見出し画像

箱根駅伝全国化に想うこと

記念すべき第100回箱根駅伝への出場をかける予選会のエントリー情報が出てまいりました。
過去最大の57チームだということや、3チームが増枠(10+3)されることもあり、予選会から盛り上がりそうな予感です。

また、今回の予選会は全国からの出場が許可された影響で関東以外のチームも11チーム参加だということです。

少し前に遡りますと、箱根駅伝の全国化について論議されておりましたが、最終的に関東学連の出した答えは今回のみとなり、来年の予選会では関東以外の大学は出場できないということになります。

私的にはその話題が出たときにまず思ったことは「関東学連が箱根駅伝を手放して日本学連にわたすことはないであろう」と真っ先に思いました。

というのも、箱根駅伝を取り巻く環境が巨大なコンテンツになり過ぎており、手放す議論をするには20〜30年遅いと思ったからです。

①収入面

箱根駅伝ではスポンサー収入、テレビの放映権収入、グッズ関連収入など莫大な収入が関東学連に下りているはずで、その恩恵を関東学連に所属している大学は受けているはずだからです。
たとえば地方の大学では全日本の出場権を争う予選会には出場料が発生し、私の聞いたところでは出場に10万円、大会会場への広告料15万円を支払わなければならないと聞いたことがあります。
一方、関東学連では箱根駅伝予選会は無料(おそらく)全日本大学駅伝予選では10,000円と破格の値段だと思います。
ましてや、全日本大学女子駅伝の予選となる関東大学女子駅伝に関しても参加料は無料です。
※オープンチームには別途かかるようですが…

それだけではなく、例えば7月の暑い時期を避けるために網走競技会を開催するなど、他学連ではできないことも資金面で関東の大学は男子以外まで優遇されていると言ってよいかと思います。

②全国化すると廃部になる大学が出るのでは?

私の知る限りでは関東学連に所属する大学で箱根駅伝への強化をしている大学は(強化の程度は違いますが)40チーム以上あるなではないかと思います。
もちろん各大学でスカウト合戦になっているのは高校の大会ではよく見かける光景ですが、これが全国化となると、いままで「箱根を目指したいから関東の大学へ」という現象が減っていくことになるでしょう。
そうなったとき、関東の上位チームはよいでしょうが、予選会で当落線上にいる大学にとっては死活問題だと思います。
スカウトはチーム作りの要であり、よく箱根駅伝を目指すチームの監督さんは「スカウト8割、育成2割」というほどスカウトを重要視する傾向にあります。
箱根駅伝を全国化をするということは同時に関東の大学の競技レベルを下げる未来が容易にわかってしまいます。


それ以外の理由もたくさんありますが、前述した①と②だけでも、関東の大学にとって全日本化は良いことが何一つありません。

関東学連の決議においては、各大学に一票ずつ権利がありますが、大所帯のチームでも一票、少人数でも一票の権利があります。
資金、人材、チームの成績にも余裕のある大学では、「全国化賛成」という声も出てくると思いますが、そういったチームであっても一票なわけです。
恵まれた環境で競技をできている大学は上位のごく一部な大学なわけですから、いくら議論したところで、自分たちの環境、立場を悪くするために多くの大学が賛成をするわけがないのです。

陸上競技の未来を考えるならば、地方の競技人口を増やすことは必要不可欠なことだとは皆んな理解していると思いますが、日々在学している学生たちの環境を守ることで各チーム運営者は必死なのです。

私の私見では、全日本大学駅伝をもっと盛り上げらないのかと思っています。
箱根駅伝にこれだけのファンが付くのは、各区間で展開が変わりドラマがあるから、見ていて単純に面白いからだと思います。
例えば、コースを変更して、富士山を登らせるようなコースに変えてみたり、予選会を一つの会場で全国一斉予選にしたり、開催時期を変えてみたり、ファンが付き、スポンサーが付くコンテンツに日本学連が育てていけばよいのだと思います。

あくまでも全日本大学駅伝が「大学日本一」を決める大会です。

この20〜30年で成熟した箱根駅伝の運営をしている関東学連を責めるのではなく、この期間で大きく箱根駅伝と差をつけられた全日本大学駅伝を運営する日本学連に検討をしていただきたいところです。

もっと昔に動かしていれば変わっていた話でしょうけど、今となっては難しい話でしょうね…

C.F



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?