランドドルの予算でCNNの7分間のセグメントを含む1,300万ドル以上のメディア露出を獲得した。これまでに、32人の女性が母親として登録され、27人のHIV陽性精子提供者が加わり、4人の赤ちゃんが2021年に出産予定であり、2021年1月27日の午後2時5分にHIV陽性精子バンクからの最初の赤ちゃんが生まれた。(HIVが伝染しないという生きた証拠)

★きむかず所感:病気や死に繋がるテーマは非常にセンシティブな領域であるにも関わらず、思い切ったアイディアを実現した点がすごい。仕掛ける側の視点にたつと、想像するだけでも実現するために非常に困難な、クリアしなければならない壁が多いと感じる。

THE UNCENSORED LIBRARY

Brand:REPORTER WITHOUT BORDERS (RSF)
Entrant:DDB GERMANY BERLIN

◆アイディア:ほとんどすべてのメディアがブロックされている国でも、月に1億2600万人以上のアクティブプレーヤーがいる世界最大のコンピューターゲームの1つであるMinecraftには簡単にアクセスできる。RSFはこの抜け穴を利用して、世界反サイバー検閲デーに合わせてMinecraft:The UncensoredLibraryに巨大なデジタルライブラリを構築した。

◆背景:絶賛された「The Uncensored Playlist」(※検閲されないプレイリスト、検閲のない音楽配信を通して記事を発信した)から二年後、国境なき記者団(RSF)は新しい意識向上キャンペーンを望んでいた。目標は抑圧的な国で厳格なオンライン検閲の下で育った何百万人の若者にリーチすること。彼らは権威主義政府による偽情報に対して脆弱で、独立したジャーナリズムへのアクセスを欠いている。また、RSFは報道検閲との世界的な戦いに対する認知を向上し、寄付を募りたいと考えていた。

◆リザルト:The Uncensored Libraryは、165か国2,000万人以上のゲーマーにリーチし、その多くは検閲を受けている国(ロシア、ベトナム、エジプト、メキシコ、サウジアラビア等)。彼らはライブラリーで独立したジャーナリズムの本を読んで数え切れないほどの時間を過ごし、合計プレイ時間は合計で15年以上になる。大きなゲームインフルエンサーがニュースを広め、コミュニティに議論を生んだ。彼らはYouTubeにライブラリーに関する400以上のゲームプレイ動画をアップロードした。政府が隠そうとしたことはトレンドトピックとなった。ライブラリーはゲームを超えて、790以上のニュース記事(獲得したメディア価値の合計は27億に達する)をもたらした(€0のメディア予算)。世界中の人々が報道の自由を支持したいと考えており、RSFへの寄付は62%大幅増加。

★きむかず所感:ハック系のアイディア。一昨年のタンポンブックや、検閲のないプレイリストなど、課題に対してハックすることですり抜けるアイディアは話題性が大きい。音楽配信で検閲を逃れる、ゲームの世界で検閲を逃れる、と今後もどのように検閲をすり抜けてジャーナリズムを伝えるかということを期待させる。

SALLA 2032

Brand:HOUSE OF LAPLAND
Entrant:AFRICA DDB SAO PAULO

◆アイディア:2032年夏季オリンピックの候補都市として世界で最も寒い都市のひとつであるフィンランドのラップランドにあるサッラが立候補した。フィルム作成やウェブサイトなど、実際の候補都市が行うことを全て実行した。2032年夏季オリンピックに参加する準備をしている町の住民のユーモラスなビデオを作成した。

◆背景:2032年は気候変動との戦いのターニングポイントになる。今行動しなければ不可逆的な被害を生む。環境モニタリングのリソースであるTheWorld Countsによると、2021年1月の時点で、人間の活動によりすでに86億トンを超えるCO2が大気中に放出され、1,495億トンの氷が溶けている。北極に近づくにつれて、私たちはすでに気候変動の劇的な影響を感じている。風景が溶けて、気温が上がって、そして冬は短くなっている。ラップランドのサッラは雪に囲まれ観光業に依存している。

◆リザルト:Salla 2032は世界中に瞬時に広まった。Salla2032通信がSaveSallaに変換された。フィンランドの前大統領、グレタ・トゥーンバーグ、アニッタ、および他の多くの有名人を含む驚異的な反応を得た。南極2032、オイミャコン2036、シベリア2036など数多くのパロディーを生んだ。中国からパラグアイまで、あらゆる分野の人々が、このクレイジーなアイデアについて真剣なメッセージで話し合い、共有した。118か国で1237のニュースが公開。7兆5,860億のメディアインプレッション。獲得したメディアの価値:1億5700万ドル(米国)。コンバージョンが879%増加。ソーシャルメディアで。 2億2600万人以上のユーザーにリーチ。

