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シンプルな日

昨年、能の舞台を何度か観に行って、謡を習ってみたいと思うようになった。
すぐに行動に移せないまま、一年が終わってしまったけれど、ついに今年から、能のお稽古を始めた。

お稽古のときは、アクセサリーはおろか、時計も指輪もつけてはいけないと、初回に教わった。
それで、二回目のお稽古は、すべて外して出かけた。
休日はイヤリングやらネックレスやら、いろいろとつけているし、平日も時計と指輪はつけているから、こんなに何もつけないで外出するなんて、新鮮だ。
なんとなく、軽やかな気分。
こんな休日も、いいなと思う。

お稽古では、足袋を履く。
履いてみると、結構足首が固定される。
足袋の白さと、そのぎゅっとした感じに、背筋が伸びる。

肝心のお稽古の中身の方は、音痴だし運動神経が鈍いので、前途多難だ。
「謡十年、舞三年」といわれるらしい。
十年やればものになる、ということではなく、入門程度の謡が謡えるようになるのに十年かかる、とのこと(安田登「能」(新潮新書))。

四十の手習い、遅すぎるスタートのような気もするけれど、あの夏目漱石だって、謡を本格的に習い始めたのは、四十歳のときだったらしい。

偉大な先人を見習って、日々精進。

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