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自動車に係るデータが重要な理由【原油BASIC】2023/06/13

昨今、電気自動車やEVなどといった言葉が目立つようになった。

時代の変化とともに自動車も様々な進化を遂げているようだが、統計の世界で自動車はどのような役割を果たし、また、どのような性質を有するのか。どれほど重要なのか。


【結論】
需要サイド最重要統計データ


【本題】

自動車に係る統計データは主に需要サイドの将来の状態を分析するのに優れている。

自動車には以下の三つの特徴があることをまずは抑えて頂きたい。

① 耐久消費財の中でもかなり高額な商品である
②生産のためには多くの資源を必要とする
③需要を見越した生産である

この特徴を元に自動車関連統計には目を通して頂きたい。

①について
これに関しては争いの無い事実であると認識している。
もちろん、建物など自動車よりも価格が高いものはあるが、自動車も高額であることは間違いない。
したがって、単純に考えれば、自動車の販売台数が増加しているということは、その国の消費行動そのものが強くなってきていると考えられるのだ。
消費行動が弱ければ自動車の販売台数は増えないだろう。

(※現在、国内ではカーシェアリング需要が高まってきている為、日本国内において一概には上記のことが言いきれない状態である点には留意したい。)

②について
自動車には基本的に原油・金属・ゴムなど各種資源が使われていることもよく知られている事実だ。これを前提とすると、自動車の販売台数、つまり需要が増加した場合はそれに呼応する形で各種資源価格も上昇するのが原則である。自動車の需要増加は各種資源需要の増加の構成要素の一部であることは忘れるべきでは無い。

ただし、自動車関連の数値がGDPに占める割合が低過ぎれば、あてにならないことは言うまでもない。
また、GDPに占める割合が大きかろうと、その国の経済規模がそもそも小さければ、資源価格への影響はかなり限定的であるため、経済規模が大きい国の自動車産業を優先的に見て欲しい。

③について
これは自動車に限らず鉱工業全体言えることであるが生産者、つまり企業は以下の2つのポイントを踏まえて生産量を決定している。

現在の在庫量
将来の需要量

⑴について
例えば、現時点で在庫超過であれば生産量を増加させる必要はなく、むしろ減少させるのが原則である。
また、過去に予想して生産した商品の在庫が現時点において予想よりも減少していれば、需要があるとみなし生産量をあげるだろう。

⑵について
将来、ある時点(例えば、3ヶ月後)において、何らかの要因で需要が増加するとの観測があれば、生産量を増加させ、在庫を抱えておこうと考えるだろう。
一方で、消費が弱っているなどのデータから、3ヶ月後に売上が下がると踏めば、生産量は減らすはずだ。

もちろん、細かく言えばこれだけではなく、金利なども影響してくる。

上記の流れをまとめると以下のようになる。
予想→生産→在庫超過→減産=消費力:低下
予想→生産→在庫不足→増加=消費力:上昇

⑴と⑵に共通して言えることは、どちらも出口を意識して生産をしているということだ。
つまり、自動車関連の指数は結局のところ需要サイドにおいて役に立つ指標となるわけである。

是非、原油価格やその国の経済の行方を考える時は自動車生産台数などにも目を通して頂きたい。

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