★きむかず所感:課題に対して現状では危機感を感じずらく深刻化できていないテーマに対して、未来をみせることで危機感を伝え自分事化させるアイディア。ただ未来のイメージをみせるだけでなく、実際に立候補することでよりリアリティを伝達した点がポイント。

ENJOY BEFORE RETURNING

Brand:DIESEL
Entrant:PUBLICIS ITALY MILAN

◆アイディア:「返品前にお楽しみください」というテーマでキャンペーンを展開。ワードロービングを辞めるよう訴えるのではなく、逆手にとって皮肉にも返品前に楽しむよう勧めた。その中で返品ポリシーを動画内で伝達。また、ファッションウィークのイベントでディーゼルのパーティではブランドに関係なくラベルアウトした人のみを歓迎した。タグが付いたディーゼルのアイテムを着用している人の写真は、eコマースのクーポンとした。

◆背景:ワードロービングとは、服を購入し、着用し、14日以内に返品して全額返金を得る行為。ワードロービングはファッション業界に年間150億ドルの費用を生んでいる。。ブランドはどのようにそれと戦うことができるだろうか?一部のファッション小売業者は、通常は商品を返品する顧客をブラックリストに載せている。

◆リザルト:競合はディーゼルをクレイジーと非難したが、ディーゼルの売上は世界全体で24%増加し、オンラインと店舗での返品の世界的な数を減らした。

★きむかず所感:カルチャーとして課題をかかえた場合に、正面から止めるのではなく皮肉なアプローチが有効となるケースも多い。不良が増え服装などもガラが悪く乱れた街で、それを直接止めるのではなくシニア層が同じ服装をすることで彼らに自発的に辞めさせた事例などもあるが、このように推奨することが抑制になるアプローチはアイディアとして面白い。過去のカンヌ事例で言えばネオナチの行進チャリティの事例なども逆手をとった皮肉アプローチ。

N23

Brand:NOVAYA GAZETA
Entrant:ACTION MOSCOW

◆アイディア:ロシアの反体制派新聞『ノーヴァヤ・ガゼータ』が立ち上げたキャンペーン。31,456人射殺を生み出した建物を香水ブティックにするという冒とく的な現実の挑発的なシンボルを作成した。火薬の匂いがする香水「N23」を作った。パッケージには射殺現場であるコムムナルカの土を入れ、容器は本物の銃のシェルを利用し、中身は火薬の匂いがする実際の出来事をベースにしたフレグランス。ターゲットオーディエンスとして、①モスクワ政府と政府に近い建物の所有者。②国内および国際的な主要メディア(最初の視聴者にリーチするためのツールとして)③ロシアの歴史的記憶に無関心ではない一般大衆。 (プロジェクトを満たすエネルギーとして)を設定。政治的弾圧の犠牲者のための追悼の日に、国内および国際的なメディアとオピニオンリーダーにN23を送り、情報を広げ、会話を生んだ。

◆背景:全国的な調査によると、18〜24歳のロシア人の46%はソ連での大規模な弾圧について認知していない。そして、回答者の70%が、歴史におけるスターリンの役割を「かなり前向きに」評価している。政府は、スターリンの恐怖の主な象徴であるモスクワ中心部のニコリスカヤにある「The House of Executions」(31,456人の射殺を生んだ)を静かに豪華な香水ブティックに再建しようとしていた。主要な反体制派新聞である「ノヴァヤ・ガゼタ」は、情報を発信し人々の意識を変え、建物の商業利用をボイコットし、博物館を開くことを目指した。

◆リザルト:2019年、エリート香水ブティックVUMのオープンは行われなかった。モスクワ政府は、ニコルスカヤ23の記念博物館を公式に発表した。900米ドルの予算で、BBC、タイムズ、ルモンド、エルパイス、その他32か国のメディアソースなど、約200以上のメディア露出を得た。46,000人が電話に応答し、ニコリスカヤ23にある博物館のアイデアを支持するオンライン請願書に署名した。

★きむかず所感:ショッキングというエネルギーの強さを実感できるアイディア。香水と射殺を結び付けたプロダクトをつくることで強烈に印象に残るかたちでこの事実を伝え、問題提起している。課題のテーマにもよるが、決してポジティブには語りがたい、恐怖訴求的な表現が求められるテーマも多く残っていると感じた。

