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【小説】クお白チ 039【第一期】

クッキーが俺と白に追いついた頃、1階にいた連中が上がって来た
お「今度は何すればいいのぉー」
俺「みんな来て」
一番南側の灯具の側にしゃがみ込み、灯具を持ち上げて
俺「2人で蛍光灯を持ち上げて、1人が下の箱を抜き取る」
やってみせる
俺「蛍光灯の裏側は多少傷が付いても平気だからね。ただ、3人とも腰を曲げて作業しないで。腰を痛めちゃう」
お「どうすればいいのぉー」
俺「みんなテニス部だから体力的には大丈夫だと思うんだけど、基本スクワット。しゃがんで作業して」
チ「了解♪」
俺「今度はこっちに来て」
3階の北側に移動する
俺「灯具を出した箱をたたんでほしいんだ」
香「たたむ?」
俺「箱の角が糊で止まってるだろ?そこを剥がして平らにしてほしいの」
やって見せる
チ「あぁ、ゴミの量を減らすんだ」
俺「そういう事。たたんだら階段の側に積んでおいて。2階から始めてね」
小「なんで2階からなんですか?」
俺「3階の灯具が終わってないからだよ」
「分かったぁー」×6
俺「あぁ、そうだ。各階一番北側の箱は一個だけつぶさないで残しといて」
お「なんでぇー」
俺「あとで使うんだよ。灯具を箱から出す作業が終わったら、箱をたたんで。くれぐれも怪我をしないように、ゆっくり慎重にね」
「はーい」×6
これだけの人数がいると仕事を探すのも一苦労だ。クッキーと白が昼まで来られなくて良かったのかもしれない…

彼女達が下りて行ってしばらくしたら、2階でカランって音がした。灯具を落とした音だ!
俺「ちょっと下に行ってくる」
ク「私たちも行きます」
俺「うん。俺は走るけど二人は歩いてくるんだよ」
白「はい」
階段を一段抜かしで駆け下りる。北側の中央付近。おしゃべりとチビとラブのグループ
ラ「ごめんなさい。手が滑っちゃって…」
俺「みんな怪我してない?」
チ「ビックリしたけど平気だよ」
お「そんなにぃー高く持ち上げてないかららぁー平気ぃー」
俺「三人とも手袋取って、手を見せて」
チ「平気だよ!」
俺「チビ!」
チ「分かったよ…」
三人とも手袋を取る。どうやら怪我は無いようだ。灯具を裏返して見てみるが、ちょっと傷が付いてるだけで、角も潰れてない
俺「気をつけてね」
ラ「ごめんなさい…」
ラブが泣き出した
俺「いいんだってば、泣くなよ」
ラ「嫌いにならないでくださいね…」
俺「ならないよ。好きだよ」
ラブの目から涙がドバッと流れ出た。ラブの頭を持って、俺の肩に右手でラブの顔を押し付けて抱いてやる。左手で髪をなでながら
俺「みんな怪我してないからそれでいいんだよ。泣くなよ」
ラ「嫌いにならないでください。お願いします…」
肩を持って、顔が見えるようにして笑顔で
俺「大丈夫だよ。嫌いにならないよ」
ラ「ありがとうございます…」
俺が怪我をしてもそれほど心配したり泣いたりしなかったのに、今回は泣いた…完全にこの子だけ感情表現が違う…ラブをもっと知りたいと思った
俺「気をつけてね。怪我をしてみんな来られなくなると俺が一番困るからさ」
お「チームだもんねぇー」
俺「うん。1階だと聞こえないと思うから自己申告してね。秘密はなし」
チ「自分は背中秘密にしてたくせにー」
俺「泣くぞ!」
チ「ブーー!」
「あはははははっ」×7
ラブも笑った
俺「じゃ、気をつけてね。クッキー、白、戻るよ」
ク「はい」

