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読書感想文のたった1つの悪手

 読書感想文で冒頭にあらすじを書くパターン。よく見るよね。
 でもあれは悪手だと思う。
 感想を読みたいんであってあらすじを知りたいわけじゃない。
 あらすじはAmazonで確認できるし、なんならそっちの方があらすじの精度は高い。
 本当に最悪なのはSNSに感想をアップする場合。
 Twitterなら140字の制限がある中で、100字も使ってあらすじを書く人がいる。よくいる。
 感想を聞かせてよ。あらすじはいいからさ。

 「こういう場面があって、そのときにこう思った」と言いたいときはあらすじは有効。
 題材の本を読んでいない人への配慮ができている。花丸あげる💮
 だけど、あらすじってそんなにウェイト重くしなくていいんですよ。
 興味ある人は調べたり読んだりするから。
 感想を書くあなたにやってほしいのは心の動きを表現すること。

 象をいじめていたオツベルが復讐された。スカッとした。

 兵十はごんを撃った後に真実を知った。切ない気持ちになった。

 くしゃくしゃになった紳士の顔は戻らなかった。かわいそう。

 映画を観たので読んでみた。映画の方が面白かった。

 こんなもんでいいのよ。
 だれも高尚な感想なんか求めてないから。自分の思ったことを書くのが感想文。
 人によってはもっと真面目に書けっていうだろうけど、文章力がどうとかより書き手がどう物語を受け取って、なにを得たかを知りたいのよ。

 Twitterでやってるみたいにさ「こんなことあってさ~聞いてよ~」「めっちゃ腹立つ~~」が始まりで良い。
 それを膨らませて、ちょっと整えるだけで形にはなるから。
 というかそっちの方が読んでいて楽しい。
 堅苦しくて面白くない文章は疲れるからさ。

 贅沢を言うなら理論的に展開するともっと良い。
 理論的にって言うと難しい気がするかもしれないけど、丁寧に書いてほしいってこと。
 例えばさっき例にあげた「兵十はごんを撃った後に真実を知った。切ない気持ちになった。」の理由を書けばそれは論理的になると思う。

 兵十はごんがまたいたずらしに来たと思っていたけれど、ごんはお詫びの栗を持ってきていた。兵十がごんを撃っていなかったらごんと仲良くなっていたかもしれないのに。ごんも兵十に謝ることができたかもしれないのに。
 すれ違っていたことを知ったときにはもう取り返しがつかない。私はそれを悲しく思います。

 こういう組み立てだと、ただ「悲しい」「せつない」だけで片付いてしまうところに深みが出る。語彙が多くないうちは難しいかもしれないけど、誰か他の人と感想を共有するみたいに考えると簡単じゃないかな。
 実際に誰かに感想を伝えて、それを文字にするのもいいかも。
 それくらいの気構えで感想に取り組んでほしい。

 あらすじはそこそこに、あなたの頭と心を覗かせてください。(そ)


積みに積んでいる罪の一冊。読みます、そのうち。

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