2020年7月29日

こんな事があっていいのか。
買って間もない椅子の脚が折れる。
私の体重に耐えかねたのか、もう椅子でいるのは嫌なのか。
とにかく、もう使い物にはならない。
なぜ、お前は折れたんだ。私の事が嫌いなのか、どうして私を置いていくんだ。
もう二度とお前はその素敵な背中に乗せてくれないのだ。
それならば価値は無い、存在意義は無いんだろう。
私は工具箱を探す。そのために家にある戸という戸を開け放つ、どの棚を探しても工具箱は無い。
叫びながら戸を蹴ると、つま先がじりじりする。
その弾みで、工具箱が上から落ちてくる。
蓋はひしゃげ、中身がてんでばらはらに散らばる。
私の欲しいハンマーはそこに入っていなかった。
仕方なく、重そうなスパナを手に取る。
足元をスパナに奪われながら、椅子までたどり着く。
思い切り、両手を振り上げて椅子に叩きつける。
椅子はただの木の塊になる。中に入っていたはずのウレタンは外に飛び出して無様な姿。
それから、何度も、何度も、何度も、何度も!
木のチップと見間違う程粉々にしてやる。
気が済んだ頃には、右手は筋肉痛だった。

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