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本番になると数学の応用問題が解けなくなる謎の現象に迫る(前編)

【前提】

* 高校数学に苦手意識を持っている(医学部志望の)中高一貫校の中学3年生〜高校生・高卒生
* 勉強しているはずなのに模試や試験本番になると点数が取れなくなってしまう人
を想定しています。

# 勉強しているはずなのに点数が取れない・・・

数学の厄介なところは、たくさん数学の問題を解いているはずなのに、全然点数が伸びないということが「割とよくある」という点です。悲しいですね。

・一番時間を掛けて勉強しているのにどうしてもできるようにならない
・問題集に載っているものはできるけど、本番(定期テスト、模試、入試)になると急にできなくなる
という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
「なんで自分は数学ができないんだ〜」と思うかもしれませんが、これらは「よくある」ことですのでご安心を。(実際に、そうしたお悩みからお問い合わせいただくことも多いです。)

# 数学は基本的に守りの科目!

そもそも、何のために苦手な数学をやらなければならないのかを考えましょう。
数学が苦手だけどやらなければならない人の多くは「入試を突破するため」なのではないかなと思います。(違ったらごめんなさい)

当たり前だけど忘れがちな事実があります。それは、入試では「全科目の合計点が合格点を超えれば合格する」ということです。
数学が苦手だとしても他の科目で点数が取れれば良いわけです。どの科目で何点取るのか、戦略を練れば志望校を諦める必要はないことも多いです。

最低限この点数を確保するために全力を尽くす(全部解こうとしない、あれこれ手を出さない)ということが大事ですね。

そもそも数学は、1問の配点が高いです。そのため、本番で頭が真っ白になってしまったり、冒頭で計算ミスをしてしまった結果、大問丸ごとバツになる、というように本番でのちょっとしたミスが大幅な失点につながる可能性がある科目です。

ちなみに、私も過去に数学の大問1の(1)の基本問題で失点して壊滅したことがあります・・・。

今までに医学部に合格していった生徒を見ていても、数学は守りの科目と割り切って合格した生徒はたくさんいますので、数学は「最低限の点数を確保する」という作戦でも十分合格できると思っています。

【応用問題が解けるようになるために】

数学(理系科目)ができるようになるためには、概ね次の2段階のステップを踏む必要があります。

1.解き方・解法を知る(基本問題が解ける)
2.解き方・解法を使いこなす(応用問題が解けるようになる)

今回の前編では1番に焦点を当てていきます。

1.解き方・解法を知る(基本問題が解ける)

ここでの「基本問題」は、教科書の例題・応用例題や、問題集の基本問題(4STEPのA問題・B問題、青チャートのコンパス3〜4程度)を想定しています。これらをパッと出されて解けるかどうかですね。
ここで躓いてしまう場合は、公式を覚えていないなど基本知識が不足している可能性が高いです。

ただ、応用問題が解けないと嘆いている人の中には、意外とこの「基本問題」がそもそもできていなかったと言うケースは多いです。
もし不安な単元があれば、数研出版の問題集であれば米印のついた問題(この問題を解けば一通りの知識を網羅できるという記号です。他の出版社の問題集にも何か記号が割り振られていると思われます)を教科書や最初の公式紹介などを見ずに解くことができるかチェックしてみると良いと思います。

ちなみに、計算力も大事です。基本問題を解いてみて、「計算ミスで間違えただけ」という問題をついつい「まぁわかってるから大丈夫」と判断しがちです。しかし、これらの問題は「出来ない」問題に分類すべきです。(ミスに対する自分への戒めも込めて)

当たり前ですが、最後まで解き切るためにはミスなく解き進めなければなりません。「大体わかってるからいいじゃん」と思うかもしれません。しかし、自分が医師になった時のことを想像してみてください。自分のミスで人の命が危険に晒されます。「ちょっとミスしたけど正しいやり方がわかってたから大丈夫」では済まされません。そうしたプロ意識(?)でミスと向き合うと良いかなと個人的には思っています。ミスをしない人間はいませんが、安易にミスをしないように気をつけると言うことですね。

計算ミスをしないための手法については今回のメインテーマからズレてしまうので需要があれば書きますが、今回は割愛します。
ただ、基本問題の演習と並行して計算力を鍛えていくことは大事です。せっかく応用問題が解けるようになっても本番で正解できないのは勿体無いですからね。

具体的にどうすればいいの?(すぐ解法を忘れてしまうんだけど・・・)

社会の年号・人物名などに比べると、数学は覚える公式自体は少ないですが、範囲も広いですし、公式を使いこなすことができるまで練習も必要になります。ただ覚えて終わりではないところがとても大変ですね。そのため、どこまでやり込めばいいのかもわからないですし、何度もやったのに、結局忘れているからまたやらないといけないという現象が起きてしまいます。(しかも公式1つ忘れた場合の影響は計り知れません・・・)

どこまでやれば出来ると判断して良いのか、解法を少しでも忘れないためにどうすれば良いか、こうしたお悩みを解決するオススメの方法があります。

それは解法・公式の「言語化」です。あなたが先生になって誰かにその公式や基本問題を教えてあげましょう。実際の友達に教えても良いですし、一人で言葉に出して説明する形でも大丈夫です。

説明しようとすると、説明しにくい部分が見つかると思います。それが自分の理解が甘いところ(まだ勉強すべきところ)です。逆に説明が全部できるようであれば、少なくともその内容に関連する基本問題については出来ると判断して大丈夫だと思います。

言葉に出すことで思考も整理されますし、身振り・手振りなどもつけて本当に授業をしてみると、五感をフルに活用して復習できるので、より記憶に定着しやすくなるのでオススメです。

私自身も、教えることでできるようになった部分がたくさんありますし、数学に限らずですが、新しく得た知識は生徒に話すことによって記憶に定着出来ていると思います。話さない内容はすぐに忘れます・・・。
この点は歴史の暗記などと同じかなと思います。説明することによって、その単語・公式・解法だけを覚えるのではなく、関連する情報とともに覚えることができるので忘れにくくなりますし、ある意味ではストーリー的な部分もあるので、記憶に残しやすいと思っています。

例:データの分析(分散→標準偏差)
データの代表値の定番は平均値ですが、平均50点とだけ言われてもどんなテストかわからない
→100点と0点が半々かもしれないし、50点近辺にほとんど全員がいるかもしれない。
→みんながどれだけ平均から離れているのかを知りたい
→平均との差を取ろう
→ただ平均との差を取っただけだと、全部合わせたらプラスマイナスゼロになってしまう
→差を際立たせるために2乗してからその平均を考えよう(分散)
→ただ、身長(cm)のデータで分散を考えると2乗だから面積(cm^2)っぽくなっちゃう・・・
→じゃあルートを取ればいい(標準偏差)

と言うような感じですね。
他にもいろいろありますが、今日はここまでにしておきます。

明日は後編として、2.解き方・解法を使いこなす(応用問題が解けるようになる)に焦点を当てていきます。

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