35歳のNZ留学【記念すべき初仕事】
仕事探しをしていたところ、思いがけず仕事の概念がひっくり返った私である。
私は求人情報で見つけたコラムニストらしき仕事をやってみることにした。
それは、NZ Daisukiという情報サイトの中で記事を書く仕事である。1つの事柄について連載するか、数種類あるカテゴリからその時々のトピックを書くかを選べるのだが、私はトピックを書くことにした。とはいえ、トピックとして成立させるには少し新しいことを学ばねばならない。
例えば、1200文字以上とは一体どれくらいの文の長さなのか。どうやって文字数を確認するか。TEXT形式のファイルで送るにはどうするか。
TEXTとは何か…
写真の向きやサイズなどにもいろいろ入稿規定がある。これまであまり文章を書いたことがないし、自分のパソコンでそういった編集ができるのかも詳しくない。分からないことを一つずつ調べていきながらクリアしてはできた自分に「おぉ!」と驚いている。留学をきっかけに、英語のみならず今まで知らなかった新しい技を習得している。
自分がアップデートされていく。
入稿規定について理解し、ようやく書いてみることにした。日頃から自分の中にだけ留まっていた情報。それらがすらすらと書き出されていく。文の良し悪しは別として、1200文字は思いのほか苦ではなくあっという間に書き上げた。
楽しくて、集中夢中で書いていた。
初めて書いたのはステイ先の地域についての紹介記事である。
これは私の暮らしに基づいた情報だけれど、いつかこの町を訪れる留学生とか誰かに届くのだろうか。
メールにTXETファイルを添付し、やや緊張しながら入稿を果たす。
数時間後には連絡がきた。採用。
あら…?
もっと吟味されたりして不採用も有り得ると思っていたのに、思いがけない連絡の早さに拍子抜けである。しかし採用とは嬉しい。「6月30日に掲載予定です」の一文をみた時には胸が弾んだ。普段は見る側として活用していたインターネットサイトに自分の記事が掲載される。
心待ちにしていたその日、インターネットサイトのテロップに私の記事タイトルが流れた。
私が住んでいた [Te Atatu Peninsula]という町は、先住民族であるマオリ族の言葉で「夜明け」を意味する「ata tu」に由来している。
Te…The Atatu…Sunrise
ー The Sunrise!! ー
毎朝通学するバスの車窓からはいつも海から登る朝日が見えていた。
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