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サイクロンZ

 ジャッキーチェン、サモハンキンポー、ユンピョウ。

 聞く人が聞けば失禁ものの3人。いわゆる香港映画界「ゴールデントリオ」が揃って共演した最後の作品。
 1988年公開

 私はジャッキー映画を見る時はほぼストーリーは気にしない。アクションシーンや繰り広げられる体を使ったやり取りをとことん楽しむことにしている。

 この作品も弁護士のジャッキーやブローカーのサモハン、私立探偵のユンピョウが水質汚染の被害にあう養魚場を救う為巨悪に立ち向かう話だ。勧善懲悪のアクションだけでなく、恋愛や法廷劇が盛り込まれているが、 やはり注目すべきはアクション部分であろう。

 物語の中盤、行き違いが重なってこの「ゴールデントリオ」が道端で取っ組み合いを始める場面がある。この3人が取っ組み合いを始めればそれは取っ組み合いではなく芸術に昇華される。計算し尽くされた取っ組み合いは見てて感動すら覚える。

もちろんこの映画の見所は取っ組み合いだけではない。ジャッキー映画でのアクションの重要なポイントが相手役の存在である。その点に関しても抜かりはない。香港の怪優ユンワー、そしてジャッキー自身が選ぶ「ジャッキー映画ベストファイトランキング」常連、元キックボクシングライト級王者。リングの赤い蝶、ベニー"ザ・ジェット"ユキーデ。

 まずはユンワー。Mrオクレみたいな見た目で葉巻をスパスパふかしてばかりの化学工場の社長だが、この男、連れてる用心棒なぞいらない凄まじい強さを終盤に見せつける。ギャップ萌えというものを私は小学生の頃、彼を見て初めて感じた。

 そして、ベニーユキーデ。ジャッキー映画ならもはや語る必要のない、ベスト・オブ相手役(恋人役も含む)。今回は終盤のみの登場だが短時間で狂気的な蹴りをはじめとした強さを見せつけ私はメロメロになった。

 最後は化学工場での大乱闘からのジャッキーVSユキーデのタイマンで幕を閉じる。

 この流れ、完璧である。

 ジャッキー映画は私にとって腕のいい整体に行ったような感覚にしてくれる安心できる映画なのである。

 

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