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批判記事からも熱い想いは伝わる

※10月毎日投稿挑戦中。日曜は『今週の振り返り日記』。

 今週は、あるラブライブファンの『ラブライブ! スーパースター!!』感想記事を読んで色々と考えさせられた。

 内容のほとんどが作品批判なのである。確かに私も2期は何も思わなかったと言えば嘘になる。ただ、良い部分もある。人前で歌うのが苦手ゆえに高校の音楽科の入試で不合格、「バーカ」とやさぐれることから始まった主人公・澁谷かのんの成長譚の帰結として「世界的に有名な音楽学校に留学(しようとした)」と考えれば一つの立派な物語として受け入れられる。そこに至る成長や、苦手を克服する過程も丁寧に描いたから尚更である。強いて言うなら本当に留学する話を3期で観たかったが。私はこれ以上感想を書くつもりはない。

 一方で、『ラブライブ!』というコンテンツに熱い思い入れがある人ほど批判したくなる気持ちもわかる。問題はそれをネットで発信しても良いのか、黙っているべきなのか。今回は賛否両論ある「批判記事」について私見を述べる。

1.高橋維新というお笑い評論家

 弁護士兼お笑い評論家の高橋維新氏をご存じだろうか。『M-1グランプリ』や『キングオブコント』など、お笑い芸人の賞レースが開催される度に各ネタの寸評記事を自身のホームページや『メディアゴン』に投稿している。文章の説得力の高さから、必ずと言って良いほど大手ニュースサイトに転載される。

 面白かったら素直に面白いと書いている一方で、気になった細かい点をしっかり挙げているのが特徴。例えば、昨年のM-1のロングコートダディ(肉うどんに転生するネタ)の寸評はこちら(一部略)。

肉うどん単体にあんまり爆発力がなかったという意味では、前半はフリの要素が強く、しり上がりにおもしろくなっていくタイプのネタでした。折に触れて何度も言っていますが、M-1の短いネタ時間でそういうネタをやるのは勇気の要ることだと思います。ここはどっちが優れているという話ではなく、やる方と見る方の好みの問題です。

私はといえば、しりとりのクダリが始まってから、「肉うどん」の次は何なんだろうと考えてしまいました。私はそこへ話を展開していくのだろうなと期待していましたが、蓋を開けてみれば一切言及はなかったので、少々残念でした。もっと長いバージョンのネタではそういう展開もあるのかもしれません。とにかく色々な広げ方が考えられる台本です。広げないのであれば、やっぱり「ん」で終わるのは見る側に妙な期待を抱かせるので避けた方がいいと思います。もう1回言いますが、肉うどんの代わりはいくら時間をかけて考えてもいいです。

 この書き方でも一時期よりはかなりマイルドになっている。これはあくまで「面白かった」前提での細かい問題点の指摘になっているが、そもそも「つまらなかった」ネタの場合、その理由を丁寧に説明している(そのケースを引用すれば分かりやすいのだが、不快に感じる方もいると思うので省略する)。

 つまらない作品をただ「つまらなかった」で終わらせるのではなく「何故つまらないのかを論理的に説明する」人もこの世には必要だとネットで誰かが言っていた。それが出来ている人は意外と少ない。面白い作品ならいくらでも良いところを並べられるのに、つまらない作品は「長々と書くに値しない」という意識が強くなり、理由を全く書かない、あるいは書いても短文の人が多いように見受けられる。逆につまらない理由を説明出来ている人は「熱い想い」を持っているからこそ出来るのだと思う。

2.感情的に書き殴っても説得力のある“ひだまりP”

 話を『ラブライブ!』に戻そう。ひだまりP氏という、比較的感情的な文章が多めの感想記事を書く御方が居るのだが、スパスタ2期12話の批判記事においても、感情に身を任せ書き殴った文章にも関わらず妙に説得力を持っているので、読んでいて不思議な感覚にさせる。作品批判している割には読んでいて不快に感じることは無い。少なくとも私は。

 その理由は、やはり“熱い想い”が伝わってくるからだろうか。彼はライブや聖地巡礼にしょっちゅう赴いている生粋の『ラブライブ!』ファンであり、大好きなコンテンツだからこそアニメの内容に物申したいことはあるだろうし、本気の想いで全力で書いたのであれば、一部が多少乱暴な言葉使いになったとしても、言いたいことはちゃんと読者に伝わるものだと思う。

3.理性的なのに熱い想いが伝わるhr0_Ham氏

 冒頭のhr0_Ham氏に再びご登場いただく。リンクももう一度貼る。

 彼の文章は、ひだまりP氏よりは落ち着いた印象を受けるのだが、それでもやるせない気持ちは伝わってくる。理性を失わず、なるべく読む人を不快にさせない言葉を選びながら書いていると見受けられるが、熱い想いは確かに見えた。どうしても批判記事を書きたいのなら、このようなテイストで書くのが理想なのかもしれない。

4.どうしても批判したいなら文章に熱い想いを込めよう

 私は特に2022年になってから、noteで批判記事を書くのは控えている。面白かったり感動した時だけ書けば良い。つまらない作品の感想までわざわざ時間と労力を費やしてまで書く必要はない。

 ただ、どうしても批判記事を書きたい人も一定数いると思う。ならせめて、熱い想いだけは込めて書いてほしい。その作品を愛してやまない人を傷つけるかもしれない。そこまでしてでも言いたいという強い意志を果たして持っているか。

 ちなみにTwitterは論外。たった140字で熱い想いを伝えるのはとても難しく、誤解や炎上を招きかねない。ブログかnoteで、長文で。

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