黄金錬成(アルス=マグナ)とドラえもんと人間

とある魔術の禁書目録の旧約2巻(通算2巻)に出てきたアウレオルス=イザードが使う黄金錬成(アルス=マグナ)は「思ったことをなんでも実現する」というなんとも夢のような魔術で、現在パワーインフレが激しい本編においても使いようによってはそれなりに無双することが可能なんじゃないかと未だに言われています。
私は高校生の頃、このエピソードをアニメで見た時に「思ったことはなんでも実現できるなんてまるでジュール=ヴェルヌだな」と思ったし、絶賛原作読み直し中の今でも「ドラえもんの道具や両津勘吉の発案みたい」と思っています。
そう、案外人間が思いつくことって後々可能になることが多いのです。

「人間が思いつくこと」と「実現」の間に広がる「距離」はテクノロジーや文明の進歩によっていずれ埋められるものだったりすることが多いと感じています。
「ほんやくコンニャク」が出てきた当時は、英語圏の人間とコミュニケーションを取るにはこちらが英語を勉強する、もしくは先方が日本語を勉強するくらいしか手段がない(根本的には変わらないけど、あるいは通訳を雇うとか)と思われていたんじゃないでしょうか。
個人的な躍進は電子辞書の出現なんじゃないかと思っています(実際に違ったらすみません詳しい方)。そこに音声認識のシステム、AIの出現等色々なテクノロジーが密接に絡み合い、気付いたらほんやくコンニャクに限りなく近づきつつある自動翻訳のシステムが生まれました。
自動翻訳システムが生まれるに至る原動力はやはり「ほんやくコンニャク」≒「使用言語が異なる人とコミュニケーションを取りたいという潜在的な欲求」ではないでしょうか。何かをしたいと望むから実現に至れる、返して言えば、何かをしたいと望まなければ実現する先の目標すら生まれることはありません。
この世を動かすのは欲求です。

かと思えば、物事は可視外の世界——量子的なレベルで起こる物事により、可視レベルに至る頃には「何がどうするとそんなことが起こる!?」という偶然の産物が発生することもあります。この場合、今まで可視の世界で観測していた物事から紡ぎ出された常識を超えるため、逆に起こった物事に対して原因を究明する側に我々は立つことになります。そしてひと度原因が究明されれば、この世に新しい常識が生まれることとなります。時には発生事象の少なさに常識化に至れず、ただの観測データに終わってしまうこともあるでしょうが。

そうなると「事実は小説より奇なり」なんて言葉が当たり前のことだとよく分かりますね。
人間程度が考えつくレベルのことが起こらないわけがない、孫悟空の舞空術だって正直近しいレベルのものも実現できてる。
ONE PIECEだってクルーが全滅して打ちひしがれたモブ雑魚船のモブキャプテンより、「ルーキーとしての注目をルフィに奪われた!」と私憤で荒れるキャベンディッシュの方が強かったりするのも、現実で考えればよくありそうなもの(海賊がどうとかでなく、人の社会的スペックがその人固有のエピソードや思いの強さに100%左右されるわけではないでしょ、という話)。ちなみにこれは認知行動理論の「同じ事象でもストレス認知の強さは人それぞれ」という辺りを勉強している間に思いついた喩えなので、多少雑なのは目を瞑ってください。

まぁつまりアウレオルス=イザードは黄金錬成(アルス=マグナ)の使用によってテクノロジーや文明の進歩をハイパーショートカットして自分の想像を現実化させてる、強い。これは確かに強い。
つまり使用者が強い想像をできればできるほど(より高い知能、より多くの知識を持てば持つほど)実現できる事象はより強大になり、その実現できた事象から更に規模の大きいシミュレーションが可能になってそれが実現し…の将来的拡大式永久機関が出来上がるワケです。

そこで黄金錬成(アルス=マグナ)の有効活用法を考えました。

  1. アウレオルスの脳を弄って知能を上げる

  2. 高知能の頭脳をアウレオルスに移植する

  3. 黄金錬成(アルス=マグナ)の能力の方を強キャラに移植する

幸いアウレオルスは顔面整形状態で生きてはいる?っぽい?ので1.2.共に実現可能っぽいし、あの世界の科学や魔術による何らかの技術で3.も実現可能っぽく思えるので、R&Cオカルティクスに復活してもらうかアレイスター辺りに研究着手してもらったら早いかもしれない…アラン=ベネットはあまりいい顔しないだろうなぁ。

話が終始とっ散らかっちゃったけど『とある魔術の禁書目録』は面白いので、是非読んでみてください。いきなりラノベを何十冊も読むのは…という方はアニメやコミカライズ版からでも良いので。本当に是非。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?