BOARDS OF CHANGE

Brand:CITY OF CHICAGO
Entrant:FCB CHICAGO

◆アイディア:ジョージ・フロイドの殺害、BLM運動に伴う暴動に対して、多くの建物やお店はボード(合板)でバリケードを行った。そのボードを、黒人が具体的な行動を起こすための道具として、投票者登録ブースに変えた。それにより、潜在的な有権者であった黒人たちに、投票者登録を促進し、投票への意識を高めた。

◆背景:ジョージ・フロイドの殺害に対する正当な怒りが何百万人もの人々を街頭に連れ出した。BLM運動が盛んになっていた。何十年にもわたる公民権剥奪と有権者の抑圧により、多くのアフリカ系アメリカ人は自分たちの投票が重要ではないと感じていた。シカゴ市は、有権者権利団体「When We All Vote」とのパートナーシップにより、ジョージ・フロイドの抗議行動中に見られた関与を街頭から投票に繋げることを目的としていた。投票を取り巻く文化を変え、シカゴの黒人コミュニティ内、ひいては全国で登録者と有権者の数を増やすことが必要だった。

◆リザルト:Boards of Changeのメッセージは、Fox、MSN、ABC、Forbesによる大規模な報道のおかげで、全国に響き渡った。このキャンペーンは、適格なすべての黒人シカゴ人に到達するというコミュニケーションの目的を超え、何百万人もの黒人アメリカ人に彼らの投票が重要であることを知ってもらう力を与えた。シカゴは記録的な数の登録と有権者を達成した。登録数が大幅に増加し、全体の投票率は73%だった。Boards of Changeはまた、シカゴ市のブランドを、居住者と訪問者の両方にとって、多様で、包括的で、回復力があり、創造的な場所として位置付けた。

★きむかず所感:昨年大きく話題になったBLM。一方でコロナに関連するアジア人ヘイトなどもあり、人権について考えさせられる話題が多かった。そんな中で、暴動などを含む関心の高まりを、適切な行動に誘導していくアイディアとして非常にスマートなアプローチ。

TRUE NAME

Brand:MASTERCARD
Entrant:MCCANN NEW YORK

◆アイディア:Mastercardで最もよく知られている製品であるクレジットカードを活用。TrueNameは、選択した名前をカードに表示できる最初の決済プロダクト。目的は、新しい業界標準を設定し、進歩を推進すること。Mastercardは決済サービスであり直接カードを発行しないため、実際にカードを発行する銀行にカードを変更するよう説得する必要があった。LGBTQIA +コミュニティにTrueNameカードを発表し、潜在的なパートナーからの関心を高めるために、360キャンペーンを展開した。True Nameを発表するために、Mastercardは主要なコミュニティインフルエンサーと擁護団体が主導するパネルディスカッションを開催。併せて、TrueNameを世界に向けて発表するビデオをリリースした。

◆背景:性別の表現と一致しない名前または性別のIDカードを提示したトランスジェンダーの人々の32%は、言葉による嫌がらせ、特典やサービスの拒否、退去を求められた、または暴行を受けた。トランスジェンダーやノンバイナリーの人々にとって、正しい名前(性別の表現と一致)を使用することは、表現の問題であるだけでなく、受け入れの問題でもあり、物理的な安全性でもある。

◆リザルト:True Nameのアイデアは、文化とLGBTQIA +コミュニティに即座に大きな影響を与えた。インフルエンサーやグローバルメディアによって情報は広がり、圧倒的に好評を博した。その結果、Mastercardは世界中の銀行とのパートナーシップを確保した。 True Nameは現在、BMOハリス銀行、Superbia Credit Union、Citibank、およびBunqで市場に出回っており、世界中のより多くの市場で発売される予定。さらに重要なことに、TrueNameは新しい業界標準を設定した。その後、競合他社(Visaを含む)とその銀行(JP Morgan Chaseを含む)は独自の慣行を変更し、同様の製品を市場に投入した。

★きむかず所感:業界の慣習や世の中のルールを変えるという、リザルトの強いアイディア。PRのゴールとして社会のルールが変わるというのは最高の結果の一つ。インフルエンサーやコミュニティをうまく巻き込んでうねりを大きくしている。

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はい、というわけでPR部門のグランプリおよびゴールド受賞作でした。夜中に飲みながら作成してたのでうまくまとまってはないですが、ご容赦ください。時間があればシルバー受賞作もまとめたいですが、個人的に好きなアウトドア部門、イノベーション部門のほうをやるかもです。

もし何かご相談やお話したいなどあれば、ぜひお気軽に声をかけてください~

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