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35歳のNZ留学【初日からハプニング】

成田空港から約10時間、オークランド空港に到着した。
ムーディーな紫色のライトに照らされTikiのゲートに出迎えられる。(Tikiとはニュージーランドのマオリ族の守り神である。)NZ航空の機内でも同じくムーディーな紫色のライトが使われていたのを思い出し、ニュージーランドってこういう雰囲気がお好きなのかい?となんとも不思議な気持ちにさせられる。預け荷物を受け取り、入国審査を済ませて出口に向かう。予定ではホームステイする家まで送ってくれるドライバーが待っているはずである。
きょろきょろしながら歩き回っていると声をかけられた。よかった、ドライバーいた。どうやら私は彼が待ち構えていたところを通り過ぎてしまったらしい。その時の私が言えたことは、自分の名前、ソーリー、ナイストゥミーチューくらいである。日本人の大学生らしき一人がすでに合流していて静かな顔でそのやり取りを見ていた。
早速車に乗り、とりあえず自己紹介。彼は大阪出身の大学生で、これから私と同じ語学学校に通うと言った。ドライバーとも、英語が話せないながらも気になったことなどいろいろ聞いたりしながら30分くらいが過ぎた。

あれ、携帯がないぞ…?

バッグ、ポケット、座席のシート、どこにもない、何度見てもない。嘘…。
一旦落ち着こう。

ない!!!!

顔は真っ青、頭は真っ白である。うまいこと言いたいわけではない。まさにそれだったのだ。これまでの忘れ物エピソードについて話すと、沖縄旅行に出かけた時、旅の最後に立ち寄ったコンビニのトイレに携帯を置き忘れてそのまま仙台空港まで帰ってきてしまったり、他県にバスで出かけ携帯を置き忘れてきたりと他にもあるのだがここまでにしておこう。だからこそ、その場を離れる前と後は必ず確認するようにしているここ数年の私である。大事なものがちゃんとあるか、この5ヶ月間の旅では本当に気をつけなくてはならない。あれほど誓いあれほど注意深く確認していたのにもう既にないなんて!すぐさまドライバーに伝える。「オーマイガー」ドライバーも驚く。何か色々聞かれたが、焦っているし第一英語も聞き取れない。ディテールという単語だけは聞き取った。ケースは黒で、こんなシールが貼ってあって…と説明するもしかしドライバーが知りたかったのはそんなことではない。iPhoneの種類だとか本体のカラーとかそういう情報である。普段ケースの色ばかり見ているから本体が何色だったか咄嗟に思い出せない。シルバーかホワイトか…とにかく初日に携帯無くすなんて本当信じられないよ自分。記憶をぐるぐる巻き戻し心当たりのある場所を探る。そうだ、入国審査の時、なんかちょっと携帯を置いたような。ドライバーに伝える。ドライバーも他のスタッフや空港に連絡し探してくれている。隣に座っている大学生は静かな顔でその様子を見ていた。引くよな、そら引くよな、ごめん。これから先携帯なしでどうやって生きていくっていうんだよ…ああ、神様。下を向いたその時である。おや…?この黒いものは…。血の気がすぅっと戻ってきた。あった、私の携帯…!ドライバーに伝える。ドライバーも喜ぶ。見つかってよかったと。そして大学生も「よかったね」と言った。
一件落着、全く人騒がせもいいとこである。

ドライバーは一人また一人と学生たちを乗せていく。しかし乗せるばかりで降ろす気配がない。いつ着くのかと考えながら、携帯が見つかった安心感も併さって、うんと眠くなってきた。それをバックミラーで見つけたドライバー。私に寝るな寝るなと何度も言う。そう、今寝たら時差ボケしてしまう。しかたないから、ニュージーランドには日本車が多く走っているねとか、そんなたわいもない会話でなんとか凌ぎどうやら目的地に到着。そこは家ではなかった。レジデンスではないか。部屋の鍵を渡され管理人を紹介される。え?私ホームステイでしたよね。ドライバーにそのことを伝えるも「I don’t know」俺はドライバーだぜ学校に聞いてみな(英語はわからない、あくまでそんな雰囲気の言いようということ)そんなようなことを言ってあっという間に行ってしまった。隣を見ると大学生も不思議そうにしているので聞いてみた。「私ホームステイの予定だったんだけど君は?」すると彼は自分もホームステイだと言う。こういうハプニング、海外っぽい。今日は日曜日、とりあえず明日学校に聞いてみるか。大学生は固い表情で「よく納得できますね、俺は担当者と今日話してみます」とはっきり言った。おお、そうか。
実は私レジデンス生活を以前にも経験している。そう、ハワイにお稽古留学したあの時。だからなのか、なんとかなるだろうとそう思えた。

続く。

オークランド空港 Tikiのゲート

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