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シネマ歌舞伎『唐茄子屋〜不思議国之若旦那』


ずいぶん前に、中村勘九郎さんに似てると言われたことがあります。勘三郎さんがお元気で、勘九郎さんがまだ勘太郎さんだった頃です。
ライブが大好きな田中弥三郎です。休日モードです。

久しぶりの歌舞伎。シネマ歌舞伎で。

シネマ歌舞伎大好き。

実際の歌舞伎の舞台を、何台ものカメラで撮影してスクリーンサイズに編集したものが、シネマ歌舞伎です。
残念にも亡くなってしまいましたが、十八世中村勘三郎さんからシネマ歌舞伎が始まったそうです。おかげで映画の値段(各種割引は適用外ですし、作品によっては特別料金)で歌舞伎をノーカットで見られます。
映画館なので席もゆったり、ポップコーン片手に見られるのです。
それに映像作品なので、勘三郎さんを始めとしてお亡くなりになった方の作品も見られるのです。勘三郎さんの作品を見たら、生で舞台で見たかったと思っちゃいます、、、。
松竹系の映画館で、全国幅広く上映されますので、東京でしか上演されない演目・役者さんが見られるところも有り難いですね。
シネマ歌舞伎、大好きです。

平成中村座で、江戸時代にタイムスリップ

ただいま絶賛上映中、シネマ歌舞伎『唐茄子屋〜不思議国之若旦那』は、令和4年10月に浅草で上演されたものです。
浅草に、『平成中村座』という芝居小屋を建てて上演されました。この上演のために一か月だけ、芝居小屋を建てたんです。
この平成中村座も勘三郎さんが始めたもので、浅草のみならず大阪、小倉、姫路や海外にも進出しています。
平成中村座のコンセプトは、『江戸時代にタイムスリップ』。肩肘張らず、芝居小屋の空気を楽しめる空間です。コロナ前、大阪に来たときは、ここぞとばかりの大贅沢で昼夜公演観に行きました。
スクリーン越しとはいえ久しぶりの歌舞伎でワクワクです。

演目は『唐茄子屋〜不思議国之若旦那』

作・演出と配役

作・演出は宮藤官九郎さん。
落語(人情噺)の『唐茄子屋政談』を題材にした新作歌舞伎です。
配役は中村勘九郎さん、中村七之助さん、中村獅童さん。坂東彌十郎さん、中村扇雀さん、片岡亀蔵さん、そして中村勘太郎さんと中村長三郎さんの兄弟。
さらになんといっても、荒川良々さんですね。
宮藤官九郎さんの作・演出に、それぞれの役者さんの個性が化学反応の大爆発でした。息付く間もなし、お腹いっぱいの2時間です。

あらすじは、よくあるドラ息子の設定。

吉原遊びが過ぎて勘当されたドラ息子。身を投げようとしていたところを、おじさんに拾われます。おじさんのもとで、天秤棒を担いで唐茄子(かぼちゃ)売りの商いに出るが、、、
といった、よくある設定です。吉原遊びで勘当されるなんで、現代ではボロカスに言われるんでしょうが、そこは人情噺です。

新作ですので聞き取りやすい現代語が中心のセリフですし、スマホでイヤホンガイドも聞けるみたいです。
イヤホンガイドとは、イヤホンで時代背景やセリフの意味などを同時通訳的に説明してくれるサービスです。劇場ではお金を払って借りるんですが、シネマ歌舞伎ではスマホアプリで聞けるそうです。私も利用したかったのですが、上演前の宣伝で知ったので、詳しくは分かりません、、、。
知ってたらアプリ入れてイヤホン持っていったのになぁ。

歌舞伎は大衆の娯楽です。

「歌舞伎が好きです。」なんて言うと、
「難しいそうなのにすごいね」とか、「セレブですね」なんて言われたりします。
誤解です。とんでもないことです。

難しくない。

難しくないです。時代設定にもよりますが、新作歌舞伎はほとんどが江戸時代。暴れん坊将軍が理解できたらついて行けます。
古典は源平合戦のものもありますし、セリフも時代がかってきます。少し聞き取りにくかったり、予備知識があったほうが楽しめるでしょう。だからそのためにイヤホンガイドがあります。だから全然、難しくはないです。

高くない。

年末の顔見世興行は、一人で三万円ほどです。でもそれは、御祝儀相場で高いだけ。ほとんどの歌舞伎は、一等席でも二万円までで、演目配役によっては一等席でも一万円を切るものもありますし、二等席や三等席もあります。
私は生協で買うことが多いのですが、12000円の席が9000円ほどで売られていることが多いです。産まれて初めて歌舞伎を見に行ったのも、生協で割安だったからです。
そのときに見た明智小五郎はいまの松本白鸚さんで敵役は松本幸四郎さんでした。敵役の人間豹が、紙吹雪の中を宙吊りで舞台を捌けて行くのは衝撃でした。二階席から見たから、すぐそばを通っていて。やっぱりライブはたまらんですよ。

私にとって歌舞伎は好きな歌手のライブに行くのとおなじ感覚ですね。値段的にも似たようなものかと思います。遊園地に行くのと比較しても、歌舞伎だけが極端に高いレジャーということはないと思います。

歌舞伎の題材になるのは、他にも

約400年の歌舞伎と役者300年の歴史を持つ落語、両者の交流は古くから密接でした。他にも、『らくだ』や『文七元結』といった落語を題材にした歌舞伎がありますし、狂言の『棒しばり』、文楽の『曽根崎心中』も歌舞伎になっています。

そしてより現代に馴染みの深い、『ワンピース』や『風の谷のナウシカ』、『あらしのよるに』、『名探偵明智小五郎』も歌舞伎になっています。

シネマ歌舞伎、見てみませんか?

で、シネマ歌舞伎『唐茄子屋〜不思議国之若旦那』は、2200円です。ポップコーンとドリンク片手に、気軽に楽しめます。
宮藤官九郎さんの演出ですから、テンポいいです。笑いまくります。あとちょこっと下ネタも混ざります。吉原の話ですし、、、
さらに『月イチ歌舞伎』として、毎月一週はシネマ歌舞伎の旧作が上演されます。2月は『阿弖流為〜アテルイ』です。こちらも超大作で、めちゃくちゃ面白かったです。
上演は松竹系の映画館ですので、お近くの劇場をチェックしてみてください。MOVIXが松竹系です。

私はシネマ歌舞伎の回し者ではありません、勝手に応援してる『回り者』です(笑)
それだけ面白いんですよ。旧作はオンデマンド配信もあります。私のオススメは『らくだ』です。
久しぶりの歌舞伎に浮かれちゃいました。
泣くときは泣いて、笑うときは笑って、生きていきましょう。



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