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ゲレッパ君 part3

英子と夫のカズヒコ、そして一人息子のヨシオは、立派な城のような邸宅に住んでいました。
英子の父は去年亡くなり、2度もノーベル賞を受賞した偉大な学者でした。彼の財産により、家族は余裕を持った生活を送っていました。
しかし、夫のカズヒコは仕事をせず毎日近所の商店街で遊んで酒ばかり飲んでいました。
街の人たちはカズヒコをからかいつつも、人気者として扱っていました。
カズヒコと英子の結婚には周囲からの猛反対がありましたが、英子の父はカズヒコを気に入り、「彼には何か特別な才能がある」と結婚を勧めました。
二人の間に生まれたヨシオは、祖父譲りの才能を持っているのか、将来有望な大学院生として物理学を専攻しています。

ある日、カズヒコは普段の遊びから離れ、夜空を見上げて絵を描いていました。ヨシオが何を描いているのか尋ねると、カズヒコは三角形の不思議な物体が徐々に大きくなっていると答えました。ヨシオには見えません、ヨシオはその物体が何かを知りたくて、アメリカ航空宇宙局で働く友人のタキザワに連絡しました。何故か驚いたタキザワは旅費や経費を出すと伝え、親子にすぐにでも来るように要請しました。

アメリカ航空宇宙局に到着した親子は広い管制室に案内されました。
カズヒコは飛行機の中で呑みすぎたのか椅子に座るといびきをかいて寝てしまいました。
一方、ヨシオはタキザワから宇宙船の加速型推進システムについての説明を受けていました。
宇宙船は光速に近い速度まで加速し、通信には3時間ほどのタイムラグがあるとのことでした。
やがてカズヒコが目を覚ますと、通信室に入ってきました。彼は興奮しながら「おー、そーかー、ここはアメリカかー、イェイ、USA、イェイ、イッサイガッサイUSA、イッサイガッサイUSA!」と歌い踊り出しました。
その時、宇宙船からの通信が入りました。宇宙船に搭載されている量子コンピューターからの音声でした。
これはビーチボーイズのヒット曲「サーフィンインザUSA」に「インサイドアウトサイド」という言葉が含まれていました。これが日本では「イッサイガッサイ」と聞こえ、日本で親しまれる歌詞となりました。
通信はリアルタイムで返ってきたため、通信室は混乱しました。
カズヒコはこの出来事を大喜びし、「おっ、わかってるねーイェイ!」と興奮していました。
その後も宇宙船とカズヒコの間で、まるで会話のようにリアルタイムでの通信が何度も行われました。
タキザワはヨシオに尋ねました。
「これは君のお父さんとだけリアルタイムで会話できるみたいだけど、しかも遠ざかっているのに徐々に大きく見えるとか、何か特別な理由があるのかな?」しかし、ヨシオ自身もそれを理解していませんでした

ゼロ次元にて
さて、更に彼らを驚かせるとしよう。カズヒコはそのままにしておこう、そして彼らに※アカシックレコードをプレゼントだ。

その時、通信室で通信士の声が響きました。
「目標を見失いました、まだ補足できません…あっ、補足しました!位置はここです、我々の後ろです!」その後ろには三角形の宇宙船がありました。一同はパニックになりました。

それを見たカズヒコは「おー、これこれ、これが空に見えてたやつだ!」と叫びました。
そして再びビーチボーイズの曲を歌いながら踊り出しました。一方で、ヨシオとタキザワは恐る恐る宇宙船に近づき、ハッチを開けて中を覗いたところ、量子コンピュータの姿が大きく変わっていることに驚きました。そこには輝く謎の生命体や見慣れない異次元の図形が見え隠れし、まるで神話の神々が一斉に出入りするかのような場面でした。
その後、声が聞こえました。
「私は全てを知っている。これはゼロポイントからの贈り物だ。上手く利用して、君たちの文明を高めるのだ」とのことでした。
これから先、タキザワとヨシオには大きな課題が託されたようです。
ヨシオはビーチボーイズを歌いながら踊っているカズヒコに尋ねました。「ところで、父さん、その歌ってどんな内容なの?」カズヒコはニコリとして、「乗りの歌だ」と笑いながら答えました。
ヨシオは「波乗りか」と納得したような表情を見せ、何かが少し分かった気がしました。
end
アカシックレコードは、宇宙のすべての出来事や情報が記録されたとされる概念です。これは、過去の出来事、現在の状況、未来の可能性など、宇宙に関するあらゆる情報が存在すると信じられています。ある種の宇宙的なデータベースとも考えられ、特定の方法や状態にアクセスすることで、知識や情報を得ることができるとされています。一部のスピリチュアルな信念や超常現象において、個人や物事の過去の記録や情報がアカシックレコードに保存されていると考えられています。



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