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戦争を理解できない左翼

ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当初、左翼界隈ではウクライナに降伏・停戦を呼び掛ける主張が相次いだ。彼らの言い分では、戦争が最悪の状態であり人命を守るために戦争をやめろと言うことらしい。だが、それを何故か侵略したロシアではなくウクライナに対して訴えたのである。いじめで例えれば、いじめられた子にいじめを止めろと言っているに等しい。左翼の主張は全く倒錯している。

ウクライナが降伏した場合どういった事態になるのか。武力侵攻によってロシアの政治的目標が達成されたとなれば、世界中で武力行使に及ぶ国が現れるだろう。左翼は常日頃から戦争の悲惨さを訴えながらこうした予測が出来ないために、簡単に侵略された国に降伏しろなどと言えてしまう。

左翼の戦争を批判しながら戦争を招く考え方は日本の戦後教育が根本にある。戦後の教育は、戦争=悪、戦争=悲惨という感情的な教育を何十年も日本国民に植え付けてきた。その結果、戦争の前後関係が理解できず倒錯した主張が生まれたのだろう。戦争はいきなり起きるものでなく、何十年も続く国家間の対立・競争の果てに起きる。ウクライナの場合、ソ連崩壊後ロシアがウクライナを自陣営に取り込もうと工作するも2000年代頃からNATO側に傾倒していき、2014年にヤヌコヴィッチ政権が倒れるとロシアは軍事行動に出た。この時はクリミアを奪取し、ドンバス地域をウクライナの統治から引き離した。そして、2022年にウクライナの政権転覆を狙い全面侵攻に打って出た。

左翼の戦争についての理解で大きな問題点は国家間の問題を話し合い、外交努力で解決できると考えている点だ。これはある意味願望とも言え、戦争にならない方法が何処かにあるはずだと思い込んでいる。しかし、戦争は相手のある話なのでこちらにその意図がなくとも相手が聞く耳持たずやる気満々なら手の施しようがない。それを左翼は外交努力が足りないなどと主張するのである。そもそも、彼らには戦争が外交手段の一つという認識がないようだ。

結局のところ、左翼は戦争という現実から逃避している。全ての戦争は避けられると思い込むことで、学生時代に教えられた思想を後生大事に守っている。戦争は最終手段であり、本来避けるべきなのだが万が一の事態が起きることを我々は予測しなければならない。


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