もうすぐ終わるけど、チビが残る。何させようかな…あぁ、電圧測定があるな…でも女の子一人でこの広い校内を歩かせるのは別の危険性があるか…階段の灯具を付けるにはチビじゃ背が足りないしなぁ…1階の点灯試験をやってないなぁ…それは廊下の灯具が全部付いてからの方が効率は良いよなぁ…渡り廊下下か…それとも灯具を付けるのを手伝ってもらうか…悩む…
白「どうしておにいさん黙ってるんですか?」
俺「あぁ、ごめん。ちょっと仕事の事を考えてた」
白「あっ!邪魔しちゃってごめんなさい…」
俺「大丈夫、大丈夫。たいしたこと考えてないから」
ク「まだお仕事沢山あるんですか?」
俺「細かい事が残ってるんだよ」
白「終わるんですか?」
俺「前にも言っただろ。終わらせるの。みんながいないと終わらないけどね」
ク「残ってるのってなんですか?」
俺「1階の教室の点灯試験が終わってないでしょ?」
ク「あぁ」
俺「階段の蛍光灯とスイッチもまだだし、渡り廊下下も残ってる」
白「たくさん残ってるんですね」
俺「階段と廊下のコンセントなんか一ヶ所も付いてないよ」
白「あぁ、そうですね…」
コンセントか…コンセントは手伝う事無いけどチビの話しはゆっくり聞けるな…
ク「いつまでに終わらせるんですか?」
俺「タイムリミットは29日」
白「えっ?31日までじゃないんですか?」
俺「廃材とゴミの山を見ただろ?」
ク「はい」
俺「廃材業者が31日土曜日が休みで来られないから30日に来るんだよ。だから29日までに完了しておかないとダメなの」
白「来られなくてごめんなさい…」
ク「ごめんなさい…」
俺「謝らなくてもいいんだよ。みんなの仕事も減ってきてるしね」
ク「でも…会いたいから」
俺「事情があるんだからしょうがないじゃん」
ク「白ちゃん先に来てていいよ」
白「でも、クッキーちゃんに悪いから…」
俺「白も平等を守ろうとしてるんだね」
白「はい…」
俺「二人とも友達思いでいいと思うよ」
ク「はい…」
俺「1日のデートがあるじゃないか。そんなにしょんぼりするなよ」
白「楽しみです」
俺「おもいっきりドレスアップしてくるのを望む。俺は期待しないでね」
ク&白「あははははっ」
俺「笑ってた方がいいよ」
白「どんな服装が好みですか?」
俺「ショートカットでミニスカ♪」
ク「明日の午前中に髪を切ってきます!」
俺「おいおい、そこまでする必要ないだろ」
ク「おにいさんの好みになりたいから切ってきます!」
俺「今でも十分可愛いからそのままでいいよ」
白「誰のショートカットが一番好みですか?」
クッキーと香とラブがセミロング。おしゃべりと白とチビと小鳥がショート。ムックがロング
俺「正直に言って、やきもち妬かない?」
ク&白「妬きません!」
俺「チビ」
ク「おにいさんチビちゃんが一番好きなんですか?」
俺「髪型の話しだろー…俺はみんなが好きだよ」
ク「誰か一人に決めて下さい」
俺「ほーら、やきもち妬いてる…」
ク「でも、おにいさんとチビちゃんって仲良く見えます…」
俺「仲良しにも形は色々あるじゃん?クッキーは俺の仲良しじゃないの?」
ク「仲良しですけど…」
俺「クッキーは白に対して敬語を使うかい?」
ク「使いません」
俺「俺のときは敬語じゃん?それって俺と白を区別してるよね?」
ク「そうですね…」
俺「それぞれで使い分けるのが人間関係だよ。区別ね」
白「おにいさんって説明上手ですよね」
俺「そんなことないよ。クッキー分かったかな?」
ク「分かりました。区別ですね」
俺「分かってもらえてよかったよ」
3階最後の灯具が付いた。5時10分前。ん?北側の灯具…
俺「ちょっとついてきて」
ク&白「はい」
俺「ゲッ!ミスった!」
白「どうしたんですか?」
俺「北側の24灯が真っ直ぐ付いてないの分かる?」
白「なんとなく…」
俺「失敗したぁ…」
またトラブル…

自分の空間認識能力と歪んだ天井が憎かった…

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