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ポールシフト後

大昔、巨大な科学研究所がありました。そこの所長は、まもなくポールシフトが起こり、巨大な天変地異が起きることがわかりました。
彼は人類に警告しましたが、誰もそれを真剣に受け止めませんでした。
そこで、同じ研究所の生物学者であるノアに命令し、今から全ての生命の遺伝子情報を集め、それを炭素でできた胚に埋め込んでいくよう指示しました。所長は宇宙空間でやることがあるようで、すぐに大気圏外に去っていきました。
洪水は予測以上のものとなり、すべての陸地が水に飲み込まれ、あらゆる生命が失われました。
その間、ノアは家族とともに研究所の巨大な船に乗り、遺伝子情報の埋め込み作業に取り組んでいました。炭素でできた体であるため、これまでのシリコンの体よりもはるかに短命で小柄であり、容姿も醜い生命体となりますが、所長の命令であるため、何とか遂行しました。
やがて天変地異が収まり、山の頂上に到達したノアは、作成した炭素体の胚を広くばらまきました。
洪水の後、ノアと彼の家族は、研究所の地下施設に戻りました。
そこでは、彼らは新たな地下世界を築くための準備を始めました。
一方、宇宙空間にいる所長とそのチームは、炭素体の生態系のバランスを維持するため、衛星「月」を完成させていました。
彼らは月の裏側に住み、地球の地下世界を訪れるために宇宙船を用いるという、異なる次元での生活を送っています。
そして、人類の未来と生命の遺産を背負いながら、新たな旅が始まろうとしていました。


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