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ワタシと小さなあの子の物語②母と外国ホテルでとんでも事件

これは子どもの時いい子でいてしまった優しい人たちに贈るお話です。

ワタシは幼い時に母と二人だけで外国に行ったことがある。その記憶がちゃんとある。

少し大きくなってから母が
モモちゃんが2歳の時、預けっぱなしで悪かったと思って一緒に連れていったの、とよく話してくれた。
また3人兄弟だったので全員置いて行ったら父が大変だからという理由があったとも。
だが今思うとそれはおかしい。
弟が産まれたのはワタシが2歳の春だ。
しかし旅行に行ったのは冬だった。
寒かったし雪が降っていたしワタシはモコモコのブーツをはいていた記憶がある。
2歳の冬に弟は存在していない。

あれはたぶんワタシが3歳の話なのだ。
なぜ2歳だったと言うのだろう?
ワタシをりんご農家に預けっぱなしにした後ろめたさを軽減するため早く迎えにいったことにしたかったのか、まさか飛行機が2歳までタダということで当時から小柄なワタシを2歳にしたてあげたのか!(それは国内線だけか)
いやまさかそんなことないよね、パスポートがあるしと思いながら昭和ならありえたかもしれない疑惑を払拭できない自分がいるのはさておき
旅行の話を。

これまであんまりかまってあげれなかったのを反省してモモちゃんを選んで連れていったのと
さも良い話のように母はあの旅行のことを語ってきた。
でもあれって某新興宗教団体主催のツアーですよね・・・
テーマパークに行くわけでなし、ただ教団の施設をバスでめぐっただけだったのではないだろうか?

その証拠にワタシははしゃいで楽しかったという記憶がない。

まだよく信頼関係も結べていない母とふたりきりで冬の外国というシチュエーションにとても緊張していた。
ここで母とはぐれたら一貫の終わりだというのがわかっていたのだと思う。

さんざんバスに乗ってたどりついたホテルは暖かくベットは気持ちよく、やっと安心して眠れると思ったワタシに母はとんでもないことを言い出した。

このあと夜中にお祈りの会があってママは行ってくるから、モモちゃんは寝ててね、と。

冗談じゃない。こんなところにひとり取り残されるなんて。

一緒に行くから絶対起こして、絶対起こしてね。

夜中だとしぶる母を押しきって起こす約束をさせたのだけど夜中にパチッと目がさめたら横におかんがいなかったっていう・・・・

ギャン泣きで飛び起きて明るいホテルの廊下に飛び出してしまったワタシ。
無情にも後ろでしまるとびら。

母を探して廊下を歩いていたら、少しだけ扉が空いているドアがあってですね、のぞいたら老夫婦がテレビを観ていて、ワタシはママがいないと訴えたのだけど彼らは外国語なものだから、何言っているのかさっぱりわからない。

わからないけれど口調からそんなに悪い人たちではないとわかったから
彼らと一緒にしばらくテレビを観ていたワタシは知らぬ間に眠ってしまったらしい。

朝起きたらちゃんと母はもどってきていて良かったのだけど
いやあ、つぶさに覚えているわけなんですよ、その夜のことだけ!

ある程度大きくなってから、ワタシがそのことで文句を言うと母は苦笑いでホテルの人がモモちゃんのことを知らせてくれていたから大丈夫だったのよ、というのだが

ちっとも大丈夫じゃねえ(失礼)

そして子連れにも関わらず夜のお祈りの会かなんだかに母親を来させる教団なんてのは、世界平和とか以前に倫理観が足りてないんじゃなかろうか。

それでも今なって思う。
独りよがりでずれていたかもしれないけど、母は母なりに自分が子どもにとっていいと思うことを一生懸命やっていたのだろう。

だからまあ勘弁してやってくれと自分が子育てする側にたって、ワタシは小さいあの子に初めて言える気がする。





















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