こんな人は世間に文句を言うな

「風呂あがりにnoteを書いてる奴」
 まず、温かい風呂に入れて、つめたい飲み物を流し込める時点で恵まれている。まして、ノートパソコンを所持しタイピングしている。ブルジョアだ。弱者ぶってはいけない。途方もない阿呆だ。世の中には銭湯に行って温まったと思えば、帰りに冷えて、型落ちのスマホをタップするしかない人もいるのだ。なんなら、何もない家無き人もいる。

「海外旅行いってる奴」
 それだけの金銭的、時間的余裕がありながら世間に不満をもつなど言語道断。インスタグラムかなんか種々のSNSに、その様子を上げるなど破廉恥極まりない。国内旅行にすら行けず、進入禁止の浜辺へ行くため壁を乗りこえ、潮干狩りしようとして、市の職員に注意を受けて逆切れする人も存在する。凡愚極める人を横目にマイルなんざ貯めて、何に変える気か。

「クラフトビール買う奴」
 一本四百円から七百円程度する高級品だ。柑橘の香りや、柑橘の香りや、柑橘の香りがするだけであり、パッケージが無駄に洒落ている。メッセージまで添えていやがる。そんなまやかしを有難がり、あえて天下無敵のスーパードライを見下して、何様か。せめて、バドワイザーが限度である。その上バカ高い何カ月も熟成した生ハムも買って、盛り付けて、ゲッ。虫唾が走る。安酒と安売りのポークビッツの悲哀と背徳を知れ、痴れ者が。

「映画館にいく奴」
 一回千九百円。こんな金を払えるくせに、映画「JOKER」のアーサー・フレックに共感できるとか、糞くらえの厚顔無恥め。自分の食事を母に与え、軽度の知的障害によってマトモな職につけない、本物の弱者男性の気持ちが分かるわけない。貧乏人ならせいぜい、古本屋で文庫本を二、三百円で二、三冊買うぐらいが関の山。その上、パンフレットに千円も払うとはなんたるブルジョア。それだけあれば、しこたま酔える。

 ここまで散々指摘してきた私はというと、海外に行く以外、日常的、かつ継続的な行動と習慣である。部分的独身貴族を実践し、孤独を愛するまでは達観せず、自慰的文章の執筆に耽る。そんな私が風呂のなかで思いついた、「こんな人は世間に文句を言うな」はいかがでしょうか。少し、後悔と自責の念を抱く。この瞬間に砕けて消えてしまいたい。閉口。開口。
「酒は酔うために呑むもんだ。味など二の次、三の次。蘊蓄なんてペラペラまき散らす手合いは、斜に構えて、そのまま地獄へ滑り落ちてしまえ」

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